40代50代になると健康や心のモヤモヤが増えがち。少しでも心が軽くなるように、産婦人科専門医の高尾美穂先生が親身になって答えます。今回は、自分らしく生きるための人間関係についてです。

読者のお悩み:子育てが一段落した今、人間関係に悩む

「母はこうあるべき」の考えで苦手なママ友づき合いを長年してきました。しかし子育てが一段落した今は、ママ友以外の人間関係の構築に悩む日々。自分らしく生きることに迷いが生じています。(Fさん・47歳)

人間関係のイメージはダーツの放射形に似ている

自分を取り巻く人間関係のイメージは、ダーツの放射形に似ていると思います。中央の的(自分)を囲む1番目のゾーンは、大切にしたい人たち。親やパートナー、親友がこれに当たると思います。
そして、それを取り巻く2番目のゾーンは、比較的仲がいい人から、仕事でつき合う人やママ友まで、自分とさまざまな関わりがある人がいるところ。さらにその外側の3番目のゾーンは「その他大勢」。顔見知り程度の間柄で、深いつき合いがなくてもとくに困らない人たちです。

苦手な関係性なら適度に距離をとってもいい

人間関係の構築に苦手意識をもつ人は、2番目や3番目のゾーンの人たちともうまくやりたいと思っている場合が多いです。コミュニティで「協調性を発揮しなくちゃ」、「好かれたい」と気負いがちですが、自分と他人は生き方も考え方も違うもの。相手に合わせても期待どおりの関係性が築けるとは限りませんし、無理をすれば自分らしく生きることから遠ざかってしまいます。苦手な関係性なら適度に距離をとり、必要以上に同調しなくていいと思います。

今は好きなことを始めるチャンス!

相談者さんは、ママ友づき合いの制約が外れてから人間関係の構築に悩んでいますが、そもそもママ友関係が苦手だったはず。子育てから解放された今は好きなことを始めるチャンスです。趣味やボランティア活動など外に目を向けていけば、自分と気が合う人はきっと見つかりますし、そこから新しい人間関係が生まれると思いますよ。

もし、ママ友を卒業したことで人間関係が減り、寂しい思いをしているのなら、コミュニティに依存していたとも考えられます。自分らしい生き方の選択をするのは、ほかでもない自分自身です。相談者さんにとって自分らしさとは? 無理していたつき合いが不要になった今、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。