「再び独立国に」 移民急増のテキサスで上がる声
![テキサス州の分離独立を訴えるプラカード。米テキサス州で(2024年2月28日撮影)。(c)FRANCOIS PICARD / AFPTV / AFP](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/6/f6e41_1351_3ffff1bd_15a78ca2-m.jpg)
分離派の人々は、独立することで国境に押し寄せる移民の問題と、メキシコ国境の管理をめぐるテキサス州と連邦政府との対立を解決できると主張する。
民主党の米大統領であるジョー・バイデン(Joe Biden)氏と共和党のテキサス州知事であるグレッグ・アボット(Greg Abbott)氏との対立は、国家分断を浮き彫りにした。移民問題は、今年の大統領選での重要な争点にもなっている。
テキサスはかつてメキシコの一部だったが、1835年〜36年のテキサス革命(Texas Revolution)を経て、1836年に主権国家となった。それからわずか9年後、テキサスは28番目の州として米国に併合されたという歴史がある。
しかし、テキサス州とその他の州は歴史と利害を共有してはいるが、自分たちの問題を連邦政府が理解しているようには思えないとミラー氏は言う。
テキサスバーベキューのレストランで行われた集会に参加し、ミラー氏の演説に耳を傾けていた50代の主婦ミスティー・ウォルターさんは、国境を越えて押し寄せる記録的な数の移民について、「私たちは侵略に遭っている」とAFPに話す。
そして「テキサス州は立ち上がり、市民をもっと守る必要がある」と続けた。
■南北戦争という過去
テキサス独立運動は、分離の是非を住民投票で問うことを希望しているが、米国憲法には州の分離を認める条項はない。1861年にテキサスを含む南部の州が分離独立を宣言した際には、米国史上最悪の内戦となった南北戦争(Civil War)が引き起こされた。
テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)で州政治を研究する取り組み「テキサス政治プロジェクト(Texas Politics Project)」のジョシュア・ブランク(Joshua Blank)主任研究者によると、テキサス州には長年分離運動が存在しているが、その動きが主流になることは今後もないとの見方を示す。
ブランク氏は、メキシコ国境をめぐるテキサス州と連邦政府との対立は「分離独立派が、自分たちこそが主流派であると声高に叫び、自分たちの主張をよりもっともらしく見せるために利用するという状況を生み出したと思う」と指摘する。
ニューズウィークが2月に実施した世論調査ではテキサス州民の67%が米国の一部にとどまることを望んでいることが分かった。
分離運動支持者らは、メキシコ革命や南北戦争の時と異なり、今回は平和的に分離できると考えている。
だがブランク氏はその可能性は低いと言う。
「テキサス州は平和的に分離できない。米国が交渉で好条件を提示することはないだろう」
【翻訳編集】AFPBB News
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