激走を見せたエイシンヴァラー(提供:高知競馬組合)

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 26日に高知競馬場で黒船賞が行われる高知で唯一のダートグレード競走。今年からJpn1に昇格したさきたま杯(6月19日)の前哨戦としても目が離せないレースとなる。そんな高知一のビッグレースでは18年に交流重賞のとなる記録が生まれた。単勝最高配当である。

 ダートグレード競走には珍しく、下馬評では中央馬と地方馬が拮抗していた。1番人気は2.6倍でキングズガード。前年のプロキオンSの覇者で、フェブラリーS6着からの臨戦だった。僅差の2番人気は2.7倍で浦和のブルドッグボス。3番人気は4.1倍で8歳馬グレイスフルリープ。少し離れて8.8倍で園田のエイシンスパルタンが続いた。後に主役となるエイシンヴァラーは9番人気、オッズは234.4倍もついた。

 そんなレースを引っ張ったのは武豊騎手のグレイスフルリープ。前半の400mは22秒9のハイラップで、道中は縦長の隊列。向正面では約5馬身の差を付けて快調に逃げたが、さすがに勝負所で脚色が鈍る。ここで一気に進出したのがキングズガードとブルドッグボス。4角で内からグレイスフルリープをかわし、さぁ一騎打ちか。誰もがそう思った瞬間、外から詰め寄ったのがエイシンヴァラーだった。グイグイと脚を伸ばし、ゴール前で内の2頭を捕らえてゴール。98年のリバーセキトバ以来、実に20年ぶり2回目となる地方馬の戴冠を果たした。

 エイシンヴァラーはかつて中央で活躍。前年1月にはオープン勝ちの実績があった。しかし前走の黒潮スプリンターズCは6着。更なる相手強化のここで人気薄となったのは当然だった。鞍上の下原理騎手は、08年佐賀記念をチャンストウライ以来、10年ぶり2回目のダートグレード制覇。新子雅司調教師も14年かきつばた記念をタガノジンガロで制して以来のダートグレード2勝目だった。まさかの伏兵の激走にざわつく場内と、歓喜する陣営のコントラストが印象的なレースとなった。