『そのいのち』製作発表会見より (左から)宮沢りえ、佐藤二朗

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2024年11月9日(土)より世田谷パブリックシアターにて『そのいのち』が上演される(東京を皮切りに兵庫・宮城と巡演)。公演に先駆け、製作発表会見が実施された。

佐藤二朗がミュージシャンの中村佳穂の楽曲「そのいのち」(2018)にインスパイアされ執筆した今作。介護ヘルパーとして働く山田里見と、彼女の雇い主で障がいを持った相馬花とその夫・和清の穏やかな日々、そして、あることをきっかけにその穏やかな関係が徐々に狂い始めていく。「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」を描く。

相馬花役(Wキャスト)には佳山明と上甲にか。また、その他出演者に鈴木福の弟で、ドラマやバラエティなど益々活躍の場を広げる鈴木楽や今藤洋子、本間剛と佐藤二朗が信頼を置く実力派が揃った。

今回の製作発表会見では、佐藤二朗12年ぶりの書き下ろし新作戯曲となる本作の見どころや、舞台初共演となる宮沢りえと佐藤二朗の本作に懸ける意気込みを語った。

宮沢りえ コメント

脚本をいただいて、最初はわくわくして読み始めましたが、あるシーンで鳥肌が立つほど心を動かされました。その瞬間にこの作品に参加したいという気持ちが湧き上がりました。難しいテーマではありますが、二朗さんが書いたメッセージを伝えたいという情熱と信頼さえあれば問題ないと思っています。佐藤二朗さんは、人間としてのユーモアと情熱にあふれた人です。
今回は身体の不自由なお二人が出演されますが、彼女たちが自由な気持ちで、肉体的にも負荷のないよう、一緒に良いお芝居を作っていけたらと思います。「健常者」と「障がい者」とはなんなのか、今疑問が湧いていて。健常者として、身体が自由でも心が不自由な事もあるかもしれない。お二人と作品をつくることで少しでもその疑問が明確になって、沢山の気付きもあると思います。
観に来ていただいた方には、私が衝撃を受けたシーンを劇場で味わっていただきたいです。自分にとって愛する人、愛した人のことを考えると、心に問いかけるテーマになっています。誠実に取り組んで、観に来てくださった方に忘れられない時間だと思っていただけるようがんばります!

佐藤二朗 コメント

鍼がなぜ腰痛や肩凝りに効くかというと、あえて付けた傷を補おうとして血の流れが良くなるからなんです。それが「生きる」ことなんじゃないかと思います。負を力に変えることこそが、生きること。それを祈るように信じています。(脚本を書く時)パブリックイメージと真逆のものを書くのはなぜ? とよく聞かれるけれど(笑)、僕にとっての生きることを、心血を注いで書きたいと思うんです。
障がいがあるお二人をオファーしたのも、負が力に変わることをこの目で見たかったから。ハンディキャップを持つ方が舞台に立つハードルの高さは承知の上で、乗り超える価値のある山だと考えています。座組一丸となってこの山に立ち向かいたいです。
りえちゃんに思い切って脚本を渡してみたら、「楽しみです」と言ってくれて、これはあるかもしれない!と思って。酔っ払って長文のメールも送りました(笑)。最後に「そそられます」と、同業者としてとても嬉しいことを言ってくれたので、この俳優は信用できるなと思いました。宮沢りえという大きな存在と一緒にやれるのが楽しみです。