2024年になり、「新NISA」がスタートしました。「投資初心者は、NISAでは積立投資から始めるのがいいですが、投資に慣れてきたり、より高い収益を目指したくなったら、『成長投資枠』を使って少し積極的な投資をするのもいいでしょう」と話すのは、マネックス証券、マネックス・ユニバーシティ室長で、『1時間でマスター!マンガと図解でわかる新NISAの教科書』(扶桑社刊)の著者・福島理さん。そこで、福島さんに投資初心者から中級者にステップアップしたい人はどうすればいいのかお話を伺いました。

 漫画で分かる!「NISA」のこと

「NISA」で積極的な運用をするなら「成長投資枠」で個別株投資を

NISAではインデックスへの積立投資から始めるのがオススメですが、投資に慣れてきたり、より高い運用収益を目指すなら成長投資枠で個別株投資をチャレンジしてみましょう。

【画像】漫画でよくわかるNISAのこと

●長期的にコツコツ行うことが成功へのカギ

新NISAでは年間360万円の投資が可能です。内訳は、積み立てに適した投資信託やETFを購入できる「つみたて投資枠」が120万円、そして投資信託やETFのほかにも日本株や外国株、REIT(不動産投資信託)なども購入できる「成長投資枠」が240万円です。

「投資初心者の方は、日経平均株価やNYダウ、S&P500などの指数(インデックス)に連動する投資信託の積立投資がいいでしょう。年間最大360万円まで投資可能です。長期的にコツコツ投資を行うことは、もっとも簡単で、少しずつ資産を増やす成功の近道と言えます。

ただ、つみたて投資枠と成長投資枠でインデックス型の投資信託を積み立てているだけでは、それほど大きな収益を得ることはできないでしょう。成長投資枠では積立投資だけでなく、より積極的な投資信託や日本の個別株、さらには海外の個別株も買えるので、成長投資枠の使い方次第で将来のパフォーマンスは大きく変わってきます。

成長投資枠の240万円をどう活用するかは皆さん次第です。つみたて投資枠でコツコツ積み立てをしながら、好きなときに成長投資枠で株式を購入するといったこともいいでしょう。
投資に対するイメージや感覚がつかめた方や、積み立てだけでなくもう少し積極的な運用をしてみたい方、まとまった資金がある方などは、成長投資枠を利用した投資もオススメです」

●ライフイベントに合わせる

毎月3万円をつみたて投資枠で積立投資し、成長投資枠で年10万円を5年間投資した場合を考えてみましょう。

「始めるのが早いほどゆっくりと投資ができ、20〜30代でのライフイベントに資金を充てやすくなります。生涯投資枠の上限までには余裕があるので、35歳以降は積立額を多くしたり、成長投資枠の利用を増やしたり、投資計画を随時変えていくことが可能です。

逆に、30歳に一時的な資金が必要になった場合は、成長投資枠は使わないということもできます。

また、預貯金などでは足りないライフイベント資金が必要になった場合には、積み立ての解約や投資商品の売却をしてもいいのです」

一方、40〜50代で投資を始めて資金に余裕があれば、つみたて投資枠と成長投資枠の両方で投資額を大きく設定できます。

「資金に余裕がある方なら、生涯投資枠の上限である1800万円を使いきることを考えてもいいでしょう。上の図は40歳で投資を始め、10年間で使いきるケースです。50歳から始めて59 歳で1800万円満額を投資し、定年後の老後資金に充てることも可能です。つみたて投資枠(年間上限120万円)と成長投資枠(年間240万円)を毎年上限まで利用した場合、5年で生涯投資枠を使いきることになります」

●NISAではどんな個別株が買われているのか?

では、NISA口座ではどのような銘柄が買われているのでしょうか。下の表は、マネックス証券の顧客による買付金額トップ20です。

「堂々の1位に輝いたのは日本郵船(9101)で、国内最大手、世界第2位の海運大手です。コロナ禍によるコンテナ船賃料の高騰で一気に業績が伸びました。配当利回りが20%を超えた時期もあり、その後も注目されています。

銀行株が5銘柄ランクインしているのも特徴的です。2位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や、9位の三井住友フィナンシャルグループ(8316)など、メガバンクが上位に入っています。銀行株はほかの銘柄に比べて、配当利回りが高いという魅力があります。

また上位20位のうち、配当利回り3%以上の高配当株が14銘柄もあります。NISA口座では長期投資が基本なので、大企業かつ配当利回りが高い銘柄は要チェックです」

●成長投資枠で買える金融商品とリスク&リターンの関係

つみたて投資枠では、国が定めた厳しい条件をクリアした長期投資に適している投資信託が対象商品になっています。一方、成長投資枠では、より幅広い金融商品に投資することが可能です。投資信託だけでなく、日本株や海外株も対象です。

「ここでよく理解しておきたいのは、様々な金融商品の値動きの大きさ、リスクについてです。そうでないと相場が思わぬ方向に動いてしまったときに委縮して、目も当てられない状態になってしまいます。

許容できるリスクは人それぞれです。収入、余裕資金、年齢、家族構成、ライフデザイン、投資の目的、投資経験などによって変わってきます。

たとえば、余裕資金が多い場合や、年齢が若く単身であればリスクを許容しやすくなります。逆に、小さな子供がいる世帯などでは許容しづらくなります」

上の図は金融商品によるリスクとリターンの関係です。リスクを低く抑えようとするとリターンが低下し、高いリターンを得ようとするとリスクも高まります。リスクとリターンは比例しますので覚えておきましょう。

本記事は投資の参考となる情報提供を目的としております。投資の結果に対する責任は一切負いません。また、本記事の内容は予告なく変更される場合もあります。