「ピュレグミ」「金のミルク」「マロッシュ」…10年ごとにヒットを生み出す「カンロ」が、ここにきて「過去最高売り上げ」を達成していた!

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スースーとした感覚がある「のど飴」を食べたことがある人も多いと思います。のど飴で有名なメーカーといえば「カンロ」を思い浮かべるかもしれませんが、実はのど飴だけではなく、グミなどの製造もしています。そして、10年スパンでヒット商品を生み出している会社でもあるのです。9月17日に行われた「2024年ネタマッチ合同ヒット商品発表会」で、ヒット商品を生み出す秘訣やきっかけなどをお聞きしました。

カンロのヒット商品の歴史と売上高の推移

カンロ株式会社は、1912年に創業、1950年に設立された歴史のある会社です。今でこそ「カンロののど飴」と言われるほどの有名メーカーになっていますが、「カンロ飴」ができたのは1955年のこと。

そして1981年の「健康のど飴」以降、10年スパンでヒット商品を生み出しています

その歴史は以下の通り。

1981年「健康のど飴」

1992年「ノンシュガーのど飴」

2022年「ピュレグミ」

2012年「金のミルク」

2021年「マロッシュ」

売上高を見ると、浮き沈みはあるものの、右肩上がりになっています。そして2023年は過去最高となりました。

キャンディ市場は伸びている

カンロの「のど飴」が闘うのはキャンディ市場です。そもそもキャンディは4つに分類されます。

● ハードキャンディ

● グミキャンディ

● 錠菓・清凉菓子

● ソフトキャンディ、キャラメルなど

キャンディ販売金額に関しては、2019年が2845億円、2023年が3082億円で伸びています。特に2023年グミキャンディは、2019年比約157%となり、大きく躍進をしています。ハードキャンディも104%となり、キャンディ市場はこの2つが牽引しているといってもよいでしょう。

「ノンシュガー」に注力

カンロが手がける「のど飴」はハードキャンディに含まれます。ハードキャンディは、シュガー入りとノンシュガーに分けることができますが、この2つ何が違うのかというと主原料です。

シュガー入りは砂糖+水あめなどですが、ノンシュガーは糖アルコールなどが使われています。そして「ノンシュガー」「糖類ゼロ」と表示ができるのは、食品表示基準に基づいて、100gあたり糖類0.5g未満の商品に限られているのです。

ノンシュガー、糖類ゼロとなっていても全く含まれていないということではないのですが、糖質を抑えたい、カロリー摂取を抑えたいという声もあり、ノンシュガー商品を手に取る人は少なくありません。

カンロが「ノンシュガーのど飴」を発売したのは1992年のこと。世の中では健康志向への高まりもあって、禁煙や節煙対策でキャンディへの代替需要が高まっていました。ちょっと口寂しいときのキャンディという位置付けですが、気になるのは甘さやカロリー。1粒1粒のカロリーはそれほど高くはないとしても、1日に何度も口にすればトータルカロリーも高くなってしまいます。そこで、カロリーや甘さを控えたキャンディが注目されるようになりました。

カンロもこのような流れをくんでキャンディ開発に取り組みますが、味、品質、製造で苦戦したそうです。特に味に関しては、甘さを抑えてしまうとキャンディのおいしさがなくなってしまいます。そこでカンロは独特な風味のある枇杷蜜(びわみつ)を使用した「ノンシュガーのど飴」を開発して販売しました。これが1992年のことです。

その後、味わいのあるノンシュガー系として「ノンシュガー珈琲茶館」「ノンシュガー紅茶茶館」やフルーツの風味を活かした「ノンシュガー果実のど飴」も販売しています。いずれも本格的な味わいに仕上がり、味や美味しさの面での問題をクリア。

コロナでさらに注目されるように

カンロの「ノンシュガー」がさらに注目されたのは、コロナがきっかけとなっています。世の中としては、経済の停滞など大きな問題となったコロナですが、外出ができない中、お家需要が増加し、ヘルシー志向がそれまで以上に高くなりました。カロリーを気にする人も増え、一般的な飴の半分のカロリーになることが多いノンシュガーであれば罪悪感が少ない。そういう考えもあり、売上を伸ばすことになりました。

さらに、カンロではノンシュガーの価値訴求を強化しています。カロリーが低くて健康志向向けということだけでは、「カンロのノンシュガー」を認知されない可能性もあるので、まずはパッケージに「ノンシュガー」と記載をしてブランドを確立。そしてノンシュガーコーナーの売り場をしっかりと作り、いろいろなフレーバーでユーザーや食べるシーンの拡大を狙いました。

2024年9月には、北海道産生クリームを使用して、ノンシュガーなのにしっかりとしたコクを感じられる「ノンシュガーミルクのど飴」がリニューアル販売されました。スースーとして食べにくいのど飴というイメージから、美味しくてお子さんでも食べられるようなテイストに。一方で甘すぎないですし、ノンシュガーなので甘味やカロリーが気になる人でも食べられるという、万能のど飴というイメージです。

世の中の健康志向をうまく捉えて商品のブランド化や売上拡大を達成したカンロ。今度も新しいフレーバーやのど飴の喫食シーンを提案してくれることでしょう。

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