ネトフリドラマ「地面師たち」にハマる人が続出中(NetflixのHPより)

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 Netflixのオリジナルドラマ「地面師たち」にハマる人が続出している。綾野剛、豊川悦司、ピエール瀧、北村一輝、小池栄子、リリー・フランキー、山本耕史…など豪華俳優陣の演技力もさることながら、劇伴音楽を担当した石野卓球のミニマルなサウンドも中毒性が強く、「気付いたら7話まで一気見していた」という声もよく聞かれる。本作は2018年に実際に起きた“地面師事件”が題材になっていることで知られる。

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【写真を見る】タバコと揉め事が好きだったという「主犯格」の土井淑雄

 駅徒歩5分の好立地に建つ高級タワーマンション「アトラスタワー五反田」。この物件を陰で“地面師タワー”と呼ぶ関係者がいる理由こそ、6年前にこの地が巨額の詐欺事件の舞台になったことに他ならない。

ネトフリドラマ「地面師たち」にハマる人が続出中(NetflixのHPより)

“被害者”の国内大手デベロッパー・積水ハウスは、50億円以上ものカネをだまし取られた。その主犯格とされるのが、土井淑雄(事件当時61歳)だ。

 口八丁で他人のカネを引っ張り続けた土井の「偽りの履歴書」について、2018年12月6日号の『週刊新潮』の記事の一部を再録する。

※以下、『週刊新潮』2018年12月6日号の一部を抜粋/編集してお届けする。

事件を主導したキーマン

 土井の知人はこう明かす。

「虚言癖というかね。呼吸をするようにウソをついていた。しかも、自分でついたウソをそのうち、自分で信じているようなところがあったな……」

 事件の関係者が一斉逮捕されてから1カ月余り。その間、逃亡生活を続けていた土井が、飯倉片町の交差点に近い六本木のマンションでついに逮捕された。

「京都や静岡に潜伏しているという情報もありましたが、逮捕までの2〜3週間ほど土井が身を寄せていたのは、長年の知り合いのマンションでした。逮捕当日は、午前8時半過ぎに15名ほどの捜査官が部屋を取り囲んで身柄を確保。その後の取り調べに対して土井は、“言いたいことはありません”と口をつぐんでいます」(社会部記者)

 土井は、ひと足先に御用となった内田マイク(当時64歳)や、海外逃亡中のカミンスカス操(当時58歳)らと共に事件を主導したキーマンで、騙し取ったカネをメンバーに分配したとされる。詐欺容疑で再逮捕される可能性も高い彼の人生は「だます」という言葉を抜きに語れない。先の知人が続ける。

「パリ・ソルボンヌ大卒で16区のカフェに行くのが日課」

「土井は誰かと会う時に必ず手土産を持参する。しかも、ワインをプレゼントするならつまみのチーズも一緒に贈る気の遣いよう。一緒に食事をしても絶対に自分が払うし、運転手に相手の自宅まで送らせる。端的に言えば“ひとたらし”で、不思議な魅力があるんだ。ただ、相手が“なかなかいい人じゃないか”と思い始めた頃になると、土井は“コイツからいくら引けるか”という計算を始めている。そして、情でほだした相手から100万や1千万を引き出すワケです」

 土井が口にしていた自らの履歴も、偽りに塗り固められたものだった。顔見知りの経営者はこう明かす。

「本人曰く、ソルボンヌ大学を卒業後に商社勤めを始め、高級住宅街のパリ16区にあるカフェでお茶を飲むのが日課だった、と。どう考えても嘘八百です。大卒すら怪しいのではないか」

「これだけのメンツを仕切れるのは俺しかいない」

 若い頃は群馬でアパレル系の会社で働いていたというが、カタギの仕事はそれっきりだったようで、

「北海道の地上げやホテル買収に関わって、まもなく東京に出てきたと聞いている。でも、生い立ちも出身校も本当のところは誰も知らない。山口組の宅見勝若頭と一緒に仕事をしたと語っていたようだけど、そんな大物との繋がりがあるはずもない」(同)

 その後、何度かの逮捕を経て行き詰まり、「会員から多額の出資金を騙し取った岡本ホテル事件の債権者に声をかけて“二次被害”的に金を巻き上げていた」(同)という土井にとって、今回の「地面師事件」は久々のヒットだったようだ。

「名の知れた地面師が集合したこともあって、“これだけのメンツを仕切れるのは俺しかいない”と息巻いていた」(前出の知人)

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 土井は存命なら70歳。思わぬ形で再び世間に名が知れる形となった。

デイリー新潮編集部