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年齢を重ねたとき、どこで・どんな暮らしをしていたいでしょうか。快適なシニアライフのために、さまざまな工夫を重ねている人がいます。料理研究家・真藤舞衣子さんのお母さま、真藤眞榮さんの「70代で生活をシフトチェンジした」、その暮らしぶりを取材しました。

【写真】暮らしやすい南向きのリビング

記事の初出は2023年1月。内容は執筆時の状況です。

暮らしをリセットしてシニア住宅へ

真藤さんは東京生まれの東京育ち。23区内の都心部にご実家がありました。結婚後も実家で暮らし、その後離婚。就職・子育て・家の建て替え・親の介護…と奮闘しましたが、4年ほど前、住み慣れた家を離れてサービスつき高齢者住宅(分譲)に移り住みました。なぜ、それほどの大転換を決断したのでしょう。

「元の家は母が亡くなったら売却することにしていましたし、子どもに老後の面倒をみてもらおうとも考えていません。さてどうするか…と思っていたところに、知り合いのおばあさまが住んでいたこの部屋があいたと聞いて、老後の参考に見学させていただいたんです」

来てみると、周囲は緑がいっぱい。施設も充実しています。
「いつでも相談にのってくれるスタッフも常駐しているし、敷地内に病院もある。すぐに『ここ、私が買います!』って宣言しちゃった」

驚いたのは周囲の人たちです。都心のゆったりした家からコンパクトなマンションへの移転。しかも縁もゆかりもない土地なんですから。

「70代のうちなら、まだ体力もあります。こんなはずでは…と思っても、まだやり直しもできるでしょう。実際、引越ししてみてつくづく思いましたよ。『80になってからじゃ、到底無理だったわ』って(笑)」

新しい暮らしに合わせたもの・大事にしているもの

真藤さんのマンションは築30年以上の中古物件。俗にいう「シルバーマンション」のさきがけです。入居の条件は
・入居の時点で55歳以上であること
・入居の時点で自立していること(要介護・要支援状態ではない)
・身元引受人を立てられること
さっそく、気になる室内を拝見しましょう。

共有スペースの廊下から玄関、内廊下から居室へと、すべてが段差のないバリアフリー設計。リビングは南向きで、陽光がさんさんと降り注ぎます。

リビングには中学生時代に勉強机にしていたライティングビューローと小箪笥も! 新しく買った家具もあります。小さなダイニングテーブル&イスのセットです。
「イスはひっかかりやすいひじかけのない、回転式にしました。立つときにイスを引かなくていいからラクです」

小さなキッチンがついていて、熱源はIHです。
「大食堂があって、一日三食、栄養管理されたお食事をいただけるんですよ。もちろん、都合に合わせてキャンセルしてもいいの。食べた分だけ、毎月清算する仕組みです」
そのため、部屋ではごく簡単な調理しかしません。
冷蔵庫やトースターは転居にあたって、小ぶりなものに買い替えました。

大好きな骨董品は厳選して持ってきました。お気に入りの小皿は見せる収納(アクリルケース)に納め、日々の食事で使っています。

リビングからひとつづきの和室はリフォームしてフローリングに。
障子で仕切れば目隠しされるのでベッドを置いて寝室にしています。もちろん、障子のレールも段差なし!

「お風呂にもトイレにもしっかりした手すりと、非常呼び出しボタンがついているので安心。大浴場もあるので、その日の気分でそちらへ行くことも」