単身赴任

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日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「私は妻ではなく、お母さんになっちゃったんです」と振り返るのは主婦の幸恵さん(仮名・49歳)です。夫が単身赴任先で行方不明に。上京した妻を待っていた驚愕の事態とは? 詳しく伺いました。

「もはや愛情はない」首の皮一枚で繋がっていた夫婦関係

夫から、経済的にも生活面でも寄りかかられる生活に疲れ果ててしまった幸恵さん。離婚を考えつつも、娘が成人するまでは現状維持をすることを決心。割りきった暮らしをしていた矢先に夫の単身赴任が始まりました。しかし夫は初めての一人暮らしに慣れず、仕事もうまくいかず、いつも愚痴ばかり。

「因果応報じゃないですけれど、私がワンオペで病気もして苦しいときになにもしてくれなかったのに、なんで自分だけ助けてもらおうとするのか…。ちょっとそこらへんの感覚も理解できませんでした」という幸恵さん。

家族なので完全にギブ&テイクの関係とまではいかずとも、やはりここまで依存されると苦しいだろうなと容易に想像できます。もはや愛情は消え、完全に娘のためだけに夫婦関係を維持していたある日、事件が起こりました。夫の単身赴任生活から丸1年が過ぎた頃でした。

夫の勤務先から電話「ご本人と連絡が取れません」

それは、幸恵さんがそろそろ退社しようかと帰宅の準備をしていた夕暮れにかかってきた電話でした。

「知らない番号からの着信で、1回目はスルーしたんですけれど、その後も鳴り続けているからおかしいな? と思って出てみたら、夫の職場の人の焦った声が聞こえました。夫が社有車で出かけたまま連絡が取れないとか、家にも行ったけれど不在で、自転車はあるけれど壊れていると…。そんな感じの内容をまくし立てられて、あ、これはただ事ではないなと感じ、すぐに娘を連れて夫の住む東京へ向かうことにしました」

新幹線のなかで、夫の職場の人と連絡を取り合いながら、都内に住んでいた自分の兄や夫の両親にも状況を連絡。「つらい、しんどい」を連日こぼしていた夫の声を思い出し、幸恵さんは最悪の事態も覚悟したといいます。

管理人さんと警察が来て、アパートの鍵をあけると…

幸恵さんは品川駅で、待っていた兄の車に乗ってすぐに夫のアパートへ向かいました。既に夫の上司が警察に連絡し、管理人さんが鍵を持ってきてくれたところだったといいます。

青ざめた夫の上司にお礼を言い、鍵をあけ、みんなで中へ入りました。すると、なかは驚くほどのゴミ屋敷と化していました。夫はおらず。一体どこへいったのかとみんなで肩を落としていると、警察側へ連絡が…。「ご主人は無事です。ただ事故を起こして、今埼玉県警にいるそうです」と言われました。

「ひとまず居場所がわかってホッとする気持ちと、一体なにをしてるんだろうと困惑する気持ちが半々でした。ただ夫の会社の人や私の兄も一緒だったので、心強いというよりは、私が気持ちをしっかり強くもたなきゃという責任を感じました」

「この親にして…」義母からの衝撃の電話

こうして、夫がいる埼玉の警察署へとみんなで向かうことになりました。

「兄の運転する車で埼玉へ向かう間、念のため義母へも一報を入れたんです。そしたらすぐに電話がかかってきたんですけれど…」とため息をつく幸恵さん。

義母は「今、お義父さんが倒れて大変なことになっている」と電話口で騒いでいたそう。

「『それは大変! 救急車は呼びましたか?』と聞きつつも、申し訳ないですがとても手が回る状況じゃないので、ご近所の人とかヘルパーさんに連絡して助けてもらってくださいとお話したんですよ。そしたら義母から『こっちも今大変だから、息子のことは任せるね。じゃあよろしくね』って電話を切られました」

息子の緊急時にこのような電話をかけてきたこと、息子を心配しないことに幸恵さんのお兄さんも絶句。依存体質の夫に苦しんでいる幸恵さんは、「この親にして、この子(夫)ありなんだなと思いました」

夫の事故の真相やその後の生活の様子についてはまた次回お話したいと思います。