(後列左から) 戸井勝海、彩吹真央、TETSUHARU(演出・振付)(前列左から) 豊原江理佳、平間壮一、Micro(Def Tech)、松下優也、sara

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2024年9月22日(日・祝)~10月6日(日)天王洲 銀河劇場を皮切りに京都、名古屋、神奈川にて各地を回り、Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』が上演される。

この度、本公演に先駆けて稽古場会見が行われた。会見では、「IN THE HEIGHTS」「PACIENCIA Y FE」「BLACKOUT」の3曲が披露され、演出・振付のTETSUHARU、出演のMicro(Def Tech)、平間壮一、松下優也、sara、豊原江理佳、戸井勝海、彩吹真央が登壇し、コメントした。

撮影:飯山福子

『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』は、世界中で最もが取れないミュージカルと言われる「ハミルトン」を生んだブロ-ドウェイの異端児リン=マニュエル・ミランダの処女作であり、傑作と呼ばれている。ミランダ自身が出演した本国版は、2008年度トニー賞最優秀作品賞を含む4部門での受賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞。21年には映画化もされ、ゴールデングローブ賞主演男優賞にもノミネート。ラップやサルサ、ヒップホップなどの楽曲が多数使用され、本作のアルバムは09年度グラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞も受賞するなど、まさに21世紀のミュージカル界に新風を巻き起こした作品。

田中利花          撮影:飯山福子

(左)KAITA(右)有馬爽人          撮影:飯山福子

MARU          撮影:飯山福子

(左から)Micro、エリアンナ、ダンドイ舞莉花          撮影:飯山福子

2014年に、日本人では表現が難しいとされたラップ部分をKREVAが見事な日本語表現に替え、ヒップホップを本分とするDef TechのMicroをウスナビ役に迎え、日本人に届く日本語歌詞へ作り上げた日本版を上演。そして、7年後の21年の再演は、新キャストを迎え、緊急事態宣言で最後は公演中止を余儀なくされながらも、コロナ禍の日本を熱くさせた。そして今回、日本版上陸10周年を迎える今秋に再び上演する。

撮影:飯山福子

(左から)田中利花、平間壮一          撮影:飯山福子

中央:松下優也、sara          撮影:飯山福子

稽古場会見 コメント

■TETSUHARU 【演出・振付】
『イン・ザ・ハイツ』は、マンハッタン北部にあるラテンコミュニティのマイノリティの方たちの物語です。
人種差別によって抑圧されたパワーであったり、底抜けに明るい国民性がよく反映されている作品なのですが、今回のキャストはとにかく個性が豊かで明るいので、それをパフォーマンスに還元してもらっています。
今回は新たな試みとして、男性が演じているピラグア屋の性別を変え、MARUさんという素晴らしいシンガーの方に演じていただきます。『イン・ザ・ハイツ』はピラグア屋からの目線で描かれている作品でもあるので、ある意味最も重要な役なんです。原作サイドにお伺いを立てたところ、多様性ということも踏まえて女性に演じていただくことを了承していただけました。
また、グラフィティ・ピート役は、初演や再演ではジャズダンスやコンテンポラリーダンスを得意としている俳優が演じていましたが、今回はプロリーグでも実績のあるダンサー、KAITAくんに演じてもらいます。
Microくんはアーティストとして活動されていますし、(平間)壮ちゃんや戸井(勝海)さんや彩吹(真央)さんはミュージカルのキャリアも豊富な方々ですし、(松下)優也くんはマルチに活躍されていて、saraちゃんは素敵な声の持ち主、(豊原)江理佳ちゃんはルーツが中南米だから、スペイン語の指導にも入ってもらったりしています。その他のキャストたちも皆さんそれぞれ特化したものを持っているので、あるものを与え、無いものをもらうといった「補い合うこと」がこの稽古場では盛んに行われているので、その様子を見て本当に頼もしい人たちだなと皆さんをリスペクトしています。
作品そのものの完成度が高いからこそ、日本語版ではどこまで寄り添えるか日々奮闘していますが、僕はこの力強いキャストたちから出てきたものを、バランスをとり、光の差すところに配置し、整える役割だと思っています。
お稽古ではまだ一幕を捜索中ではありますが、今日の楽曲披露を見ていただいた通り、本当にエネルギッシュなパフォーマンスをしてくれているので、この調子で全幕、しっかりと取り組み素敵な作品になるように、そして皆様にお届けできますように、暑さに負けず頑張っていきたいと思っています。

