89歳にして「漢方心療内科藤井医院」を開院し、92歳の今も現役医師の藤井英子さん。日常生活のなかでは、人間関係に悩んだり、将来のことが不安になったりする場面があります。そんなときは、「悩みを解決しようと一生懸命になるのではなく、忘れる時間をつくることが大事」と話します。

話題の著書『ほどよく忘れて生きていく』(サンマーク出版刊)でも語られている、心がラクになるポイントを、藤井さんに教えていただきました。

「体を動かしたり、本を読んでその世界に没頭したり、映画を観たりすると、その間は頭が悩みから離れます。そんな『忘れる練習』を重ねるうちに、心がラクになって、ほかに楽しいことや、やりたいことが見つかるのもよくあることです」と藤井さん。
ちょっとした心がけ次第で、日々を楽しく過ごすことができたらうれしいもの。藤井さんが生活するうえで大切にしている7つのことを紹介します。

1:自己犠牲は忘れる

自分さえ我慢すれば…ということの多くは、思い込みにすぎません。それより、自分が楽しいことでだれかのお役に立つことを考えて。私はこれまでに得た知恵をお伝えするため、「知って得する話」をブログで発信しています。

2:「わかってくれない」を忘れる

どんなに親しい間柄でも、相手が自分の心を量って希望どおりに動いてくれるわけではありません。「わかってくれない」と相手を責めるのではなく、「自分がこうしてほしい」ということをきちんと伝える努力をしましょう。

3:完璧を忘れてみる

「完璧」を求める限り、幸せにはたどりつけない気がします。「自分ですべてやらなければ」「自分の力で」とがんばりすぎず、少し肩の力を抜いて。育児も介護も仕事も、完璧にやったら完璧な結果が出るわけではありません。

4:「競争」は忘れる

人と比較するのでも、評価を求めるのでもなく、目の前の「少しでもお役に立てること」をやりたいと思っています。人は社会に所属し、人の役に立てていると感じるとき、幸福感や充実感をもてるもの。自分が納得することを大切に。

5:「これまでのやり方」は忘れる

人間関係や仕事など、なにかに行きづまっていると感じるなら、新しいことを試してみて。自分の考えに固執せず、専門家の話を聞くことで道が開けることも。これまでとは違う方法を試すと、思わぬ方向に転がることがあります。

6:「心配」もほどよく忘れる

不安や心配の多くは、先のことを悪い方に考えることが原因。先のことはわかりません。いったん保留にして、今できることを積み重ねましょう。私も開院後しばらくは患者さんゼロでしたが、漢方の勉強に集中していました。

7:「親だから」は忘れる

たとえ家族でも、相手の行動を決める権利はありません。「こうしてほしい」と伝えることは大切でも、実際にどうするかは本人次第。本人の考えを尊重したうえで、「少しお手伝いできるかもしれない」と、同じ目線で話したいものです。

『ほどよく忘れて生きていく』(サンマーク出版刊)には、心が軽くなる藤井さんの生き方のヒントが満載。

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