イスラエル軍からの攻撃を受け煙が立ち込めるレバノン南部(23日)=ロイター

写真拡大

 【カイロ=西田道成】イスラエル軍は23日、レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラが使う施設に対し空爆を行い、約800の標的を攻撃したと明らかにした。

 レバノン保健省は23日、同国南部などへの空爆で274人が死亡、1024人が負傷したと発表した。

 ヒズボラもこの日、複数のイスラエルの軍事施設をロケット弾で攻撃したと主張しており、応酬が激化している。イスラエル軍はレバノンから多数の飛翔体が飛来したと明らかにした。

 軍はヒズボラが国境地帯の民家に巡航ミサイルなどを隠していると主張し、付近の住民に直ちに避難するよう呼びかけた。ロイター通信によると、レバノン南部の住民は国内からの電話で、ヒズボラが利用する施設から1キロ・メートル離れるよう警告を受けた。

 イスラエル紙ハアレツによると、ヨアブ・ガラント国防相は23日、「レバノンへの攻撃を強めている。イスラエル北部住民の安全な帰還という目標が達成されるまで行動を続ける」と述べ、国民に冷静な対応と規律を保つよう求めた。ヘルツィ・ハレビ軍参謀総長は22日の声明で「今後数日間の計画を立てている」として、攻勢を強める考えを表明した。

 一方、ヒズボラのナンバー2、ナイム・カセム師は22日、イスラエル軍との戦闘が「制限なき報いの戦いという新たな段階」に入ったと述べ、パレスチナ自治区ガザでの戦闘が終結するまで攻撃を続ける姿勢を示した。