■Micro(Def Tech)  【ウスナビ 役(Wキャスト)】

Micro          撮影:飯山福子

ウスナビ役をやらせていただくのは3回目になります。最初は役者のお仕事をしたことがなく、音楽しかやってこなかった中でウスナビと出会いました。実は当時(平間)壮ちゃんが1回目の舞台を観に来てくれていて、カンパニーには(松下)優也くんや、エリアンナもいました。そして10年前はアンダースタディだったダンドイ舞莉花が今回はプリンシパルに入ってきたり、本当に夢がつまっている、こんなに素晴らしいカンパニーは他にありません!これが日本でできる最高の『イン・ザ・ハイツ』だと確信しています。
今回初参加のsaraちゃんと(豊原)江理佳ちゃんは、とにかく歌がヤバイ! ピカイチです! 声の性質もですけれど、言葉がとにかく聞こえてくる。壮ちゃんは前回よりもさらにグレードアップしています。ラップの声の立ち方が前回とは比べ物にならないくらいで、脅威です(笑)。優也くんはリーダーシップをもって動いてくれていて、本当に“ここに来てよかったな”と思います。
ウスナビという役は“街灯”です。みんなを照らすライトです。どこがホームなのか、どこに自分の幸せがあるのか、僕はここで一生懸命頑張る、この場所こそがホームなんだ、と決めたその場所が心の拠り所だと思っています。僕たちの拠り所はスーツケースの中です。よろしくお願いします!

■平間壮一 【ウスナビ 役(Wキャスト)】

平間壮一          撮影:飯山福子

前回の再演に出演させていただき、本当に大事に大事に作ってきた作品です。今回のキャストは皆熱くてパワフルで、真剣に向き合っていて、大好きなカンパニーです。この時間は今この時だけだと思って全力でぶつかっていきたいと思っています。
ウスナビは自信がない少年で、いろんなものが目に入ってくる世の中で、一生懸命自分なりにやっているはずなのに周りがすごく見えて沈んでいくような、どんどん埋もれていくような日々があって。でも絶対に言えるのは、朝目を覚ました時点で一日を必死に生きている。その周りには絶対に大切な人がいて、その人たちのことを大切にすればいいんだ、と気づける舞台だと思っています。人の人生を羨むことが多い時代だと思いますが、自分は自分で良いんだとこの作品を観て感じていただけたら嬉しいです。この作品を観終わったときに、少しでも“明日も頑張って生きてみよう“と思うような作品にしたいと思っています。ぜひ観に来てください!

■松下優也  【ベニー 役】

松下優也          撮影:飯山福子

初演でベニーを演じていた時は、ミュージカルでこんなに純粋に音楽が良いなと思えた作品に出会えたことのワクワク感で毎日過ごしていました。まさか10年後に再々演でベニーとして戻ってくることができるとは思っていませんでした。
(平間)壮ちゃんとは若い時から共演していて、5年前には兄弟役でストレートプレイで共演したんですが、ミュージカルでの共演は初めてです。お互いミュージカルをやっていて、同世代で同じ時代を戦ってきた同士という感覚がありますし、今回一緒にやれているのがすごく楽しいし面白いです。これは誉め言葉ですが、自分のことも壮ちゃんのことも正統派ではないと思っていて、でも『イン・ザ・ハイツ』という作品においてはこれが正統派なのではないかと思います。リン=マニュエル・ミランダがこの作品の中に自分の居場所を作ったように、きっと壮ちゃんや僕にとっての居場所が『イン・ザ・ハイツ』になっているのかなと思います。
初演と再演をリスペクトしながら、初めて『イン・ザ・ハイツ』という作品に挑むつもりで再構築していきたいです。爆発的に良くなると思っています!よろしくお願いします。

