漫画家・イラストレーターのフカザワナオコさん。1973年生まれで、50代に差しかかる頃のご自身の体や心の変化を描いたコミックエッセイが好評です。

今回は、『もうすぐ50歳、調子のいい日がほとんどありません』(幻冬舎刊)から、生理と更年期についておうかがいしました。書籍からコミックエッセイも一部ご紹介します。

閉経を意識し出した40代後半。生理に異変が!

日本人の平均的な閉経年齢は約50歳。フカザワさんは「48歳ぐらいの頃にそのことを知り、それまで漠然としていた閉経を自分事として捉えるようになった」とか。
「若い頃は経血の量が多く、腹痛などの症状も強めなタイプでしたが、40代後半になってからは、生理自体の回数が2か月に1度ぐらいに減り、経血量も少なめに。このまま生理がくるペースが遅くなり、閉経を迎えるのかなと思っていました」。
ところがある月にやってきた生理が、なかなか終わらず…。「いつもは5日程度なのですが、1週間、2週間と日が過ぎていきました」。そしてなんと、3週間絶っても出血が収まる気配がなかったのだそう。「最初の1週間は、『たまにはこういう月もあるよね』と、割と呑気にかまえていました。2週間目に入ると、『いつもと違う? でももう終わる?』と、楽観と不安が半々ぐらい。でも3週間が過ぎたころには『これはおかしい』と思うようになりました」

●出血量は減らず、デリケートゾーンにトラブルが発生

1か月の中で20日以上も生理が続く状態。「それもかなりしっかりとした経血量が出続けていました。はっきりとした自覚はありませんでしたが、それだけの血液を排出し続けていたので、体への負担も大きかったと思います。デリケートゾーンがかぶれてくる、などのトラブルにも遭遇。ナプキン代も馬鹿にならない…。これは病院へ行かないと! と思いましたね」。

●婦人科でもらった薬で一安心

そこで、かかりつけの婦人科で診てもらうことに。診断の結果、とくに病気などではなく、更年期によるホルモンバランスの乱れと判明。病院でもらった薬を服薬すると、ほどなく生理は終わったのだとか。
「先生は30代ぐらいの女性の方で、サバサバとしたタイプ。同性だという安心感と、テキパキした先生が好きという、私の性格にも合っている方なので、安心して診察を受け、体についての相談をすることができました」。
婦人科系の場合、病院選びにも迷う人が多そうですが…。
「私の場合は、更年期の自覚症状が現れ始めたときに、今の病院に通い始めたのですが、これもネットの口コミを熟読しました。もちろん口コミが全てとは思いませんが、なんの情報もなく、近場の病院へ駆け込むよりはいいかなと考えています。婦人科系の病院は、行くこと自体にためらいを感じる方も多いと思いますが、私は『行くことで心配事を減らそう』と考えるタイプ。なにもなかったらそれだけでほっとできるので、気になる症状が現れたら、そのままにせず、病院へ行くようにしています」

●更年期は“じわじわ”とやってくる

フカザワさんは45歳を過ぎた頃から更年期の諸症状を自覚し始めたそう。「私の場合、『このモヤモヤはなんだろう?』、『なんだかだるいなあ』と感じ始めたのが45歳ぐらいの頃で、それが更年期の症状の1つだとは気づかなかったんです。のぼせや、ホットフラッシュといった症状が、ある日突然やってくるのが更年期だと思っていました。もちろんそういう方もいらっしゃるのでしょうが、私の場合は、じわじわと地味にしんどい…ぐらいだったんですよね」。その結果、今のところは婦人科で処方してもらった漢方を服薬する、規則正しい食生活を心がけ、気分転換にアロマオイルを取り入れる、などの方法でやり過ごせているそう。

●パートナーとの情報共有も心の支えに

更年期は、閉経までの前後10年間続くもの。フカザワさんは、一緒に生活している夫にも、自分が更年期だという話をしたところ、意外な反応が。「夫は、更年期って閉経後に起こる症状だと思っていたんです。でも、よく考えたら私自身も更年期が近づくまで、夫とそこまで変わらない知識しかもっていなかったなあと思いました。幸い、物事への理解が早く、柔軟性の高い人なので、今の私の状態を伝えたら、『体を大事にしなきゃいけない時期なんだね』と。家事を多めにやってくれたり、夕食を買ってきてくれたりと、サポートしてくれています。夫がよき理解者でいてくれているのも、心身共にかなりありがたいですね」

●だれかの参考や共感のきっかけになれたら

アラフィフ女性の心と体の変化を、ユーモアを交えながら描き続けるフカザワさん。コミックエッセイを通して伝えたいことは?
「40代から50代にかけては、加齢に抗いたい気持ちと、老いへと少しずつ変化していく体とのギャップに戸惑う時期。今の私は加齢に抗うことはやめたので、心がスッキリしました(笑)。ただ“老い”って、いきなりくるものではなくて、少しずつくるものなんですよね。同世代の方には、その“少しずつ”くる部分を『分かる〜』と共感していただけたらうれしいですし、40代前半ぐらいの方には『そうなのか』と、この先の暮らし方の参考にしていただけたらと思っています」