婚活をしても、価値観が合う人と結婚できる未来が描けない」と、私のところへご相談にやってきたのでした。

◆通勤カジュアルのつもりが、ただの「幼いおばさん」

麻衣さんは35歳独身のわりに、もっと年上にも見えました。服装はウエストゴムの楽なパンツとスニーカーでカジュアルです。カジュアルでもおしゃれな女性はいますが、麻衣さんは生活感がありすぎるのです。職場があるのは住宅街で、いつも自転車で通勤しているそうです。お化粧はしているのですが厚塗り感があり、肌ツヤがありません。髪はふつうのヘアゴムで結んでいました。

仕事では動きやすい制服があり職場に着いたら着替えるので、人目を気にする服はあまり持っていないそうです。

普段の私服とデートの服の写真を見せてもらいました。

「麻衣さん。この服だと、首都圏の婚活女性の中ではもっさりしている部類なんですよ」
「普通じゃないんですか。おしゃれしているつもりなんですけど」
「麻衣さんの職場ならこれで問題ないと思うんだけど、恵比寿とか丸の内とか渋谷に通勤している女性と比べたら生活感ない?」
「あるとおもいます。でも、ヒールを履いて職場に行くわけにはいかないし、ネイルは禁止されているんですよ」

◆誰も35歳の大人に、外見の指摘なんてしてくれない

このマインドでは東京の婚活で勝ち残れない。そう思った私は指摘を続けます。

「分かりますよ。ネイルはしなくてもいいけれど、恵比寿で働く女性も婚活していて、彼女たちは通勤服よりおしゃれして写真を撮って、通勤服よりおしゃれしてお見合いに行っているの。

20代女性もいるし、恵比寿や丸の内勤務の女性と比較検討されると30代男性はもっと華やかでかわいい女性を選ぶから、麻衣さんもメイクを習って外見を磨きましょう。服装が学生っぽいしメイクも10年前と同じなんですよ。

仲人さんには希望条件を広げようってアドバイスされたそうですが、外見の指摘は普通の結婚相談所はしてくれないです」

◆50代男性しか寄ってこないのは、同年代から見たらダサいから

麻衣さんは心から意外そうな顔をしていました。

「そうなんですか!」
「そうですよ。だってお客様だから言いにくいし、ショックを受けるでしょう。50代男性から見れば35歳は相対的に若くてかわいく見えるから申し込むんでしょう。でも同年代男性からみたらダサすぎるの」
「メイクは習ってもいいけど、あまりやる気が起きないんですよね。私はコミュニケーションが取りやすい、価値観が合う人に出会いたいだけなんです」

麻衣さんのいう“コミュニケーションが取りやすい価値観が合う人”とは、婚活パーティーでハリー・ポッターの話が盛り上がった男性のような人のことのようです。

「初対面の女性と会話して盛り上がれる男性って、女性慣れしていてモテる、人気のある男性です。価値観が合うって女性に感じさせるのが上手なんですよ。ある程度あなた自身の人気を上げないと、価値観が合う人もなにもないんです」
「そうなんですか?」
結婚相談所で申し込みした同年代男性からは、全員お断りされましたんですよね。麻衣さんから見て会ってもいいなと思った男性は、他の女性も『会ってもいい』と思うので人気者なんです」

◆“価値観が合う人”を探す前に、やることがある

麻衣さんは自分が漠然と考えていた理想が高望みであることに気が付き、自分は普通よりずっと外見が手抜きであることは受け入れてくれ、メイクを習って写真を撮り直すと約束してくれました。

“価値観が合う人”を見つけられるのは、婚活市場で一定以上の人気がある人だけだと思っておいてください。価値観が合う人を探す前に、やることがあるケースが多いのです。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt