警察庁が入る庁舎=2024年9月2日午後1時17分、東京都千代田区、板倉大地撮影

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 昨年7月に規制が緩和された電動キックボードの利用者に警察庁がアンケートをしたところ、9割超がヘルメットを着用していないことがわかった。

 警察庁が19日に調査の結果を発表した。同庁は、シェアリング事業者に対し、ヘルメットの貸し出しをするように促す方針だ。

 電動キックボードは原付きバイクに分類されるが、昨年7月に改正道路交通法が施行され、最高速度20キロ以下などの要件を満たす車体は「特定小型原動機付き自転車(特定小型)」となった。16歳以上であれば運転免許がなくても運転でき、ヘルメットの着用は努力義務だ。

 警察庁は6月、大手シェアリング事業者2社などを通じて、利用者のヘルメットの着用率を調査し、1083人から回答を得た。270人が「ヘルメットを持っている」と回答したが、そのうち電動キックボード利用中に「着用している」と答えたのは50人。全回答者の4.6%にとどまった。

 特定小型の事故は1〜6月に134件発生した。死者はおらず、利用者がけがをしたのは95人で、うち12人は重傷だった。けが人でヘルメットを着けていたのは4人で、重傷者はゼロ。この半年間に起きた事故の3分の1は単独事故で、転倒によって頭や顔にけがをする事故が多かった。

 警察庁は調査結果を踏まえ、車両の貸し出しをする拠点「ポート」でヘルメットをレンタルできるように事業者に働きかける。

 一方、半年間の摘発件数は全体で1万8026件だった。最も多かったのは、ルールに反して歩道を走行するなどの通行区分違反で、6割弱を占めた。酒気帯び運転での摘発は157件あり、23年7〜12月の4倍超にのぼった。

 都市部を中心に展開する大手シェアリング事業者2社の車両は7月末で計1万4860台あり、この1年間で2.7倍に増加。「ポート」や事業者の数も増えている。(板倉大地)