※写真はイメージです(Photo by AdobeStock)

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 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険は、『2023年あおり運転実態調査』を実施。あおり運転をされたことがあるドライバーは53.5%であった。約半数のドライバーが被害経験を持っており、現在も社会問題となっている。

 今回は、ドライブ中にあおり運転に遭遇した2人のエピソードを紹介する。

◆ハイビームにパッシング、あおり運転の恐怖

 鈴木一さん(仮名)は、軽自動車で友人とドライブをしていた。

「夜の11時ごろだったと思います。車内で他愛のない話をしながら、特に目的もなく車を走らせていました。すると、青白いライトの車が後方から急接近してきたんです」

 鈴木さんは、「結構スピード出してるなぁ」と思ったそうだ。

「気にしないようにしていたのですが、その車が私の車のすぐ後ろまで追いついたとき、突然ハイビームでパッシングをしてきたんです。どうしてそんなことをするのか私には分かりませんでした。面倒なことに関わりたくなかったので、先に行かせようとスピードを落としたのですが……」

 後ろの車は鈴木さんの車を抜き去るどころか、急に左右へ蛇行運転を始めたという。鈴木さんはここでようやく、あおり運転をされていることに気づいたと、その瞬間を振り返る。

「恐怖で少しパニックになり、同乗している友人にどうするべきか相談しました。友人は、私を落ち着かせながら『ちょっと待ってろ』と、どこかに連絡しました」

◆突然現れた複数台のバイクの正体とは?

 鈴木さんは、友人が警察に連絡していると思っていた。しかし、友人が連絡していた相手は予想外の人物だったそうだ。

「パッシングと蛇行運転が15分ほど続いたとき、あおり運転をしている車の後方から、さらに爆音を響かせた車両が走っていることに気づきました。私は、仲間が集まってきていると思い恐怖を感じていました」

 恐怖を覚えながらも後方に目を向けてみると、爆音を響かせていたのは車ではなくバイクであることが分かったという。

「台数は確認できませんでしたが、複数台であったことは間違いありません」

 バイクは、鈴木さんをあおっている車の両サイドをはさみこむ。運転手は怒鳴っていたが、バイクに囲まれるようにして路肩に停止したところまでは確認できたとのこと。鈴木さんは、車をそのまま走らせバイクに囲まれた車がどうなったのかが気になりつつも、戻って確認しようとは思わなかった。

 すると、友人が「暴走族の弟を呼んだから」と笑いながら話し出したそうだ。どうやら、友人が連絡していたのは警察ではなく、“暴走族”だったことが判明した。

 あおり運転をしてきた相手は、「こっちが軽自動車だからって舐めてかかったのかもしれない」と鈴木さんは言う。その後どうなったのか詳細は定かではないが、「スッキリしました」と締めくくった。

◆真夜中のデート中にあおり運転に遭遇

 昔から運転が好きで、仕事が休みの日には何百キロも離れたラーメン屋に行ったり、顔ハメパネルを探しに出かけたりしているという阿部優実さん(仮名・40代)。旦那と湖畔にドライブへ出かけていたときのことを話してくれた。

「主人がなかなか寝つけないと言っていたので、『真夜中のドライブでも行く?』と誘いました。夜中2時のドライブで、真冬の真夜中のデートがとても新鮮でした」

 阿部さんは、車を法定速度ピッタリで走らせていた。湖畔に向かう道はずっと一車線で、真夜中でも時折後続車が来ていた。その都度、車を左に避けて先に行ってもらっていたそうだ。ムダなトラブルに巻き込まれることはイヤなので、急いでいる車には迷わず道を譲るという。