スポニチ

写真拡大

 ◇セ・リーグ 阪神0ー1巨人(2024年9月23日 甲子園)

 阪神は、8月の復帰後4戦4勝だった高橋遥人投手(28)を先発に送り込んだ23日の首位・巨人戦(甲子園)で痛恨の零敗を喫し、2ゲーム差に広げられた。今季最後の伝統の一戦で、6回まで三塁を踏ませない好投が一転、7回の3連打による1失点で今季初黒星。岡田彰布監督(66)の投打にわたる勝負采配も実らず、前夜の「1―0勝利」を同じスコアで返された。痛い一敗を喫したが、まだ終わったわけではない。優勝マジックを4に減らしたライバルを追い、残り5試合、死力を尽くすのみだ。

 逆転連覇への希望を担ってきた高橋で敗れた。6回まではわずか2安打しか許さず、勝利だけが求められた天王山にふさわしい投球を見せた。しかし許した1点が、今季初黒星に直結。「先制点を与えたので。それが決勝点になった。申し訳ない、という感じです」と敗戦の責を負った。

 暗転した7回は、先頭の吉川に中前打を浴び、岡本和には2ストライクから内角を突いた147キロを左翼線にはじき返された。一、三塁から代打・坂本に外角149キロを右前に運ばれると、4万2639人が埋めたスタンドに「あぁ〜」の嘆きが響いた。3連打で交代を告げられた。

 「最後、打ち返されるボールだったというところで、本当に力不足という感じ」

 肩、肘、手首の手術を乗り越えて3年ぶりに復帰した8月以降、4戦全勝。特に広島から3勝を挙げ、失速させる要因をつくった。直近2戦は復帰当初の中10日から1日短い中9日で回った。広島と巨人相手に当てられるよう、先発ローテーションが組み替えられた。その双肩に全幅の信頼を寄せられていた。

 岡田監督の必勝の思いは、高橋の計画的起用だけでなく、采配にも表れた。0―1の7回無死一、二塁で石井を投入し、それ以上の失点を防いだ。1点劣勢でも勝ちパターンの桐敷、ゲラを送り、追加点を許さなかった。9回2死一塁では代走・植田で二盗。一打同点の場面をつくった。両軍無失策の息詰まる好ゲーム。最後の最後まで勝負の行方をわからなくした。しかし本塁が遠かった。才木で「1―0勝利」をした前夜の借りを返され、同スコアで敗れた。

 4戦全勝だった高橋で落とした1敗は、あまりに痛く、重い。それを物語るように、指揮官は言葉を発することなく引き揚げた。2日時点で今季最大5差をつけられていた巨人(当時2位)に前日22日の一戦で1差まで肉薄しながら、最後の直接対決に敗れ、再び2差に広げられた。優勝マジックは4に減らされた。

 この日の甲子園は、季節の移り変わりを示すように、スコアボードの旗が、普段の浜風とは逆の左翼から右翼へなびいた。しかしセ界に秋風を吹かせるのはまだ早い。残り5試合、全勝あるのみだ。(倉世古 洋平)

 ○…阪神は今季の巨人戦を12勝12敗1分けの勝率.500で終了。21年から続いていた巨人戦の勝ち越しが3年でストップした。仮に4年連続で勝ち越していれば03〜05年の3年を更新する2リーグ制以降の新記録。1リーグ時代を含めれば43〜48年の5シーズン連続(45年は戦争で中止)に次ぐ2番目の記録となっていた。