コロナ禍でテレワークという働き方の選択肢が生まれ、都会から自然豊かな場所に移住する人も。1年ほど前に都内のマンションから軽井沢に移住、大手ハウスメーカーで平屋の家を建てた、日刊住まいライターの例を紹介。テレワークを意識した間取り、仕事探しなどについて語ります。

移住のきっかけはコロナ禍による夫のテレワーク

筆者は、夫と子ども3人(16歳、8歳、5歳)の5人家族です。1年ほど前に都内の3LDKのマンションから西軽井沢に移住。大手ハウスメーカーで平屋の家を建てました。

移住を決めたのは2年前の春。コロナがはやり始めたら、夫の仕事はすぐにテレワークに。当時中学1年生だった息子は、入学したてだというのに、オンライン授業になってしまい、学校へ行けませんでした。

夫婦と子ども3人で3LDKの間取り。仕事が多忙で家にいないことが多かった夫が、家で仕事をするように。しかし夫の個室はありません。そこで、自然豊かで子育てもしやすい場所に、テレワークもできる家を建てたいと、移住を決意したのです。

 

夫の出社の可能性も考え、新幹線の駅付近で土地探し

YouTubeや家を建てた人のブログを参考にしつつ、展示場巡りと土地探しを同時に行いました。

テレワークになったとはいえ、夫が出社する可能性はゼロではありません。そこで土地は、新幹線の駅に近い場所であることを条件に探しました。そして最終的に選んだのが軽井沢です。

東京まで行くまで新幹線で約1時間。クルマだと2時間半。この距離感で自然が豊か。理想的な場所だと考えたからです。旅行でもよく訪れていた場所なので、迷いはありませんでした。

地方移住するにしても不安は、自分の仕事のこと

しかし、筆者は移住するにあたり大きな不安がありました。それは「仕事」です。東京から離れると、仕事を辞めなければならなくなるからです。

当時、勤めていたのは金融系。とくに筆者がいた職場は、コロナ禍の時期でも出社が原則。フルリモート可能な部署に異動できる可能性は低く、移住と同時に退職することに。

ただ、地方でも職種を限定したり、テレワークにこだわったりしければ、なにかしらの仕事が見つかるだろうと思っていました。

 

テレワークができることを前提に家づくりをスタート

仕事は決まっていませんが、移住をして家を建てることは決定。そんな状態で、家づくりをスタートしたのです。間取りは完全にテレワークをする前提で検討。そして、最終的に行きついたのが上の間取りです。

 

筆者も使えるようにと考え、キッチンの窓際には4mほどのスタディースペースを設置(間取り図の「ワークスペース2」の部分)。おもな用途は子どもたちの勉強用。ですが筆者が同時に使っても、まだまだ余裕があります。

 

また、寝室の一部にも筆者専用のデスクも造作しました(間取り図の「ワークスペース1」の部分)。

現在は、寝室のデスクで仕事をすることが多くなっています。しかし、子どもたちがいないときなどに、スタディースペースで仕事をすることもあります。

テレワークの仕事探し。しかし就職活動は大苦戦

就職活動はとても苦戦したものの、結論から言うと事務職でフルでテレワーク可能な企業へ正社員として転職ができました。ただ、それまでの道のりは長かったです。

以前と比べるとフルでテレワークできる仕事は増えています。しかし、求人での割合は、まだまだ少ないと感じました。

実際は、テレワークをうたっていても「一部テレワーク」が多く、月に数回、もしくは週に数回の出社が必要となることがほとんどです。

テレワークだけではなく、移住先で働くことも考えました。しかし、地方は筆者が望んでいる事務職が、圧倒的に少ないです。サービス業であれば、求人は多いです。それも、子どもたちが休みの土日祝日に、出社しなければならないケースがほとんど。ということで事務職のみで探しました。

 

そして業界未経験歓迎の東京のベンチャー企業に就職

事務職でも、スキルや経験を求められるポジションであれば、フルでテレワーク可能な企業も多く、給与も高いです。しかし、筆者の場合は、今まで特殊なスキルが身につくような事務職の経験はなく、ExcelやWordは入力するだけならOKというレベルでした。

そんな筆者は、転職求人サイトだけでなく、派遣、テレワークに強いとうたっている求人サイトなど、さまざまな求人サイトに登録。フルリモートOKな企業へ応募をし続けました。

結果は書類選考落ちの連続。1年ほど転職活動をしていても、面接にこぎつけられたのは、5件程度。ようやく筆者を拾ってくれた企業は、業界未経験歓迎の東京のベンチャー企業です。今では毎日忙しく仕事をさせてもらい、感謝しています。

雇用形態にこだわらない&東京の企業から探すことが大事

筆者が求人を探すポイントとしていたのは、「勤務地は東京で探す」「フリーワードにフルリモート(もしくはテレワーク)と入力して検索する」そして、「アルバイト求人」を中心に探しました。

求人サイトに登録されている会社は、圧倒的に在京の会社が多いです。そして雇用形態(正社員かアルバイトか)にこだわらなければ、たくさんの会社が引っかかります。あくまで個人的な経験からですが、そのなかからフルリモートで募集している仕事を探す方法が、いちばん効率がいいとわかったからです。

今回、就職した企業はもともとアルバイトの募集をかけていました。そこへフルタイム勤務希望で応募。面接後にフルタイム希望なら、正社員はどうかというお話をいただき、正社員として入社することになりました!

雇用形態にこだわらないというところも重要です。正社員や派遣社員よりもアルバイト求人の方が、採用人数が多い場合や、人員不足で急いで募集をかけている企業も多いため、採用される可能性がアップします。

家で仕事ができると、オンオフの切り替えが難しいです。仕事が終わらないことを理由に、子どもたちが寝たあとに仕事をすることもしばしばです。それでも大好きなおうちで過ごせること、大自然ではないものの、ある程度の自然に囲まれて生活できることは幸せなこと。後悔はしていません。