「盛大な結婚式をあげないのは家の恥!」見栄っ張りな義母のせいで…「ジミ婚」にしたかった33歳女性が受けた「耐えがたい苦痛」

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カップルの3分1は結婚式を挙げない時代に

結婚式は、その時代の世相が現れやすい。バブル全盛期だった頃の結婚式といえば「ハデ婚」で、ゴンドラ、ミラーボール、鳩まで飛び交う、とにかく派手で目立つものが好まれた。バブルが弾けた90年代以降は、「ジミ婚」へとかわり、お金をかけない質素な結婚式や、食事をメインとしたレストランウエディングも登場する。

そして現在、「ジミ婚」はさらに洗練され、形式やしきたりにとらわれず、より簡素化の流れが強まっているという。

「教会式や神前式といった宗教的儀式にとらわれず、ふたりの結婚の誓いを神ではなく、友人やゲストに証人となってもらう人前式という挙式スタイルが主流として定着しています。慣例にこだわらないことで経費を抑えられるためコスパ面からも人気が高い。

そこにコロナの自粛が、世相を変えました。結婚式の在り方はさらに見直され、内輪だけのパーティや、ふたりだけの挙式、記念写真のみの「フォトウェディング」など、2人にとって大切なものだけを残した簡素化がより目立っています」(ベテランウェディングプランナーの高田響子さん)

結婚するカップルの3分の1が挙式や披露宴を行わない「ナシ婚」を選んでいるというデータもある。これから始まる2人の生活は大切にしつつも、コスパ面からもセレモニー的意味合いの強い結婚式には必要性を感じないカップルが増えているともいえる。

とはいえ、それは都市部だけに通用する話なのかも知れない。「○○家に入る」、「家業を継ぐ」など「家」の意識が強く残っている地域や、過去の慣習に捕らわれてそうしている人の多い地域などでは、カップル当人が「必要ない」と考えていても「結婚式くらいは挙げて欲しい」と、受け入れて貰えないことも多いからだ。

地方都市で暮らす稲田絢美さん(仮名・33歳)もそのひとりである。

夫の淳平さん(仮名・34歳)とは大学時代に知り合った。実家の仕送りを受けて一人暮らしと青春を満喫している学生が多い中、絢美さんと淳平さんは「仕送りを受けず、アルバイトと学業を両立させていた“苦学生”」。出会って間もなく二人は意気投合し、交際を始めたという。

「盛大な結婚式をあげないのは家の恥」といわれ

大学卒業後も順調に交際を続け、奨学金を完済したところで結婚を具体的に意識するようになったという。お金で苦労してきた堅実なふたりだけに、「お金がもったいないから挙式や披露宴はやらずに入籍とハネムーンだけで済ませよう」と決めたというが、淳平さんの実家に大反対されたという。

「『親戚に顔向けができない』とか『世間体が悪い』などと言われました。夫の実家も裕福ではないはずなのに、夫の地元では未だに親戚やお世話になった知り合いなど、何百人も招待するような盛大な結婚式が当たり前で、それをやらないのは家の恥だという考えでした」

ただでさえ目立つことが苦手な絢美さんにとって、「大金をかけてさらし者になる結婚式」は苦痛でしかなく、絢美さんと同じ考えである淳平さんが必死に実家を説得にあたったというが、まったく聞く耳を持たなかったどころか、絢美さんに対してあらぬ疑いを向けてきたそうだ。

「義母から『何か世間にお披露目できない理由でもあるの?』と言われたのです。他人に言えない過去があるとか、人目を忍ぶ必要があるのか、みたいなことです。もちろん、そんなことはありませんが、義母はしきりに勘繰って来ました」

淳平さんと絢美さんは、義母からの執拗な追及から逃れ、かつ絢美さん自身の名誉を守るべく、「本当に親しい人だけを招いた、こじんまりとしたものする」ことを条件に、結婚式を承諾した。

これは「自分たちのお金だけで賄いたい」というふたりの切実な願いであり、それが両者の妥協点だった。ところが納得したはずの淳平さんの実家が、準備が進むにつれ話を二転三転させていく。

親友が縫ったドレスは「貧相」と却下

「当初は招待客50人のレストランウエディングだったのですが、義父母が『招待された、されないで親戚に不公平が出ると気まずい』とか『息子の結婚式をケチるくらい金に困っていると思われる』などと言い出して、招待客がどんどん増えていったんです。結局レストランでは入りきらなくなり、予算もないのにホテルの宴会場を使うことになりました」

「話が違う!」と憤る絢美さんだったが、実家の板挟みになっている淳平さんの立場や「結婚前に婚家と揉めるのは良くない」という両親からの説得で矛先は収めたものの、さらなるダメージが待ち構えていた。

「私は親友が手作りしてくれたドレスを着る予定だったのですが、『ホテルのウェディングプランに衣装はセットになっている』と言われてしまったのです。その時はすでにドレスが出来上がっていましたし、友情の証とも言えるドレスは絶対に着ると決めていたので、これだけは譲れないと直談判したのですが…」

親友の縫ってくれたドレスを手にして、義母の説得にあたったというが、

「ホテルの豪華なドレスに比べるといかにも手作りという感じで貧相じゃない? 淳平のタキシードとのバランスも悪いからこれは着ないでちょうだい」

と却下される。

「さすがにここまで言われたら、抵抗する気も失くします。こちらが何を訴えても、自分の思い通りにしないと気が済まない義母に失望しました」

結局このドレスは二次会で着ることになったというが、話はこれだけで終わらなかった――。

つづく後編記事「「全部アンタたちのせいだ!」義母が結婚式のご祝儀をくすね、実家の工場は倒産し、弟も大学中退…慟哭が止まらない「33歳女性の告白」」では、結婚式の後、絢美さんの身に起きた“さらなる悲劇”について、詳報します。

「全部アンタたちのせいだ!」義母が結婚式のご祝儀をくすね、実家の工場は倒産し、弟も大学中退…慟哭が止まらない「33歳女性の告白」