子育てや仕事のことを考えて「Uターン」移住を考えているという方もいらっしゃるのでは? ライターの満島みちさんは、2年前に都市部から自身の地元にUターン移住。今回は、「以前の生活に比べて精神的に穏やかに過ごせるようになり、子育て期にこそ移住してよかった」という、満島さんにきっかけや決断してから行ったことについてつづってもらいました。

Uターン移住のきっかけは「両親」からの誘いだった 

Uターン移住を真剣に考えたのは、私の様子を見聞きしていた両親から、「家族でこっちに来て住んだらどうか。子どもも小さいし、近くにいたらなにかと力になれると思うよ」との誘いがきっかけです。

●覚悟はしていたが、大変だった「ワンオペ」育児

当時、夫は夜勤のある交替勤務の仕事をしていたので休みは平日。一方、私は土日休みの会社で時短正社員として娘を保育園に預けながら働いていました。夫の働き方は結婚前から分かっていたので、子どもが産まれたら保育園に預けながら働くことも想定し、私の負担が大きくなることも想像できていました。

ただ、実際にその生活を送ってみると想像していたよりも精神的につらい日々。頼れる両親は近くにおらず、仕事を終えてワンオペで娘をみながらあっという間に過ぎていき、土日も娘を1人で見ていると休まらない休日でした。

家事分担を夫とうまくできなかったり、1人でやってしまう私の性格もありましたが、私はどんどんネガティブに考えるようになりイライラして心の余裕がありませんでした。

2人の子どもなのにどうして私ばっかりしんどい思いして毎日やってるんだ、休日は楽しみというより「また娘を1人でみないといけない」と思ってしまったり、平日の夫が休みのときは、自分だけの休みが1日もあっていいな…こんな考えばかりで、今思い返しても当時の私は自分でも好きではなかったです。

●仕事と住まいはどうするのか?

そんな生活を送っているときにやってきた、両親からの移住の話。ワンオペで1歳の娘の面倒を見ながら生活していた私にとっては救いのような言葉でした。私はその言葉がうれしかったですが、とはいえ、移住=住む場所が変わるとなると、まずネックとなるのは仕事と住まいです。

幸いなことに、夫の仕事に関しては私の父が会社を経営していたので、そこで働くことを両親から提案され、私は2人目の子どもも考えていたので仕事はしばらくせずに過ごそうと考えていました。

また、住まいに関しては、都市部ではない車社会の地方ですし賃貸よりも戸建てが多い地域。自分や周りもそうだったこともあり、戸建てに住むイメージの方がしやすかったです。

●夫が下した決断とは?

両親からの話があったあと、夫にもし移住したら…という生活のイメージを話しました。

ただ、私は移住を望んでいますが、夫の立場からすると「まったく知らない土地での新しい仕事と生活」や「親族も友人も知り合いも近くにいない」、「今まで働いていた11年間のキャリアを手離す」といったデメリットもあって、いいことばかりでもないと思いました。

そこで、移住でのメリットをアピールしたり、無理な説得は行わず、あえてあまり多くは話さずに、しばらく夫に考えてもらうことに。

●まず行動したことは家づくり・土地探し

それから、1〜2週間たった頃、夫から「あっちに移住しようか」と返事がありました。

移住することを決断してから取りかかったのは、「住まい」に関してでした。都市部ではマンション購入を検討していましたが、地方となるとマンションのメリット(売却できる点など)はあまり感じられなかったので、戸建てを建てることに。そう決まってからは、ハウスメーカー決めと土地探しを並行して行いました。

ただ、当時住んでいた場所から移住先は車で約1時間半のところです。私がちょうど仕事を辞めたタイミングでもあったので、夫の休みの度に2人で土地探しやハウスメーカーの見学・打ち合わせに車で向かう休日がしばらく続きました。

移住の話があってから約1年後には家が完成し、引越しも無事に完了。移住してから約2年たった今の生活は快適です。心にも余裕が持てるようになりました。夫にとっては人生の中でも大きな決断のタイミングだったと思います。決断してくれたこと、本当に感謝しています。

筆者のように親からの誘いがきっかけでなくとも、小さい子どもを育てる子育て期にこそほどよい田舎に移住するという選択もいいのではないでしょうか。