パドレスのダル(左)、松井と談笑する大谷(C)共同通信社

写真拡大 (全2枚)

 ナ・リーグ西地区3連覇を狙う大谷翔平(30)のドジャースが痛い星を落とした。

【もっと読む】大谷にポストシーズンの懸念…イチロー、カブレラも苦しんだ

 3ゲーム差で迎えた日本時間25日の2位・パドレス戦。2点ビハインドの九回無死一、二塁の好機で次打者には大谷が控えていたが、強攻した9番ロハスが三ゴロ三重殺に倒れて敗戦。大谷は本塁打、盗塁とも「53-55」から上積みできなかった。

 ナ・リーグ西地区の首位攻防初戦を落とし、これでパドレス相手に3勝8敗。パ軍はポストシーズン進出を決めた。

 試合後の会見では、トリプルプレーの場面について米メディアの質問が集中。デーブ・ロバーツ監督は「最終回の攻撃はベストなイニングになるはずだったが、(ロハスが)三重殺を食らってしまった。(次打者の)翔平が打席に立たないのは1%以下の確率だったが、不運にも少ない可能性が起きてしまった」と振り返った。

■ポストシーズン敗退でも“戦犯”扱い

 ド軍は今回の直接対決3連戦で2勝すれば、3年連続地区優勝が決まるものの、3連敗なら逆にパ軍にマジック「3」が点灯。両軍が同率で並んだ場合、直接対決で上回るパ軍が2006年以来、18年ぶりの頂点に立つ。

 すでにド軍のポストシーズン進出は決まっているとはいえ、もし地区優勝を逃そうものなら、あるいはワイルドカードで出場するポストシーズンで敗退しようものなら、地元メディアやファンによるチームへの批判の声が高まるのは必至。かねて采配が疑問視されていたロバーツ監督はもちろん、前人未到の「50-50」を達成した大谷にも怒りの矛先が向けられかねない。

 大谷はライバルのパドレス投手陣に対し、38打数10安打の打率.263、1本塁打、4打点、6三振。得点圏打率はわずかに.125で、大谷が投手陣を打ちあぐねているのが、パ軍に負け越した要因の一つになったのだ。

「50-50フィーバー」偉業達成の弊害

 大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこういった。

「仮にドジャースが地区連覇を逃し、ポストシーズンで早々と姿を消すことになれば、大谷も戦犯の一人に位置付けられるのではないか。今季、開幕前は投手陣が不安視され、大谷、ベッツ、フリーマンのMVPトリオを中心に大量得点して打ち勝つ野球を展開しなければならないのは分かっていたことです。もちろん、大谷の『50-50』は史上初の偉業で十分、評価に値しますが、得点圏打率.259(139打数36安打、7本塁打)と好機で勝負強さを発揮できなかったのは物足りなさが残ります。ポストシーズンでは当然、相手バッテリーの厳しいマークに遭うだけに、レギュラーシーズンのようなパフォーマンスを発揮できない可能性はあります。22年にア・リーグのシーズン最多本塁打記録を更新(62)しながら、ポストシーズンでサッパリだったジャッジ(ヤンキース)のように地元メディアから猛バッシングされるかもしれません」

 大谷は昨年9月に右肘靱帯修復手術を受けたため、今季は打者に専念。他球団であれば、主力の休養にあてるはずのDHを独占した。ベッツは死球で左手を骨折したものの、フリーマン(右手中指骨折)、マンシー(右わき腹痛)、バーンズ(左足親指骨折)らの主力が離脱したのは、大谷によるDH固定の弊害と指摘する声もある。

「エンゼルス時代は投打の二刀流をこなし、ア・リーグMVPに2度、選ばれるなど実績は十分なだけに、首脳陣はもちろん、同僚選手による大谷への気遣いはハンパじゃなかった。ドジャースはただでさえ人気球団でメディアの数も多いところに、日本の報道陣が大挙して押し寄せた。さすがにクラブハウスでの取材は規制されているものの、大谷に関する質問が集中するだけに辟易している選手は少なくありません。今回の『50-50』フィーバーもあって、チームは地区制覇に向けて集中しきれない部分があったのは否定できません」(現地特派員)

 他球団がうらやむ巨大戦力を擁し、地区3連覇が確実視されたドジャース。チームはチャンピオンリングを手にできず、終わってみれば、残されたのは大谷の個人記録だけということになりかねない。

  ◇  ◇  ◇

 そんな大谷だが、ポストシーズンへの懸念点がある。この問題にイチローやカブレラ、ジャッジなどレジェンドたちも苦しめられたという。いったいどういうことか。大谷の「敵」とは。

●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。