今も「SMAP再結成は絶対ない」 芸能関係者の見方を“裏付ける動き”とは
SMAPの解散から7年余が過ぎた。彼らが所属していたジャニーズ事務所(現スマイルアップ)が消え、STARTO ENTERTAINMENT(以下、スタート社)が旗揚げされたことから、再結成を期待する向きもある。一方で諦めムードも漂う。今後、どうなるのか。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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やはり再結成はない
昨年10月13日付で「SMAPの再結成は絶対にない」と報じた。彼らが所属していたビクターエンタテインメントの元幹部、旧ジャニーズ事務所の元スタッフ、大手芸能事務所幹部らへの取材に基づいたものだった。
今も「SMAPの再結成はない」という芸能関係者たちの見方は変わらない。それを裏付ける動きは誰もが目にすることが出来る。
能登半島地震から7日後の1月5日 、元SMAPの稲垣吾郎(50)、草なぎ剛(49)、香取慎吾(47)から成る「新しい地図」は、「日本財団」(笹川陽平会長)との共同ファンドを通じ、被災地に5000万円を緊急支援することを発表した。
新しい地図と日本財団は昨年5月の奥能登地震でも一緒に被災地支援を行っている。「東京2020パラリンピック」(開催は2021年)を全面支援した笹川氏と、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)のスペシャルサポーターだった3人の関係は深く固い。
一方、2016年末でSMAPが解散したことから、旧ジャニーズ事務所と同事務所に残った木村拓哉(51)はパラリンピックから手を引いた。2015年に行われた会見で木村は「(パラリンピックを)全力でサポートしたい」と約束し、SMAPとパラサポ側の契約 も残っていたことから、同財団は失望した。
「SMAPが解散しても、メンバー個々で応援隊を続けることは可能だったはず」(2016年8月16日付、産経新聞)との声も上がった。
徹底的に干された「新しい地図」
笹川氏も2019年9月に「怨讐を忘れ、パラリンピックまでの期限付きでSMAPの再結成を」と提言したが、これが退けられたのは説明するまでもない。旧ジャニーズ事務所、木村側と同財団などパラリンピック関係者側との間には溝が生まれた。
一方で稲垣ら新しい地図の3人は旧ジャニーズ事務所を離れた途端、徹底的に干された。それまで3人で稼いでいたテレビ局関係者や音楽関係者も救いの手を差し伸べなかった。これに怒ったのがパラリンピックで結びついた笹川氏だった。
2019年7月、公正取引委員会が「テレビ各局に圧力をかけていた疑いがある」としてジャニーズ事務所に注意を与えた件が公になると、笹川氏は「テレビ局の姿勢にはあきれてしまう」と、ブログで各局を猛批判した。今度は笹川氏が3人のサポーターになった。
再結成を具体化させる地ならしには、新しい地図を干す動きをした疑いのある旧ジャニーズ事務所と新しい地図側の関係修復が不可欠。さらにパラリンピック問題の決着も求められる。どちらも大人なのだから「過去の話」では済まない。
スタート社は共演NGをやめたが…
しかし、旧ジャニーズ事務所元社長の藤島ジュリー景子氏(57)と新しい地図の3人が所属するCULENの飯島三智代表(66)が会った形跡はない。
それどころか、3人はいまだ日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの連続ドラマに出演していない。出たのはNHKの連続ドラマと民放の単発ドラマのみ。
大手事務所幹部によると、「スタート社は共演NGや共演者の指定を一切やめた」が、旧ジャニーズ事務所時代は公取委による注意のあとも3人の排除を思わせる動きがあったという。
「草なぎさんは昨年、フジが放送した『罠の戦争』に主演しましたが、その制作は大阪の関西テレビ。旧ジャニーズ事務所は在京キー局以外なら目を瞑った。ただし、『罠の戦争』の共演者は、旧ジャニーズ事務所と関係が薄い事務所に所属する俳優ばかりでした」(大手事務所幹部)
スタート社CEOの福田淳氏(58)はSMAPとKing & Princeの再結成と再集結について、一部マスコミに「みんなやりたいようにやればいい」(2023年12月14日)と語ったが、同じ大手事務所幹部は「それは芸能界の現場経験がほとんどないから言えること」と解説する。
「グループにも個人にも過去の歴史があるので、そう簡単にはいかない」(同・大手事務所幹部)
木村は自ら動くことが不得手なのか
