子どもの前でケンカをし始める夫婦。仲直りできないのを心配した息子が取った行動は?


【漫画】本編を読む

ご飯を食べに行ったとき、子どもの前で夫婦ゲンカをしてしまった。そのまま数週間、仲直りできないでいる夫婦。険悪なままの両親を見た息子は「早く仲直りして欲しい」と、ある行動に出た。今回は、Xで8500を超えるいいねを獲得した、まるいがんも(@kenihare)さんの「さかえ通り O.D.N」より「よくケンカする夫婦に隠し包丁を入れた子供の話」を紹介するとともにシリーズの制作について話を聞いた。

■夫婦ゲンカをうまく取り持つ息子。子どもの方が隠し包丁を入れるのがうまい?

よくケンカする夫婦に隠し包丁を入れた子供の話02


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とある町の「さかえ通り」にあるおでん屋。メニューは「おでんとコーヒー」だけ。ちょっと変わったお店だ。それでもここの「おでんは格別!」と、さまざまな人が訪れる。

第三話は、子連れの夫婦の話。店主が「おいしいかい?」と子どもに聞くと、「そりゃママが作ったのよりうまいわな」と旦那さん。その一言で「何よそれ」「本当のこと言っただけだろう」と、ケンカ勃発。そばにいる息子は悲しい気持ちになった。その日を境に仲直りできない夫婦。困った息子はおでん屋の店主に相談に向かう。

■コーヒーとおでんのお店という設定。毎回おでんの具材に絡めてストーリーを作るのに苦労した

苦手だと思ってたけど、いざ食べてみると意外に好きになる話03


――まずは、「さかえ通り O.D.N」 の制作のきっかけを教えてください。

街の飲食店をテーマにオムニバス形式のマンガを描いてみたいと思っていました。舞台に関しては、当時(数年前)に高田馬場に住んでいて駅前の「さかえ通り商店街」によく通っていたことがタイトルになっています。ODNは、「おでん」のことです。

ただ、僕はお酒が飲めないので居酒屋にしてしまうと知識がないので、「お酒のことを詳しくは書けないな…」と思い、コーヒーとおでんのお店という変なお店の設定になったんです。おでんにしたのは単純に僕が好きでよく作って食べているからです。ペンネームの由来にもなっています。

「さかえ通り O.D.N」は自分でX(旧Twitter)やnoteなどに出すように描いたもので、3話くらい描きました。その後「よめるも」というWEBメディアで連載のお話をいただき、好きなものを描いてOKということだったので「おでんだねはよもやま話で」というタイトルに変えて連載をしていたものになります。

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――本作にはいろいろなお客さんのエピソードがきっかけが起点となって、物語が始まります。シリーズのなかで、思い入れのある作品はありますか?

どの話も割と思い入れはあるのですが、個人的には「しらたきの話」(亡くなった亭主がピアノを練習して妻に聞かせる話でしょうか)架空の歌とCMを考えるのが楽しかったです。それと「空からカエルが降ってくる話」もです。「マグノリア」という映画にそういうシーンがあるのですが、当時その映画を見たときそのシーンの意味や意図のようなものがわからずにいろいろと調べたことがあるんです。で、雨上がりの日なんかに自宅近くの道に大きなカエルがいて、川もすごく離れた場所なのに普段このカエルはどこにいるんだろう?と不思議に思ったことも漫画に詰め込みました。どこかで描きたいと思っていたことをこうして作品で表に出せたのは良かったです。

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――制作にあたり、こだわっている点はありますか?

毎回おでんの具材に絡めてストーリーを作るのに苦労していた記憶があります。その具材の特徴などになぞらえるのが後半はなかなか苦しくなっていました。ただ、そこを切り離してしまうとおでん屋さんである意味が薄れてしまうのでそこは気をつけていました。

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――隠し包丁のお話がとくに反響が大きかったと思いますが、感想はいかがですか?

この話はおそらくこのシリーズで唯一、反対コメントなどもいただいたものです。もちろんフィクションではありますが、多少ナイーブな家族事情(親のケンカなど)に触れているので、読んで気分を害した方もいらっしゃったかと思います。僕もコメントを読んで気づくことも多くありました。こちらの経験は今後のマンガ作りに活かしていければと思っております。

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――「制作するのが大変だった!」というような裏話があれば教えてください。

コマのフォーマットを決めてしまったことで、描きづらくなっていた箇所はあります。連載時は1ページ2コマ(電子書籍版は1ページ8コマに集約)に決めて描いていたのですが、どうしてもここは大きいコマでドーンと見せたい!という時にも他と同じコマの大きさなのでメリハリがつかせにくくなっていたのはあります。コマのフォーマットを決めるとコマ割りを考えなくてよくなるというメリットはあるのですが、場合によってはそこが引っかかることがあるのは描いてみてわかったことでした。

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――第一話から最終回までを通して、気持ちの上での変化はありましたか?

描いていくうちにキャラへの愛が深まっていく感じはありました。描き進めていくなかで、出てくる登場人物のスピンオフの話などがふわっと浮かんだり、マスターのこういう話もどこかで描こう、というのが浮かんできていました。そのあたりを描く前に連載していたメディア自体が終わってしまったので描けるものならまだまだ描いていきたかったと思っています。またどこかのタイミングで、自分で勝手に続きのようなものを描きたいなと思っています。

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――そのほかには、どのような漫画を描いていますか?

現在は「東洋経済オンライン」にて「真面目なマジメな真締くん」というオフィスコメディを連載させていただいております。こちらもおでんの話と同様、自分で大好きな作品なので、ぜひ読んでいただければありがたいです。

取材協力:まるいがんも(@kenihare)