写真:加藤清史郎(左)、影山優佳(右)/撮影:すずきみわ子

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宮崎駿初監督作品として知られる日本アニメーション制作アニメの初舞台化作品『未来少年コナン』が、5月28日(火)に東京芸術劇場プレイハウスでついに初日を迎える。今回は公演開始を間近に控え最終調整に入った通し稽古の模様をお届け!

『未来少年コナン』は、日本アニメーション制作により1978年に宮崎駿が初監督したアニメーションシリーズ。
最終戦争後の荒廃した地球を舞台に、恐れを知らない野生児コナンがなおも権力にしがみつく人間たちと戦う、胸躍る冒険アドベンチャー。鳥と心を通わせる能力を持つ少女や、様々な飛行メカ、異変を予知する虫の大群など躍動感あふれる描写や世界観などは、その後の宮崎作品へと継承されていくことになる。

この名作を舞台化するのは、日本ではミュージカル『100万回生きたねこ』や村上春樹原作の『ねじまき鳥クロニクル』などを手掛け、その唯一無二の空間演出で観客を魅了し続けているインバル・ピント。また多彩なクリエイターであるダビッド・マンブッフが共に演出を担当。脚本は、舞台芸術集団 地下空港主宰で国際的にも活躍している劇作家・演出家伊藤靖朗、そして音楽は優れた美的感覚と知性から生まれる音楽表現を武器に、舞台、テレビ番組、映画など幅広い分野で作曲活動を行い、近年ではNHK「らんまん」の音楽を手掛けた阿部海太郎。その音楽に舞台公演や映像作品でのコラボレーションも多数手がける詩人大崎清夏が歌詞を乗せる。

キャストも豪華絢爛。超人的な運動神経をもつ素直で正義感の強いコナンを演じるのは、1歳から芸能活動をはじめ、留学を経て22歳となった現在も映像作品からミュージカルまで様々な話題作で活躍する加藤清史郎。優しい心と強い意志を持ちコナンと共に困難な冒険に立ち向かうラナ役には、昨年"日向坂46"を卒業し、連続ドラマでヒロインを務めるなどマルチに躍進する影山優佳。コナンの相棒となるジムシー役に、どんな役でも自分のものにする演技力と身体能力でインバル作品にも多数出演している成河。

コナンと出会い葛藤しながら心が揺れ動くモンスリー役に、その唯一無二の存在感で数々の話題作で主演を務め注目される門脇 麦。どこか憎めない自由を求める海の男・船長ダイス役に、日本を代表するバレエダンサーであり俳優としても映像作品やミュージカルで活躍する宮尾俊太郎。ルーケ役ほかを岡野一平。コナンと対峙する影の独裁者レプカ役に、数々の舞台・映像作品に出演し、インバル作品にはミュージカル『100万回生きたねこ』以来の出演となる今井朋彦。コナンの育ての親おじいと、ラナの祖父ラオ博士の二役を演じるのは、海外とのコラボ作品も含め幅広い映像作品で活躍しその柔軟性と表現力に定評のある椎名桔平と個性的なアクターたちが勢揃い。

また、演出家インバル・ピントによる『未来少年コナン』の世界を具現化した振付を、川合ロン、笹本龍史、柴一平、鈴木美奈子、皆川まゆむ、森井淳、黎霞、Rion Watleyという卓越した身体で表現するダンサーたちが魅せる。さらに、作品を彩る生演奏には、トウヤマタケオ、佐藤公哉、中村大史、萱谷亮一/服部 恵と、多才なミュージシャンが集結。

兼ねてより宮崎作品を敬愛していたインバル・ピントとダビッド・マンブッフ。そんな二人の想像を超える感性で、芝居だけでなく、コンテンポラリーダンス、歌や音楽、美術、衣裳、照明などを巧みに操り、芸術的かつ身体的な表現で、新しい舞台芸術作品が誕生することになる。

この日は来週から始まる劇場でのリハーサルを前に、初めて本番で着用する舞台衣装(※)を身につけての通し稽古が行われることに。始まる前は和気あいあいとした雰囲気の漂っていた稽古場が、「開演時間です」の合図とともにスイッチが切り替わったかのようにピリッとした緊張感に満ちていく