安保も経済政策も封じられて…石破総理がすがる「地方創生」を著名研究者が徹底分析

写真拡大 (全3枚)

石破総理の経済政策を論じた『「高すぎる物価をなんとかしてくれ!」【経済音痴】石破総理には絶対届かない「国民の悲痛な叫び」』に続き、「地方創生」を分析する。

「日本はやがて滅びる」

地方創生を日本経済成長の起爆剤に―。外交・安保や金融・経済などの主要政策で独自路線を封じ込められた石破総理はすがるかのように、「地方創生」の言葉を繰り返す。

所信表明演説では、例年1000億円程度の地方創生交付金を倍増すると明言。「地方創生」は初代地方創生担当相を務めた石破総理の長年の持論である。著書『日本列島創生論』では、「しょせんは自民党が地方のご機嫌を取って、選挙対策でやっているのだ」との批判があることは承知したうえで、バラマキではないと反論している。

具体例として同書で紹介したのが、竹下登内閣が全国の市町村に1億円を交付した「ふるさと創生事業」だ。「バラまきの典型だという批判」は当時からあったが、地域の「『知恵と力』で有効に活用した地域もある」と指摘。「地方の真摯な取り組みこそが国を変える」と主張してきた。

初入閣の大臣

この政策にともに取り組むのが、伊東良孝万博・地方創生相である。

北海道議や釧路市長を経て、自民党が野党に転落した'09年の選挙で初当選。還暦の永田町デビューだった。農水副大臣を2度務めた農水族で、今回の総裁選ではいち早く石破総理の推薦人となり、75歳で遅咲きの初入閣となった。大臣としての手腕は、現時点で未知数だ。

『里山資本主義』の著書があり、石破総理とかつて政策を議論したことのある日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏がこう話す。

「地方創生の本質とは、少子化対策です。地方から都市部に若者が移っているにもかかわらず、都市部でも子どもは減っています。それは若者が子どもを作らないからです。その一因に、都市部の住居の小ささがあります。子どもを都市部で育てようとしても、最大で2人、一般的な若者が借りられるような家賃の部屋だと1人生み育てるのが限界ではないでしょうか。

現在起きている少子化は、若い人が地方からどんどん都市部に集まっても、住宅事情という制限があり、子どもの数を抑えることが一因になっている。その結果、子どもと若者の数が減っていき、日本はやがて滅びるという結論になります」

後編記事『藻谷浩介さんも心配する…石破総理の「地方創生」がうまくいくとは思えない「残念な理由」』へ続く。

「週刊現代」2024年10月19日号より

再生が始まっている過疎地もあるのに…石破総理の「地方創生」がうまくいくとは思えない「残念な理由」