意外と知らない、60〜80代の「住宅ローン」や「教育費」がほぼゼロという「希望」

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年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。

10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。

たとえば、住宅ローンについてみてみよう。

どの年代で、どれくらいのローンを支払っているのだろうか。

〈住宅ローンの平均返済金額は、30代後半から40代前半の5万円程度をピークに下がっていく。

住宅ローンの支払金額は定年後の減少が著しく、60代前半は月1.6万円、60代後半が同1.1万円、70代以降は住宅ローンを返済している人はほとんどいない。

現在のシニア世代は住宅バブルの真っ只中に住宅を購入した人も多く含まれる。それでもなんとか住宅ローンは払い終えている人がほとんどなのである。〉(『ほんとうの定年後』より)

住宅ローンの支払額が、60代では1万円台、70代ではほとんどゼロとのことだった。つまり、多くの人は現役世代のうちに返済完了しているようだ。

〈高齢期に住宅ローンの支払いが少ない理由は、多くの人は住宅ローンの早期返済を行っており、現役時代に債務を返し終わるからである。

住宅金融支援機構「住宅ローン貸出動向調査」によれば、2019年度の住宅ローンの約定貸出期間は27.0年であるのに対し、完済債権の貸出後経過期間は16.0年であった。

近年は資産価格の高騰や金利の低下による影響などから、住宅ローンの返済期間は長くなる傾向にあるが、現状では多くの人が20年以内には借入金を返し終えていることがわかる。〉(『ほんとうの定年後』より)

定年後の医療費は1万円台

住宅費以外では、医療費がどれくらいなのか心配する人も多いだろう。が、実際のところ、それほどの額ではない。

〈高齢期の家計を展望したとき、多くの人が不安に駆られるのはなんといっても保健医療費である。

しかし、実際に高齢期の家計簿をみると、65歳から74歳において平均月1.7万円となっており、保健医療に関する支出はそれほど多くはない。〉(『ほんとうの定年後』より)

住宅費に医療費、さらには教育費(60代後半からはほぼゼロ)などから解放された定年後には、生活費がぐっと下がる一方である。

60〜80歳を豊かで自由に過ごすために、どれくらいの支出がありそうなのか、どれほど稼げばいいのかを早めに把握しておくことが重要になるだろう。

つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。

多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体