GACKT「ダウンタウンは2人ともビーム出る」格付け&年末バラエティ出演で再確信
7日放送の『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に出演したGACKT(50)。チームの相棒・DAIGO(45)のミス連発により、最後は“映る価値なし”になったものの、個人連勝記録を76まで更新した彼の「格付け」への美学とは? また、昨年末は映画『翔んで埼玉』続編のPRのため、『まつもtoなかい』『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)など、バラエティ番組にも多数出演した彼が改めて感じたこととは? 発売中の自伝『自白II』に収録された《第3章 格付け》からの“自白”を再編集して緊急公開する。
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【格付け】に関しては正直、ストレスでしかない。ここ数年、ディレクターやプロデューサーにはいつも「もうよくないですか? 無理ですよ」と伝えている。浜田さんに「もうやめていいですか?」と聞くと、一言「あかんやろ!」で終わる。浜田さんも歳を取って昔に比べれば随分と丸くなったとは言え、あの目から出る殺人ビームはいまだ健在だ。怖すぎる。普段は本当に優しい兄貴だが、少しでもあのビームが出ると全員が凍りつく。まるで[男メデューサ]だ。番組を続ける理由はただ一つ。兄貴である浜田さんの存在だけだ。浜田さんに「もう必要ない」と言われればいつでも喜んで身を引く。ボクにとっては芸能界で一番大切で尊敬している兄貴であり恩人だからだ。
ボクはそもそもテレビ番組に出たいとは思っていない。基本的にほとんどのオファーは断る。ギャラと見合わない問題はもちろんだが、そもそも性格がまったくテレビに向いていない。だが、浜田さんは20年来の芸能界の恩人であり、誰よりも尊敬している大先輩だ。浜田さんに「ガクちゃん、出てーな」と言われれば返事はひとつしかない。
【格付け】は1年で数回放送があるようだが、ボクは年に一度しか出ない。浜田さんも「毎回出ろ」とは決して言わない。GACKTの存在そのものを大切にしてくれているからだ。テレビの世界はシビアでほとんどのプロデューサーやディレクターは、出演者に対し使い捨てのような感覚さえ持っている者も少なくない。だが、彼は一流のプロデューサーでもあり、常に大局を見て判断し行動する。「GACKTを安売りするな!」とそう思ってもらえることが誇りであり、何よりも嬉しく、だからこそ今も全力で恩を返そうと心が動く。
もともとの出会いのきっかけは『HEY! HEY! HEY!』だった。浜田さんに関わっている人たちがボクの仕事にも多く関わってくれていた。仲がいいというのもあるしお世話にもなっている。プライベートでは、誕生日会やイベントのタイミングで顔を出し挨拶をさせてもらうが、だからと言ってちょくちょく浜田さんと遊びに行くことはない。怖いからだ。恐れ多いという感覚もある。もちろん、誘われればすぐに顔を出すが、仕事以上に一緒にいるだけで緊張する上にドッと疲れる。人間性も含め非常に器が大きく、そして威圧感は半端なく、リーダーとしての確たるものを持っている。笑顔はチャーミングだが、笑っている顔でさえ時折り恐ろしく見えることもある。『あっちの世界でもこの人は成功しただろう…』とつくづく感じる。この歳になって人にビビることなどないが、彼は例外、いや規格外だ。
とにかく頭がいい。ここまで色んなところに目が届く人もいない。この業界でずっと一線でやっていくということはこういうことだと見せてくれる。いつも勉強させてもらっている。凄いという言葉が陳腐に聞こえるほどだ。それほど、彼は別格と言わざるを得ないものを持っている。
■ダウンタウンは風神と雷神
ボクは浜田さんだけではなく、松本(人志)さんも同じく恐ろしく心から尊敬している。『HEY! HEY! HEY!』に出ている時は浜田さんと松本さんの二人に挟まれて話をすると、鬼が両脇にいると常に感じていた。風神と雷神とでも言えばいいのか。妥当な言葉が見つからない。自分が想像すらしていない、気配を感じていないところからいきなり飛んでくる松本ビームは、暗闇から突如現れるステルスミサイルだ。攻撃されるとひとたまりもない。彼らの作る独特の空気に呑まれたことに毎回落ち込む。『エグい…』とため息が止まらない。あの二人は芸人だからそんなのは当たり前だと思う読者もいるかもしれないが、決してそうではない。あの二人以外にコンビで同じ異質さを感じる人はいない。三国志にたとえると芸能界の[張飛と関羽]だ。ダウンタウンの元マネージャーだった大粼さん(吉本興業元会長)と会食した時に聞いたことだが、まだ彼らを売り出し始めた時浜田さんが言っていた言葉がある。「今のオレでは松本の才能を活かし切れていない」「オレがもっと頑張らないと松本をダメにする」とずっと言っていたそうだ。大粼さん曰く、浜田さんは努力の秀才。松本さんは生まれながらにして天才と言っていた。もちろん松本さんも努力はしているのだろうが大粼さんはそう言っていた。大粼さんも彼らと出会った頃からこの二人は日本の頂点に立つと思っていた、と。
彼らは笑いや番組作りに対してかなりシビアだ。テレビが嫌いなボクでも、ライブや映画、ドラマの番宣でバラエティー番組に出なければならない時がある。2時間放送の番組に5時間の収録はざらにあるが、ダウンタウンの番組に出ると実質の放送時間が45分だとすれば、カメラを50分しか回さないこともよくあることだ。生での表現に対するこだわりとプライドがまったく違う。収録をできるだけ長回しして、面白い部分だけをピックアップし切り取り繋げて作る感覚ではなく、[いかにその密度と鮮度で面白くするか]ということにこだわっている人たちだからこそ、現場のテンションも緊張感も格段に違うものとなる。出演者全員が異常に緊張しているのがヒシヒシと伝わってくる。ボクはミュージシャンという立場だからこそ、緊張こそすれど面白くある必要はないが、一緒に出演する芸人は違う。番組前に彼らと話をすることもあるが、「吐きそう…」と言っている芸人も少なくない。若手芸人ではなく、そこそこ番組慣れをしている中堅どころの有名な芸人でさえそう感じざるを得ないものがあの二人にはある。リズム感、テンポ感がよく、ダラダラする隙もなければ、中弛みもしない。それはポリシーと強い意識がなければできないこと。そして、ポリシーがあったとしても、実際にそう簡単にできるものでもない。
浜田さんは仕事に対し凄くシビアだが愛情は深く、プロ意識も異常に高い。目の前でスタッフが「こら〜!」と怒鳴られるのを何度も目にしてきた。もちろん、ボクの現場ではボク自身も同じように怖いと思われているのだろうが、恐怖のレベルが違う。彼の醸し出す緊張感が辺りを支配しているのがよくわかる。
番組のプロデューサーが言っていた興味深い言葉がある。浜田さんの『声』の魅力。「浜田さんはタイトルコールをして、何を言っても声が遠いところまで届く。あんな声を持っている人は他にいないよ」と。そう言われて『確かに!』と思った。タイトルコールするだけで面白いってどういうことだ? 意味がわからない。