ドジャースの大谷翔平【写真:ロイター】

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殿堂入りコラムニストが「まだ合点がいかない」とする理由とは

 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手は、長年専属通訳を務めた水原一平氏が巨額の違法賭博に関わった疑惑について、25日(日本時間26日)に声明を発表した。自身が賭博を行っていないこと、胴元への自身の口座からの送金も、水原氏が行ったという内容だったが、米国のメディアには様々な観点から、大谷の発言をただ信じることはできないという論調も根強い。

 水原氏が20日に韓国・ソウルで行われた開幕戦後に解雇されたという情報を、いち早く伝えた米カリフォルニア州の地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」は「ショウヘイ・オオタニを今でも信じる? 私は分からない」という記事を掲載している。

 著者はナショナル・スポーツ・メディア協会の殿堂入りしている同紙コラムニストのビル・プラシュケ氏で「いまだに正しい感じがしない。まだ合点がいかない」と、声明で疑問が解消されたとは言い切れないとの立場をとっている。

 記事は「球界最高の選手が、彼のイメージと同じくらい純粋だと信じたい」「国際的なスーパースターが彼の見た目と同じくらい名誉ある人物だと信じたい」と大谷の発言を受け入れたいとしながらも「しかし、私は信じられない。完全には。まだだ。いつかは信じられるかもしれないが、今はまだだ」と繰り返している。

 疑問の中心は、他にも多くの指摘があるように、水原氏が大谷に気づかれることなく総額450万ドル(約6億8000万円)を超えるという胴元への振り込みを実行できるのかという点にあるという。

「ミズハラは破滅し、オオタニは汚され…」

「ミズハラが、オオタニ、彼の税理士、銀行、もしくは誰かに紛失を気づかれることなく、少なくとも450万ドルの窃盗を首謀できたという考えに違和感を覚える」。さらに「いかなる胴元であっても、一般的なギャンブラーに450万ドルの借金をさせ、返済金が盗まれたものではないと確認せずに回収するという考えにも、私は懐疑的だ」という疑問も生じているようだ。

 そして、米スポーツ専門局「ESPN」が開幕戦の半日前に水原氏へ行った「大谷と一緒に、大谷のコンピューターで振り込みを行った」というインタビューの内容を、水原氏があっという間に撤回したことにも違和感があるという。

「何より、ミズハラがあるインタビューでオオタニが承認した支払いについて、実にもっともらしい説明をし、その後に嘘つきと言われてオオタニの代理人から窃盗で告訴されたことが、私には信じられない」「辻褄が合わないのだ。それに加え、オオタニの危機管理チームが、辻褄が合っていないことに気づかなかったことにも驚きだ」

 今回の騒動の責任の一端は、大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏にもあるという。「もしオオタニが本当に通訳に金を盗まれたと感じ、金の紛失に本当に気づいていなかったとすれば、彼を守るために雇用されている男を解雇するべきではないのか?」と疑問を投げかけている。

 最後に、大リーグ機構が大谷と水原氏の調査に乗り出すことに触れ「しかし、ミズハラは破滅し、オオタニは汚され、真実が明らかになるまで数か月もかかる可能性がある」「ここに勝者はいない。日本で『kanpeki na hito(完璧な人)』として知られていた男を取り巻く悲しい皮肉のみだ」と、わずか1週間ほどで噴出した大問題を嘆く言葉で結ばれている。

(THE ANSWER編集部)