「これ、止めてみて」…秋の季節の変わり目に《やってはいけない》2つの意外なこと
10月の第2月曜日はスポーツの日(旧称 体育の日)と定められていますが、この時期は「中医学は“季節の養生”と言われるほど、季節や暦を重視する」と語るのは、中医学と心理学の両面から、健康に過ごすための「生活習慣」を提案する、SNSでも大人気の漢方コンサルタント・櫻井大典氏。
秋に入り、激しい気圧の変化や朝夕の寒暖差で体調を崩しがちな頃ではないでしょうか。長引く夏がようやく終わり、一気に秋めいてきた……と思ったら、暦の上では冬が近づいています。
本稿では、数千年という歴史に裏づけられた中医学の知恵と四季折々の暦をもとに、ロングセラーとなっている同氏の著書『二十四節気の暦使い暮らし かんぽう歳時記』より一部を抜粋・編集しながら、冬を健康に過ごすための秋の養生「有酸素運動」と季節の変わり目を不調なく過ごすための対策について紹介します。
中医学の養生キーワード「春ゴ秋凍」
中医学には、「春ゴ秋凍(しゅんごしゅうとう※ゴはてへんに吾)」という養生法があります。これは、春と秋の気温変化に“身体を少しずつ慣らしていくこと”を指し、春になり暖かくなってもすぐに薄着をしない、秋も急に厚着をしないといったことが挙げられます。
昨今は、10月に入っても昼間は夏の暑さが残り、朝晩は冷え込み、寒暖差が激しい時期。寒さに注意するのは良いことですが、過度な厚着は、汗をかいて消耗につながるのみならず、毛穴が開いて冷えが身体に入り込み、風邪を引きやすくなることも……。
季節の変わり目の養生は、春と秋を大切にしましょう。きっと夏と冬に強い身体を作ることができますよ。
「有酸素運動」で、冬に向けた体力づくりを
食欲の秋、スポーツの秋。10月14日はスポーツの日ですが、旧称の体育の日は、過去のデータから「晴れる日が多い」と言われており、気候の良いこの時期は、まさにスポーツにピッタリ。
中医学の観点から意識したいのは“冬に向けて体力をつけておくための有酸素運動”です。昔から親しんでいる趣味のスポーツや、習慣化している運動があれば、ぜひ、積極的に楽しみましょう。
ポイントは、わざわざ新しいことを始めたり、つらいのに無理をするのではなく、あくまで楽しめる運動を、楽しめる範囲で行うこと。しっかり手足を動かす運動であれば、なんでもオッケーです。気軽なウォーキングなどもいいですね。
“無理なく、楽しめる範囲で、のびのびと”を合言葉に、心地良い季節のスポーツを楽んでください。
ただし、夏と違って、汗をダラダラとかくような運動は、気を消耗してしまうのでこの時期は避けましょう。秋口からは“発汗=気力と体力の消耗”となることをお忘れなく。
適度な有酸素運動をすることで気持ちも晴れ、思い悩みから胃腸のトラブルを引き起こすことも、少なくなるでしょう。
10月15日は日本らしいお月見の風習「十三夜」
そして、スポーツの日の翌日、10月15日は十三夜です。十五夜は中国の風習ですが、十三夜は、なんと日本オリジナルのものだそう。まん丸の満月を好む中国に対し、少し欠けた十三夜を愛でる感性は、まさに日本独自のものと言えるでしょう。
中医学的にも、月などの自然を眺めることは、心を穏やかに保つための、五臓(※)の心(しん)の養生にピッタリ。心地よい風邪を浴びながら夜空を楽しむお月見は、まさに秋ならではの楽しみではないでしょうか。
そして、お月見と言えば、月見団子。手作りすれば、風情も増しますね。この月見団子、原料にもち米を使用した“白玉粉”で作ることが多いのでは?
中医学では、もち米には、胃腸をととのえ、冷えによる下痢をとめる、多尿を減らす、汗のかきすぎを減らすといった働きがあるとされています。
この月見団子を食べながらのお月見は、心身ともにラッキーアクション。ただしもち米は、身体を温める温性の食材であることから、肌荒れやニキビがひどくなったり、栄養学的には、もち米に含まれるアミロペクチンが血糖値を上げやすく、炎症を悪化させる可能性もあります。
これらの症状が心配な人は、白玉粉ではなく、上新粉を使ってみてください。うるち米を使用した上新粉であれば、胃腸をととのえて疲労を回復し、心を落ち着ける働きもあるので安心。ぜひ、体質に合わせた月見団子を片手に、美しい秋の夜を楽しんでください。
…つづく「これ試してみて…秋の乾燥と冷えを撃退する「超かんたん」な2つの方法」でも、予約が取れない漢方家がおすすめする秋の習慣をお伝えします。
(※)中医学の思想で「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」という。五行は、季節や感情(五志)などともつながる。