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 ステージ3Aの乳がんで闘病していることを8月に公表したタレントの梅宮アンナ(52)が、抗がん剤治療や日々の闘病の様子をインスタグラムで発信している。モデルやタレントとして華やかな姿を見せてきたが、がん治療というプライベートでセンシティブな情報を伝える理由には、“アンナ流”の生き方があった。スポニチ本紙のインタビューに応じ、投稿に込めた思いを明かした。(藤原 真由美)

 「がんになって、全く新しい世界に歩み出したというか、もう人生の軸が変わっちゃったって感じです。朝起きて、目が覚めると、ああ、今日も生きてると思う」

 今年7月に右の乳房に乳がんの一種である「浸潤性小葉がん」が見つかった。リンパ節転移のあるステージ3Aと診断され、抗がん剤治療をスタートさせた。がん治療は昨今、高額な免疫療法などの選択肢もあるが、梅宮は、手術、抗がん剤という一般的な標準治療を選択。がんと告知されてからの心境をSNSで前向きに、そして時には涙ながらに本音を明かし治療の状況もつづっている。

 オシャレなニット帽の下の美しい金髪はウィッグだ。抗がん剤の副作用で頭髪が抜け始めているが、発信する姿はこれまでのまま。そこには俳優の梅宮辰夫さん(19年死去、享年81)の娘として生まれ、常に注目されインフルエンサーとして時代を彩ってきた梅宮らしい気持ちがあった。

 それは「誰かのために、絶望じゃなく希望を与えたいから」という思いだ。

 「病気になった時、いろんな人のSNSを見たんです。闘病のつらいことを見た時に私、絶望しちゃったんです」。一時は治療に入ることを悩んだほどだ。「だから私は、安くていいウィッグをたくさん知っているし、こういうアレンジができる、こういう帽子を合わせるんだよということを見せていこうと思ったの。(読んだ人の)恐怖心やおびえをなくす。それがSNSの使い方だと思っている」と発信する理由を明かした。

 元気な姿を見せているが、抗がん剤の副作用の倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)や息切れで日常生活もままならず、夜は頻尿で2時間置きに目が覚めるという。「人生で一番、抗がん剤がつらい」と本音も漏らした。SNSのコメント欄には治療に対して否定的な言葉も書き込まれ、「私自身というより、同じように治療している人たちも見てるわけだから申し訳なくなって、コメント欄を閉鎖しようかなと思う時もあります」と複雑な思いに涙を拭った。

 さまざまな治療法を勧めてくる人もいるが、標準治療を選択し、その経過を発信している。父の辰夫さんは30代半ばだった74年に精巣がんを発症。標準治療を受ける姿を幼い頃から目の当たりにしてきた。「父は運が強かったのかもしれないけど、どうにか81歳まで好きなことをやって生きて。人によると思うんですけど、私はいま受けている治療で治る確率が高いというのを見てきた」。そうした理由で標準治療を選んだ。

 近くパクリタキセルという新たな抗がん剤の投与が始まり、順調にいけば年内に手術を受ける。その後は放射線療法を経て、ホルモンの薬を10年飲む。「長い長い道ですね」と思わずつぶやく。「もしかしたらダメかもしれないけど、私の場合は自分で選んだ治療法なのでダメだったと納得できる。ちゃんとこの過程をさらして、体験を伝えていくのが私の生き方」と“アンナ流”を貫いていく。

 ◇梅宮 アンナ(うめみや・あんな)1972年(昭47)8月20日生まれ、東京都出身の52歳。父は俳優の故梅宮辰夫さん。ファッション誌「JJ」などのモデルとしてデビュー。その後、タレントとして活動。01年に結婚し、翌年長女を出産。03年に離婚。現在は母のクラウディアさん(80)、長女・百々果さん(22)と3人家族。