2024年1月からスタートする「新NISA」では、年間最大360万円まで投資できるように改正されることで話題になっていますが、実際には毎月どれくらい投資するといいのでしょうか?

「新NISA」が1月からスタート!押さえるべきポイント

今回は、『1時間でマスター!マンガと図解でわかる新NISAの教科書』(扶桑社)の著者・福島理さんに聞きました。 

●「新NISA」のおもな改正点は4つ

これまでやや使い勝手が悪かったNISAですが、2024年から大幅に改正されることになりました。おもな改正点は、以下のの4つです。
【1】これまでの「つみたてNISA」と「一般NISA」が一本化される
【2】投資限度額が合計で最大1800万円に拡充される
【3】非課税保有期間が無期限化される
【4】一度使った非課税枠が復活する

住宅やマイカー購入、子どもの学費といった大きな支出や、一時的に必要となる家族旅行や急な医療費など、年齢やライフプランに合わせた運用がしやすくなります。

2024年1月からの新NISAでは、つみたて投資枠で年間最大120万円、成長投資枠で年間最大240万円、合わせて年間最大360万円までの投資が可能になります。一生涯では最大1800万円まで投資できます。この投資枠をいつ、どう使うかは自分次第です。

「たとえば、老後資金を着実に準備したいなら、毎月5万円ずつ、つみたて投資枠でローリスクの投資信託を30年間購入し続けてもいいでしょう。あるいは数年後の海外旅行を目標に、余裕資金をもとに成長投資枠で有望株を買い、値上がりを待つ方法もあります。

毎月の給与から数万円ずつ積み立てながら、ボーナスなどのまとまった資金で別の商品を一括購入するといった合わせ技を使うこともできます。

さらに、一度売買して使った枠は翌年には復活するので、一時的にお金が必要なときに一部を解約して使い、余裕ができたときに投資を再開するといった柔軟な使い方もできます。投資額が年間180万円の年もあれば、60万円の年があってもいいのです。

人生には住宅購入やマイカー購入、子どもの大学入学といった出費がかさむときもありますし、家族旅行や急な病気など一時的な出費もありますよね。自分の年齢や今後のライフイベントなどに合わせ、長期的な観点から柔軟性を生かした資産運用を考えてみるといいでしょう」(福島さん、以下同)

●まとまった資金がなくても自分のペースで運用が可能

新NISAでは年間最大360万円、一生涯では最大1800万円まで投資できます。

「資金に余裕があって最速で全額投資したいという人は、年間360万円ずつ投資をすれば、わずか5年で生涯投資枠に達します」

「ただし、そこまで資金に余裕がある人ばかりではないでしょうから、現実的には毎月5万円ずつ年間60万円を30年積み立てる、3万円ずつ年間36万円を50年積み立てるのが1つの目安になるでしょう」

今は手元に大きな資金がなくても、毎月少額ずつコツコツ積み立てれば、知らないうちに資産が増えていきます。

「毎月5万円ずつ年間60万円を積み立てると30年で1800万円になるわけですが、たとえば年3%で増えると仮定すると、じつは30年目には1800万円ではなく、2913万円になるのです!

月5万円とか年利3%はそれほど大きくないと感じるかもしれませんが、少額でもコツコツと積み立てて運用していけば運用収益は1113万円分にもなり、長期的に見ると大きな資産を築くことができるのです」

毎月5万円(年間60万円)の積立投資を30年続けて1800万円積み立てたときに、現在35歳の人はちょうど65歳になります。

「30年かけて1800万円積み立てた場合、年利3%なら2913万円にもなります。これはもはや“少額”投資ではなく、『老後2000万円問題』すらもカバーできる資産です。

もちろん、年360万円、生涯で1800万円まで投資しなくてもかまいません。今は手元に大きな資金がなくても、毎月少額ずつコツコツ積み立てれば、知らないうちに資産が増えていきます。まずは無理のない金額から始め、自分のペースで運用を続けていくことが重要なのです」

たとえばまだ若い20代で、資金もそれほど余裕がなく、超長期で積み立てようと考えている人なら、月3万円(年間36万円)を50年続けると1800万円に達します。

現在45歳の人なら、月7万5000円(年90万円)を65歳になる20年間積み立てるのがひとつの目安となるでしょう。もちろん、生涯投資の上限1800万円まで投資しなくてもかまいません。

1800万円をどんなペースで積み立てるかは、自分の年齢や余裕資金、どれくらいのリスクで運用したいかを考えて積立額を決めるといいでしょう。

●投資の王道は昔も今も「長期」「分散」「積立」

雑誌やテレビなどで資産1億円を達成した「億り人」がたびたび取り上げられています。彼らのように短期間で資産を一気に増やすのはとても魅力的ですが、投資の王道は昔も今も「長期」「分散」「積立」の3つ。

「まず長期投資ですが、期間は最低でも10年以上を想定したいところです。たとえば、米国の主要株価指数である『NYダウ』(ダウ工業株30種平均)は、2023年に史上最高値を更新しています。それまでリーマンショックやコロナショックなど、様々な下落局面がありましたが、時間をかけてマイナス分を取り戻し、成長を続けてきました。

『日経平均株価は、まだバブル時の高値を超えていないじゃないか』という声も聞こえてきそうですが、仮に配当を考慮して計算した場合、すでに5万6000円程度(2023年8月現在)まで上昇していることになります」

●卵は1つのカゴに盛るな

「次に分散投資ですが、株式市場には『卵は1つのカゴに盛るな』という有名な格言があります。たとえば特定の銘柄や国に集中投資している場合、その投資対象が急落するようなケースでは資産が大きく目減りしてしまいます。でも、複数の銘柄や異なる国に投資していれば、それぞれの資産で異なる動きが期待できるため、リスクが分散できるというわけです」

●毎月コツコツ、一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」

多くの長期投資家が実践するポピュラーな手法として「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資手法があります。

「ドルコスト平均法とは、『変動する投資対象を常に同じ金額で定期的に購入する』という投資手法です。これにより、投資対象の価格(株価など)が高いときには少なく、低いときにはより多くを購入することができます。

ドルコスト平均法のメリットは、全体の購入単価が平均化されるということ。とくに長期間の積立投資で効力を発揮するとされています。

極端な話、今後20年間をかけて同一銘柄に投資する場合、今の価格が高いのか安いのかは投資のプロでも判断が難しいものです。でも、ドルコスト平均法で毎月コツコツと積み立てていけば、20年間の平均で購入することができるというわけです」

短期投資の場合、株価の下落は嫌なものですが、ドルコスト平均法では株価が安いときほどたくさんの株数を購入できるため、長期投資家にとっては株価の下落さえも歓迎すべき材料となるわけです。

「積立投資はできるだけ早く始めたほうが有利です。新NISAでは少額から積み立てが可能ですので、『お金がある程度貯まったら始めよう』と考えずに、まずはスタートしてみることが大切です」

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