■sara  【ニーナ 役】

sara          撮影:飯山福子

私は今回から参加させていただきますが、この稽古場に来て、そしてこのセットに囲まれると歴史を感じます。初演からのメンバー、再演からのメンバー、今回からのメンバー、みんなで繋いできたバトンみたいなものを感じて、自分のニーナという役柄と向き合いつつ演じることにいい意味で重みを感じているところです。今回からのキャストとしては、音楽や芝居の流れに一生懸命ついていっているところなのですが、キャストの皆さんが温かくて、わからないこと、挑戦することをすごくオープンに称えてくれるようなカンパニーなので、こんなカンパニーはなかなかないと思いますし、このメンバーだからこそできる2024年の『イン・ザ・ハイツ』というものを、自分のできる全力を注いで作っていきたいと思っています。

■豊原江理佳  【ヴァネッサ 役】

豊原江理佳          撮影:飯山福子

今回初めて『イン・ザ・ハイツ』に参加させていただきます。私がこの作品を初めて観たのは12歳のときで、そこからずっと、いつかこの作品にヴァネッサとして出演するというのが夢のひとつでした。私はドミニカ共和国と日本のハーフなので、まさにドミニカやプエルトリコ、キューバなどがルーツの『イン・ザ・ハイツ』に参加させていただけてすごく嬉しいです。ドミニカ共和国出身ではありますが、1歳の時にはもう日本にいて、そこから一度帰っただけで実はほとんどドミニカのことを知らないので、だからこそ特別に感じているというか、大事にしたいと思っていますし、それをこの作品に入って再認識させていただいているなと感じています。
毎日稽古場で音楽が鳴り始めたり、皆が言葉を交わしたりしているのを聞くたびに、故郷に戻ってきたような温かい気持ちになります。自分が安心できる場所やなんでも話せる人とか、ありのままの自分でいられるような帰れる場所を思い出していただける作品になったらいいなと思います。素晴らしいキャストの皆さんと、最高の日本版『イン・ザ・ハイツ』を作りたいと思います。

■戸井勝海  【ケヴィン・ロザリオ 役】
21年の再演でケヴィン・ロザリオやらせていただいて、この作品と出演キャストからいろいろな刺激を受けて、人としても、役者としても大きな転機を迎えることができた、僕にとってとても大切な作品がこの『イン・ザ・ハイツ』です。今回また参加させていただけるというのは本当に嬉しいです。この作品の中でケヴィンはいろいろなことを言われるし、みなさんもいろいろなことを乗り越えながら生きていきますが、自分の普段の父親としての居方、人としての居方をすごく考えさせられて、プライベートの僕の家の中も大きく変わっていったし、感謝をしてもしきれない作品でもあります。環境どうこうではなく、その人の感じ方・思いがちょっとでも変わった瞬間に世界が変わるというのは、この作品のテーマとしてお客様に届いてゆくと思いますが、帰り道のお客様の目の前の世界がほんの少しでも明るくなるように頑張りたいと思います。

(左から)彩吹真央、戸井勝海、Micro          撮影:飯山福子

■彩吹真央  【カミラ・ロザリオ 役】
10年前の初演を拝見させていただいておりまして、この作品を日本で上演できるなんて!という感動でいっぱいでした。その当時の私にとってはとても手の届かない世界観だったのですが、いろいろな多様性が進んだり、私もたくさん経験させていただき、今回出演のお話をいただいた時に、10年前に思っていた自分と、今の自分の感覚が変わっていたのでとても嬉しい気持ちでいっぱいでした。最初に行われたプリンシパルキャストの歌稽古の時から皆さんがあまりにも出来上がっていて、はじめはプレッシャーとか自分のついていけなさに一瞬すごく落ちたんですけど、それよりもこの素晴らしいカンパニーの中に入れていただいたという事の幸せの方が勝ってしまって、それ以降暗い気持ちが全くなくなり、怖くなくなりました。
きっと皆さんが安心して私たちを包んでくださるように、舞台に立てるんじゃないかなと思います。今稽古の中でトライ&エラーをしても恥ずかしくない、心を裸にして向き合えるカンパニーなんだと感じながら日々稽古をしています。初日に向けて、この「ホーム」となるテーマのコミュニティーの中のロザリオ家というひとつの家族のありかたをどう打ち出すか重要になってくると思うので戸井さんとsaraちゃんと3人ならではの家族像・絆みたいなものを見つけたい、そしてカンパニーからキャッチする感覚を大切に演じたいと思います。