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年齢を重ねる中で、できるだけ身軽に暮らしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。「50代になり、やることだけではなく『やらないこと』を決めるのも、暮らしを快適にするためには大切なのだと感じています」と話すのは、現在50代、築50年越えの団地でのひとり暮らしを楽しんでいるというブロガーのきんのさん。そんなきんのさんに、普段の暮らしの中で「やらない」と決めていることを教えてもらいました。

記事の初出は2023年1月。内容は執筆時の状況です。

50代、老後のために「やらない」と決めたこと

年齢を重ねるうちに、老後はものであふれた部屋の片づけや掃除で苦労せず、ゆったり暮らしたいと考えるようになりました。親の家の片づけに苦労している今だから、余計そう思うのかもしれません。

同じ団地の別の部屋に暮らす80代の母。「その気になればいつでも片づけられる」と言っていたのに、いつの間にか自分一人では片づけられない姿を見て、私がやらないと決めたこと、習慣にしていることをあげてみました。

●適正量以上のものを持たない

母は子ども時代、ものがなくて困った世代です。だからなんでも少し多めにストックする傾向がありました。必要なものが「お買い得」になっていると素通りできません。今使わないけど「いつか使うから」と購入し続けた結果、大量のストック品を抱えることになりました。

 

その様子を見て、「安い」「お得」「どうせ使うから」という理由でものを多量に購入しない、と決めています。すでに適正量の在庫を保管しているなら、購入しないこと。購入すれば収納場所を圧迫し、使いきるために行動する必要が出てきてしまいます。使いきれず破棄することになれば、お得どころかお金の無駄遣いです。

お店の販売戦略にのせられるのではなく、自分の生活ペースで必要なものを必要な分だけ持ち、生活を整えていく方がラクに気持ちよく暮らせるのではないかと思います。

●収納場所、収納グッズを増やさない

便利な収納グッズの利用、収納の工夫をすることで狭い空間でもものが上手く収まります。一見いい気がしますが、確実に前よりもものが増えているのです。

母の自宅を整理していて、ストック品以外にも大量に出てきて困ったものが、プラスチック収納ケースでした。しかも収納ケースに収まっていたものの大部分が不用品でした。

収納ケースは用途に合わせて様々なサイズがあり、利用しやすいので、私もよく使っていました。簡単に収納スペースが増やせて便利でしたが、「それは処分を先送りしているだけでは?」ということに気づいたのです。

今は増えたものの中身を吟味し、今までの収納でものが収まらなくなったなら、捨てどきが来たと思うようにしています。収納場所を増やすためにお金や時間をかけず、不必要なものを見極め、処分することに時間をかければ、お部屋はスッキリ、お金も節約できます。

●決断を先のばししない

 

決断を先延ばしにしない、というのも私が意識していることです。

人生を賭けた大きな決断はそれなりに時間がかかるかもしれません。けれどそんなことはそう多くはありません。多いのは日々の雑多な決断です。

 

「食べ終わった食器を今洗うのか、あとにするのか」「届いたDMを今片づけるのか、とりあえず放置するのか」など、このレベルの決断は迷わず今やる方が効率がよい気がします。

また、AかBの選択でどちらか決めかね判断できない場合、どちらを選んでもそう変わらないのです。さっさと決めて、決断したあとの行動に力を尽くした方が悩み続けるよりもよい結果につながりそう。いつまでも決断しないことがいちばんのリスクです。だって50代、老後のカウントダウンは始まっていますから。

●「やらないこと」を決めることで、自分に向き合う

私が目指す老後生活は、

・必要なものが必要な分だけ所定の場所にあり、管理しやすい
・居心地のよい片づいた部屋
・少ない収入でもやりくりできる小さな生活

なにをやらないかを決めることは、自分が目指す生活を考えることにつながります。自分に必要なものの適正量を把握し、収納場所にスッキリ収まるように管理する習慣は片づいた部屋をつくりますし、無駄な買い物や時間を節約することにもなると感じています。必要なものを厳選し、少ないもので暮らせるならば、収入が少なくてもやっていけるかもしれません。

50代はものを処分するだけでなく、自分がやらないことを決めることで、自分に向き合い、老後の準備を始めるのにもいい時期かもしれませんね。

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