もはやイランの脅威は徹底的に排除する…!イスラエルによる「核施設」攻撃の可能性と「最悪シナリオ」

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もうイランを気にせずヒズボラ叩き

前篇記事「イスラエルの『ヒズボラ潰し』が止まらない…イランが恐れ慄いた、圧倒的な『技術力と諜報力』の格差」で述べた、イスラエルとイランの力の格差、イスラエルの国連や国際社会への不信などをベースに、今後行われるであろうイスラエルからのイラン攻撃がどうなりそうかを考えてみよう。

まず、イラン側を刺激しなければ、イラン側から攻撃をエスカレートさせることは考えられないことからすれば、イスラエルは当面はヒズボラにさらなる打撃を加えて壊滅することを最優先にするのではないかと思う。

ヒズボラ側にさらに大きな被害が生まれることになっても、イスラエルがイランからの本格的な攻撃を受ける心配をする必要はないからだ。

だからこそ、イスラエルはこれまでイランのことを気にせずにヒズボラ叩きに全力を上げてきた。

いたずらに戦線を拡大する意味がないことからすれば、今後1~2週間は、ヒズボラを徹底的に潰すことにイスラエルは集中すると見るのが妥当だと思う。

では、その後にイランにどう対峙するかを考えてみよう。

ここで確認しておきたいのは、世界最強と言われるイスラエルの防空システムにしても、飽和攻撃には十分な対応ができないことが明らかになっていることだ。昨年10月のハマスによるイスラエルに対するテロ攻撃に際しては、20分間に2200発とも5000発とも言われるロケット弾が打ち込まれたが、これをイスラエルが完全防御することはできなかった。

イランからの本格攻撃が仮にあるとすれば、従来のヒズボラやハマスからの攻撃とは、質・量ともに大きく異なったものになるのは確実だ。

イラン核施設攻撃も否定しない

民主国家であるイスラエルにおいて、イスラエル国民に対する甚大な被害が生まれることになれば、いくらネタニヤフ政権が強硬だとしても、なかなか受け入れがたいものがある。

この点からすると、イスラエルからイランへの攻撃については、象徴的なものにとどまると見るのが、一応常識的な見方だということになる。

だが、ネタニヤフ首相が恒久的なイスラエルの安全保障を優先しようというのであれば、イランの核施設への攻撃を躊躇しない可能性も否定できない。

そもそもヒズボラの最高指導者だったナスララ師は生前に「ヒズボラの予算や収益、経費、全ての飲食物、武器、ミサイルなどがイラン・イスラム共和国から来ているという事実について、我々は公にしている」と、語っていた。ヒズボラはイランの完全な丸抱えの組織だったのであり、イランとの関係が断ち切られれば、存在できないのだ。これはハマスなども同様だ。

イエメンのフーシ派のミサイルも、イランが設計・製造したミサイルと一致したものであることは、国連の専門家委員会も認めている。

こうしたことからわかるように、ハマス、ヒズボラ、フーシ派などの武装勢力は、すべてイランの財政力や技術力によって賄われているものだ。

それは裏返せば、イランの現体制が崩壊し、イランがこうした武装勢力を支援する力を失えば、イスラエルの安全保障は確立し、中東和平の最大の問題が解決することになる。

そしてイランの現在の状況からすれば、イランの現体制が崩壊することまで導ける可能性は、決して小さくはない。

こうした点からすれば、今回のイランからの攻撃を口実にして、イスラエルがイランに対して質的に高い攻撃を行う可能性は開かれていると考えるべきだろう。

自らの優位を冷静に見極めるネタニヤフ

イスラエルのネタニヤフ首相からすれば、アメリカ大統領選挙でイスラエルの立場に理解のあるトランプを当選させたい思惑もあるだろう。

トランプがイランの核関連施設に対する攻撃に理解を示していることも、ネタニヤフ首相には大きな援軍である。

イスラエル側がイラン攻撃に踏み切ったときに、イランによる反撃の可能性をネタニヤフ政権がどう見ているのかは、我々からは窺いしれない。

ネタニヤフ政権はあらゆるシナリオを考えたうえで、イランによる本格的なイスラエル攻撃が防止できるかどうかを、冷静に見ているだろう。

ただこうした事前シナリオがすべて裏目に出る最悪のケースになったとしても、イスラエルとイランの直接衝突に限られ、世界戦争に発展する可能性はないと見ていいのではないか。今の状況でイランに味方してイスラエルとの戦争に加わろうとする国家はないだろうし、イスラエルを支援しているアメリカにしても、イスラエルの間接支援を超える動きは見せないだろうからだ。

体制危機を抱えたイランには切れるカードがあまりないこと、イスラエルにはハニヤ氏を排除できたように、イランの最高指導者のハメネイ師を排除できる能力もあるだろうことも、冷静に評価しておきたい。

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