23日、レバノン南部でイスラエルの空爆を受け立ち上る煙=AP

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 【エルサレム=笹子美奈子】レバノン保健省は23日、イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とするレバノンにイスラエル軍が同日行った空爆による死者が子ども35人を含む492人に、負傷者が1645人になったと発表した。

 AP通信は2006年のイスラエルとヒズボラの大規模戦闘以降、双方の交戦による犠牲者では最多と伝えた。

 戦闘はさらに激化する恐れがある。これに関し、イスラエル軍は24日、ヒズボラの軍事拠点など約1600か所を戦闘機数百機で攻撃したと発表した。空爆はレバノン南部が中心だが、首都ベイルートなども標的となっている。

 中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラは、空爆で、煙があちこちから立ち上る様子を伝えている。幹線道路は戦火を逃れて、北へ避難する住民らが乗ったトラックなどで渋滞している。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は23日のビデオ演説で、ヒズボラがロケット弾などを保管しているとして、ヒズボラの施設以外も攻撃する可能性を示唆した。ヘルツィ・ハレビ軍参謀総長は23日、「次の局面に向け準備している」と述べた。軍報道官は23日の記者会見で、地上作戦の可能性を排除しなかった。

 イスラエル軍は今回の空爆について、ヒズボラの攻撃で避難を余儀なくされている北部の住民を帰還させるためとしている。レバノン側からの砲撃も相次いでおり、イスラエル北部ハイファなどでは多くの市民がシェルターに避難している。