「高すぎる物価をなんとかしてくれ!」【経済音痴】石破総理には絶対届かない「国民の悲痛な叫び」

写真拡大 (全7枚)

石破総理の外交問題について論じた『石破総理の「アジア版NATO」が世界で「総スカン」を食らうヤバい理由…「アメリカ支配からの独立」を口にした政治家を待つ「恐ろしい末路」』に続き、経済政策を分析する。

マーケットに嫌われた男

「石破茂さんは総理に就任するまで、アベノミクスを見直すと言ってきました。これが彼の信念ならば仕方のないことですが、フタを開けてみれば、経済政策はアベノミクスを継承するようです。ここで問題となるのは、石破さんの経済政策には一貫したストーリーがないということです」

こう話すのは、元日銀審議委員で、名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田泰氏だ。

石破総理の経済政策、イシバノミクスが「変節」したと批判を浴びている。総裁選中は「金融所得課税の強化」や「利上げ」に積極的と見られてきたが、総理に就任するや一転、金融所得課税も利上げも引っ込めた。

原田氏が続ける。

「私は金融所得課税の強化にも利上げにも反対ですが、石破さんのこうした政策を支持する人もいるわけです。だから総裁選で勝てたのでしょう。

ところが、実際に株価が下がるとすぐに封印してしまいました。あっさりと考えを変えるということは、つまり一貫したストーリーをよく考えていなかったということだと思います」

異次元の金融緩和によって為替を円安に誘導して、輸出企業を中心に業績をテコ入れして株高を演出し、労働者の雇用を創出する。おおまかに言えば、これがアベノミクスの根幹だ。岸田文雄前総理はこれをさらに推し進め、さらなる株高(と一時的な賃上げ)に導いてみせた。その弊害として、過度の円安による物価高で、国民が疲弊しているのも事実だろう。

この流れに棹さして、物価高を食い止めようとする意図が、石破総理の政策からは読み取れた。すなわち、金融政策を正常化し、「安すぎる円」を是正して、物価の上昇を落ち着かせる。

しかし、こうした方針が金融市場から嫌気され、石破総理が自民党総裁に就任した翌週、日経平均株価は2000円に迫る大暴落となった。

「これで石破さんは従来の金融正常化政策を撤回して、日銀の植田和男総裁と会談し、緩和を継続すると言い出しました。そうなると、今後は円安ドル高がジリジリ進むと思います。日経平均株価はそれにつられて4万円を再び超えていくのでしょうが、恩恵を受けるのは大企業や富裕層だけ。上場していない中小企業に勤める人には何の関係もありません。

石破さんは最低賃金を全国平均1500円にすると明言してはいますが、すぐにできることではありません。国民に物価高が重くのしかかり、日本経済は消費が抑制されるスタグフレーションに陥ってしまうのではないでしょうか」(経済ジャーナリストの磯山友幸氏)

進次郎のほうがマシ?

こうした経済の状況を打開するためには経済ブレーンを登用すべきだろう。だが、今の官邸や内閣に経済政策に詳しそうな人物は見当たらない。

「石破さんは経済政策が弱いことを自覚しているのですから、経済ブレーンを用いればいいだけのこと。たとえば、経済再生担当相が担えばいいわけです。しかし、閣僚名簿を見ても、経済政策に強い人が大臣になったわけでもなさそうです。

これなら小泉進次郎さんのほうが周りに経済ブレーンがたくさんいて、よっぽどマシだったのではないかと思いました」(前出・原田氏)

経済再生担当相には、石破総理と同じ鳥取県選出の赤沢亮正氏が就いたが、旧運輸省の出身で経済政策に明るいとはとても言い難い。

「成長戦略を描く役割もある経産相には、当選5回の武藤容治氏が抜擢されましたが……。外相や通産相を歴任した武藤嘉文氏の息子というだけで、これまでに経済政策で目立った言動があったとは寡聞にして知りません」(前出・磯山氏)

ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志氏も、石破政権の経済政策に不安を抱く。

「石破政権はいまのところ岸田政権がやってきた経済政策を全面的に継承するようです。主だったものは資産運用立国と賃上げです。前者は円安と株高の影響で数字上は成功しているように見えますが、富裕層と一部の中間層の資産を増やしただけで、国民の大部分には現状あまり恩恵がありません。

むしろ、物価高のいま、国民の消費を促して経済を活性化させるのに必要なのは実質賃金を上げることだと思います。しかし、石破さんはそのための明確なシナリオを語れていない印象です」

後編記事『石破政権を「次代に負担を残さないために」だって?石破総理「信念の政策」で避けられない「国民の負担増」』へ続く。

「週刊現代」2024年10月19日号より

「次代に負担を残さないために」だって?石破総理「信念の政策」で「国民の負担増」が避けられない「これだけの理由」