2024年1月から「新NISA」がスタートします。これまでは使い勝手の悪い点もあったNISAですが大幅に改正されることになり、年間で最大360万円も投資が可能になります。でも、どんな投資商品を買えばいいのでしょうか? マネックス証券、マネックス・ユニバーシティ室長で、『1時間でマスター!マンガと図解でわかる新NISAの教科書』(扶桑社刊)の著者・福島理さんに聞きました。

漫画で分かる!「新NISA」

 

【画像】漫画でよくわかるNISAのこと

 

「新NISA」ではなにを買えばいいの?

2024年から始まる「新NISA」では、自由度の高い投資が可能になります。とはいえ、投資未経験者や初心者はなにから始めて、なにを買えばいいかわからないもの。福島さんは、「投資初心者はまずは積立投資から始めてください」と話します。

では、なぜ積立投資がいいのでしょうか。また、どんな商品がいいのでしょうか? 詳しく教えてもらいました。

●まずはインデックスへの積立投資

新NISAでは「つみたて投資枠」で年間最大120万円、「成長投資枠」では年間最大240万円、合計で年間360万円まで投資できます。

「つみたて投資枠はその名の通り、積み立てに適した投資信託やETFを購入できます。一方の成長投資枠では投資信託やETFのほかにも日本株や外国株、REIT(不動産投資信託)なども購入できます。成長投資枠のほうがより自由な投資が可能です。つみたて投資枠でコツコツ積み立てをしながら、好きなときに成長投資枠で株式を購入するといったことができます」(福島さん、以下同)

上がりそうな株を予測して投資する個別株投資は、予想が当たったときのうれしさや大きなリターンが得られる投資の醍醐味がある一方、リスクもそれなりに存在します。

「個別企業を分析して、その中から上がる銘柄を発掘するのはプロでもなかなか難しいもの。しかも、今後数十年にわたって上昇する銘柄を当て続けることは非常に困難です。では、投資初心者はどのような銘柄に投資するのがいいのでしょうか。注目したいのは、『日経平均株価』や『NYダウ』、『S&P500』といったインデックスへの投資です」

インデックスとは、株式市場などの全体的な動きを示す指標のこと。複数の銘柄で構成されているため、インデックスに連動する投資信託を購入することで分散投資の効果も得られます。

「個別株のダイナミックな値動きは短期投資においてはとても魅力的ですが、長期投資においては、じつはインデックスでの運用が有利とされています。たとえばNYダウは多少の上下動はあるものの、長期的には上昇トレンドが継続しています。少なくともこれまでNYダウに長期的に投資してきた投資家が大きなリターンを上げてきたのは事実です」

投資初心者や仕事などで相場の動きを常に見られない人に対し、福島さんは「NISAではまず積立投資から始めるのがいいでしょう」と話します。

「毎月コツコツと同じ金融商品を一定額で購入していくのが積立投資。一見、地味な投資に思えますが、じつはこの積立投資こそ最強で、我慢強く続けていくことで長期にわたって安定したリターンが期待できます。できれば20年以上、少なくとも15年は続けたいものです。

保有期間(積立期間)が5年だとマイナスになるケースもありますが、保有期間(積立期間)が20年の場合にはプラスに収斂しているという金融庁のデータがあります。つまり、長期で保有している人の多くは儲けているということ。まさに『継続は力なり』です」

ただし、積立投資を続けていると、株価が下がってしまう局面もあります。

「過去にはリーマンショックやコロナショックといった株式市場の暴落もありました。目の前の株価がみるみるうちに下がっていくのですから、投資家としては心中穏やかではいられません。『こんなに下がっているのだから怖くて買えない』という気持ちもわかりますが、ここで積立投資を中断してしまっては意味がありません。積立投資では株価が安いときほどたくさん購入できるので、むしろここはチャンスと捉えるべきなのです」

●NISA初心者向けの商品は2択!

では、どんな金融商品を積立すればいいのでしょうか。数多くある金融商品の中でも、福島さんがおすすめするのが「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の2銘柄です。

「『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』は米国の主要株価指数である『S&P500』に連動するパフォーマンスを目指す投資信託です。S&P500は、米国の主要大型株で構成する株価指数のこと。これに投資することで、中長期で経済成長が期待できる米国を代表する500社に分散投資する効果が期待できます。チャートを見れば、S&P500はこれまで様々な試練を経ながらも成長を続けてきたことがわかるはずです」

「もうひとつは、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』、通称『オルカン』です。こちらは、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指す投資信託です。これ1本で全世界の株式に国際分散投資できる効果があります」

「実際、マネックス証券でも『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の人気は非常に高く、2023年1〜6月のマネックス証券で、つみたてNISAで買われた投資信託のランキングでも1位と2位になっています」

「なにから始めればいいのだろう?」「なにを買えばいい?」と迷っている人は、今回紹介した「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」か「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の2本を新NISAの核に据え、長期積立投資をスタートしてみるのもいいかもしれません。

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