3人を干した疑いのある旧ジャニーズ事務所にいた木村が自らアクションを起こせば、再結成への第一歩になるかも知れない。だが、その可能性は限りなくゼロに近い。
「昨秋、ジャニー喜多川さんによる性加害が社会問題化し、旧ジャニーズ事務所の存続すら危うくなったとき、木村さんの妻の工藤静香さんが芸能界の重鎮に相談に行った。けれど重鎮は『なんで本人が来ないんだ』とたしなめたそうです」(別の大手事務所幹部)
木村は20代から大スターで、旧ジャニーズ事務所元会長の故・メリー喜多川さんの寵愛を一身に受けていた。そのために自ら動くことが不得手なのか。
木村と工藤の交際を「鹿児島県種子島でデート」と報じ、スクープしたのは2000年4月18日付のスポーツニッポン新聞(スポニチ)だった。当時、同社に在籍していた筆者も取材陣に加わっており、メリーさんの木村への接し方も耳にした。その特別待遇には唸った。
メリーさんはほかの所属タレントの交際、結婚には意見したものの、木村に関しては本人の意志が最優先。木村の出演ドラマは自ら吟味していた。実質的に木村のプロデューサーに近かった。
木村にマイナスになる週刊誌の記事が出ると、人目をはばからず激高したという。この厚遇はほかのメンバーとの一体感をつくるためにはマイナスだったに違いない。
見当たらない再結成の理由
メンバー5人にも再結成を望む理由が見当たらない。現状は全員が順風満帆。物事がうまくいっているときは大きな変化を求めたがらないのが芸能人心理。ほかの業種の人も同じだろう。
木村はテレビ朝日開局65周年記念作品で、25日にスタートする「Believe−君にかける橋−」(木曜午後9時)に主演する。今冬にはTBSのスペシャルドラマ「グランメゾン東京」にも主演する。
木村の50代以上の女性からの人気は相変わらず。テレ朝の前作「未来への10カウント」(2020年)は50代以上の女性の個人視聴率が10%を軽く超えた。ほかの俳優では考えられず、驚異的な数値である。今回も古くからの木村ファンの期待を裏切る内容にはならないようだから、ヒットが確実視される。
稲垣は30日に始まるNHK「ドラマ10 燕は戻ってこない」(火曜午後10時)に準主役級で出演することが決まっている。原作は桐野夏生氏の人気小説だ。
稲垣は月曜と火曜のパーソナリティーを務めるTOKYO FM「THE TRAD」(月〜木曜午後3時)の16日放送のゲストに、滝沢秀明氏(42)が代表を務めるTOBE所属の元V6・三宅健(44)を招いた。
その場で稲垣は3月に東京ドームで行われたTOBEの初イベント「to HEROes 〜TOBE 1st Super Live〜」をテーマ にした。「なんで呼んでくれないの?」と残念そうだった。三宅が驚き、「来てくれたんですか」と問うと、「行きたいよ! だって、共演できるでしょ」と答えた。
自分たちと同じく旧ジャニーズ事務所を離れたTOBE組への親近感をのぞかせた。
才能と魅力のある5人が集まっていた
草なぎは主演する時代劇映画「碁盤斬り」の公開が5月17日に控えている。貧しいが誠実で気骨ある侍を演じる。メガホンは役所広司(68)主演の「孤狼の血」(2018年)などの白石和彌監督(49)が執った。試写を観たところ、草なぎはいつにも増して名演を見せており、代表作に加わりそうだ。
香取はNHKの教育バラエティ「ワルイコあつまれ」(火曜午後11時)に稲垣、草なぎと出演中。インターネットTVのABEMAの「ななにー 地下ABEMA」(日曜午後8時)にも2人と一緒に登場している。
稲垣と草なぎ、香取の3人は、3月からファンミーティング「Nakama to MEETING Vol.3」を行っており、今月は北海道の、5月には福岡・大阪のファンたちと交流する。具体的なプランが何一つないSMAPの再結成を考えるより、解散後に干されても支え続けてくれたファンたちに感謝しようとするのが自然なことではないか。
中居正広(51)の活躍は知られている通り。MC、司会を務めているレギュラー番組はTBS「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(金曜午後8時57分)など4本もある。
ウィットに富んだ語り口が魅力だが、毒のある言葉を口にしても嫌われないという天賦の才を持つ。この点はビートたけし(77)、タモリ(78)と通じる。売れっ子の状態が続くに違いない。
SMAPには才能と魅力のある5人が集まっていたのは間違いない。胸を打つ楽曲と思い出の数々を残してくれたのだから、もう再結成に拘らなくてもいいのではないか。
高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。
デイリー新潮編集部