『解散ノート』には、渡辺淳之介と話し合う場面が何度も出て来る。そのときもらった数々の言葉が、胸に響いた。

「BiSHのオーディションを受けたときから、私にとって渡辺さんは輝いている大人でした。BiSHに入るまでの私は、普通の大学に通っていて、周りは就職や留学をする、みたいな。そういう場所にいたんですけど、オーディションを受けに行ったときの渡辺さんは30歳ぐらい。今思えば若いんですけど、こんなに楽しそうな大人が許されるのかと思ったんですよね。

生きるために頑張って働いて、やりたくないこともやるのが大人じゃないかと思い込んでいたので、大人の見え方を180度変えてくれた存在です。だから渡辺さんの言葉は、私にとってかけがいのないものでした」

2011年11月、渡辺に文春報道があった。事前に本人から謝罪があり、BiSHメンバー全員が責めることなく渡辺を許容した。だが彼女の中では、渡辺を責めてしまう気持ちが止まらなかった。

「BiSHは渡辺さんがWACKを立ち上げるのと同時に二人三脚でやってきて、渡辺さんもメンバーの一人のような感覚がありました。大好きな人が世の中から嫌われそうなときって、いろんな感情が渦巻いて。好きだからこそ、その感情は怒りに変わってしまいました。そのときの気持ちや渡辺さんに送ったメールも包み隠さず書きました。

『解散ノート』を本にするにあたって、渡辺さんにも原稿を確認していただいたんです。イギリスに行く飛行機の中で読んでくれたんですが、『俺のことばっかだな』『分かりやすくて面白いと思うよ』と言ってくれて、文春報道のくだりもOKを出してくれました」

一冊になった『解散ノート』を読み返して、書いていたときとは心情に変化があることに気づいた。

「解散ノートを書いているときは、私よりも忙しいメンバーもいるから、自分は全然頑張ってないな、ダメだなと思って、日々を過ごしていたんですよね。でも読み返してみると、全然頑張っているし、そんなに考え過ぎないで、たまには周りの人に身を任せたり、頼ったりしても良かったんじゃないかという考え方になりました。

解散に向けての3年半は、もう戻ってこないし、今の自分とは別物。あの日々を振り返るだけじゃなく、そのときの自分から出た勇気づけられる言葉、メンバーに言われた印象的な言葉などは、人生で落ち込みそうになったときに読み返すと思います」

▽モモコグミカンパニーとマナミによる音楽プロジェクト(momo)
ツアーインフォメーション
(momo)Release Tour どこにもない日 brand new door

会場▶ PENNY LANE24(札幌)
日付▶ 2024/4/18(thu)
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会場▶ DRUM LOGOS(福岡)
日付▶ 2024/4/25(thu)
時間▶Open 18:00 Start 19:00

会場▶ LIQUIDROOM(東京)
日付▶ 2024/5/9(thu)
時間▶Open 18:00 Start 19:00

【後編はこちら】BiSH解散後、第二の人生を歩むモモコグミカンパニー「まず私は作家でありたい、脚本の勉強もしたい」