W169型Aクラスは、総額30万円程度で程度が良さそうな車両が入手可能

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―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

◆激安ベンツはありかなしか?
 クルマ好きの腕時計投資家、斉藤由貴生です。

 私は、W140型メルセデスベンツのSクラス(以下、W140)に5年以上乗っています。W140は、クルマに詳しい方からすると「いかにも壊れそう」と思われるでしょう。しかし、私はそういったクルマを普段使いできるぐらい快適に乗っているのです。

 先日も東京から岩手まで行ってきましたが、約30年落ちのW140はどこも壊れる様子がなく、往復1000kmの長距離走行も全く問題ありませんでした。

 ネットを見ると「W140は壊れる」という意見が多く、「興味はあるけど手は出さない」という人が大半であることが伺えます。これは、W140に限らず、“いかにも壊れそう”なクルマ全般にいえることでしょう。

 そして、その「いかにも壊れそう(買った後にお金が掛かりそう)」というクルマは、中古輸入車全般に当てはまります。そういったイメージからか日本の中古車市場では、程度が良さそうな輸入車が安く売られているわけです。

 実際、メルセデスベンツといった高級車でも30万円台(総額)で選択肢がいくつも出てきますが、その手の「激安ベンツ」を見ても、多くの人は「買った後、お金がかかるのでは?」と思い、“なし”という結論になるのだと思います。

 ということで、今回はW140を5年にわたって維持している私が、「激安ベンツ」は“あり”か“なし”か、ということをお伝えしたいと思います。

◆ベンツの維持費−ヤングクラシック世代

 私は、W140以外にも、自分の所有物や友人へのプレゼントとして、数台のベンツをこの5年間に買った経験がありますが、車種によってベンツは、お金がかかる/かからない傾向が分かれるといえます。

 ベンツは、基本的に頑丈であるため、いわゆる「壊れる」ことはあまりないのですが、だからといって「お金がかからない」わけではありません。

 特に、W140やW124、R129といった「ヤングクラシック」系の年式は、良い乗り味を実現させるための消耗品が多く、「良さを味わうためにはお金がかかる」といえます。

 また、1995年ぐらいまでの年式では、機械式のATが採用されているため、10万kmに1度ぐらいの頻度でATのオーバーホールが必要となります。私は、W140とR129を「気持ちいい状態」にまで整備していますが、いずれもその状態になるまで約200万円程度かかりました。

 こういった金額を見ると、「やはりベンツはお金がかかるから、激安個体なんて“絶対なし”」と思われるでしょう。

 しかし、現在「激安」となっているベンツの年式は、ヤングクラシックよりも後の世代なのです。

 現在、激安価格で売られているメルセデスの主な年式は2010年や2008年といった世代。また、売られているのは、AクラスやBクラス、Cクラスが中心であります。私の経験上、こういった車種・年式は、ベンツの中でもあまりお金がかからないといえます。

 ざっくりいうならば、年式では2000年以降、Eクラスまでのグレードがそこまでお金がかからず維持できるという感じです(Eクラスでも古い年式(例:W124)はお金がかかる)。

 ですから、現在「激安ベンツ」として売られている個体の中には「維持費がそこまでかからず乗れる」モノがある状態といえるのです。

◆ベンツの維持費−Aクラス(W169)

 では、現在激安価格で売られている年式のベンツの維持費はどんな感じなのでしょう。私は、2020年に友人にW169型Aクラスをプレゼントしたのですが、これが今、ちょうど「激安ベンツ」として総額約30万円で売られています。

 では、2020年から現在までにかけて、Aクラスの維持費(車検代等の費用以外に発生した整備代)がどれくらいかというと、約7万円でした。