北京の日本人学校関係者や日系企業代表と黙とうする柘植芳文・外務副大臣(左端)(23日、北京で)=大原一郎撮影

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 【北京=東慶一郎】中国広東省深圳(しんせん)市の深圳日本人学校に通う男児の刺殺事件で、柘植芳文・外務副大臣は23日、訪問先の北京で孫衛東・外務次官と会談し、再発防止策など今後の対応を協議した。

 外務省によると、柘植氏は一刻も早い真相の解明や明確な説明、中国各地の子供をはじめとする邦人の安全確保を強く求めた。再発防止の観点から、中国のSNS上で広がっている日本人学校などに関する悪質で反日的な投稿を取り締まるよう要請した。

 孫氏は「今回の事件に驚いており、いかなる暴力にも断固反対する」と述べ、遺族への援助と日本人を含む外国人の安全を守る考えを示したという。柘植氏は会談後、孫氏が「事件は偶発的なもの」と言及したと明らかにし、「動機や背景について明確な回答はなかった」と記者団に述べた。

 中国外務省の林剣(リンジエン)・副報道局長は23日の記者会見で、SNSの投稿について問われ「中国には、いわゆる『反日教育』は存在しない。事件後、少なくない住民が献花し、中日両国民の友好を願った」と主張し、日本側の懸念に反発した。

 柘植氏は会談後、北京の在中国日本大使館で現地に進出する日本企業の団体や日本人学校の関係者と邦人児童の警備強化などについて意見交換した。