大谷翔平は5億ドル、山本由伸も2億ドル超え? 日本人歴代メジャーリーガーの契約総額トップ20と比較してみた
今オフの「FAトップ3」に、大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス/29歳)と山本由伸(オリックス・バファローズ/25歳)のふたりを挙げているメディアは多い。
たとえば、MLB.com(マーク・フェインサンド記者)とESPN(カイリー・マクダニエル記者)は、どちらも大谷を1位、山本を2位、ブレイク・スネル(サンディエゴ・パドレス/30歳)を3位としている。
ジ・アスレティック(ジム・ボウデン記者)も1位と2位は同じで、3位がジョーダン・モンゴメリー(テキサス・レンジャーズ/30歳)。MLBトレード・ルーマーズ(ティム・ダーケス記者ほか)のトップ3は、大谷、コディ・ベリンジャー(シカゴ・カブス/28歳)、山本だ。
大谷翔平の契約総額はどれほど跳ね上がるのか photo by Getty Images
ロサンゼルス・エンゼルスからFAになった大谷と違い、山本はポスティングシステムを利用し、オリックス・バファローズからメジャーリーグの球団へ移ろうとしている。だが、ポスティングの場合、交換に選手を放出することなく手に入れられることから、FA市場に出ている選手に含むのが一般的だ。
大谷の契約総額は、予測どおりなら史上最高額を上回る。それぞれの予測(MLB.comの予測はなし)は、ESPNが10年5億2000万ドル(約778億円)、ジ・アスレティックが10年4億7700万ドル(約714億円)、MLBトレード・ルーマーズは12年5億2800万ドル(約790億円)だ。ジ・アスレティックの予測には「出来高を含めると5億ドル以上」とある。
これまでの契約総額トップ3は、マイク・トラウト(エンゼルス)の12年4億2650万ドル(2019年〜2030年/約472億円→当時・以下同)、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)の12年3億6500万ドル(2021年〜2032年/約390億円)、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の9年3億6000万ドル(2023年〜2031年/約494億円)だ。トラウトとベッツは延長契約、ジャッジはヤンキースからFAになったあと、再契約を交わした。
【日本人メジャーリーガーで過去最高の契約は?】山本の契約総額も、かなりの高額になると予測されている。こちらは、ESPNが7年2億1200万ドル(約317億円)、ジ・アスレティックが7年2億1100万ドル(約316億円)、MLBトレード・ルーマーズは9年2億2500万ドル(約336億円)としている。大谷には及ばないものの、過去の日本人選手の最高額を超える。
山本に加え、横浜DeNAベイスターズからポスティング移籍を目指す今永昇太も、有力なFAとしてリストアップされている。各メディアの順位と契約の予測は、MLB.comが15位(予測なし)、ESPNが11位(4年6800万ドル/約102億円)、ジ・アスレティックが22位(予測なし)、MLBトレード・ルーマーズは10位だ(5年8500万ドル/約127億円)だ。
これまでに日本人選手が手にした契約総額のトップ20は、以下のとおり。契約時点の金額なので、実際に手にした金額とは異なる。
【1位】田中将大
7年1億5500万ドル(約161億円→当時・以下同)
<2014年〜2020年/年平均2214万ドル>
東北楽天ゴールデンイーグルス→ニューヨーク・ヤンキース(ポスティング)
【2位】ダルビッシュ有
6年1億2600万ドル(約137億円)
<2018年〜2023年/年平均2100万ドル>
ロサンゼルス・ドジャース→シカゴ・カブス(FA)
【3位】ダルビッシュ有
6年1億800万ドル(約142億円)
<2023年〜2028年/年平均1800万ドル>
サンディエゴ・パドレス(延長契約)
【4位タイ】イチロー
5年9000万ドル(約110億円)
<2008年〜2012年/年平均1800万ドル>
シアトル・マリナーズ(延長契約)
【4位タイ】吉田正尚
5年9000万ドル(約124億円)
<2023年〜2027年/年平均1800万ドル>
オリックス・バファローズ→ボストン・レッドソックス(ポスティング)
【6位】鈴木誠也
5年8500万ドル(約101億円)
<2022年〜2026年/年平均1700万ドル>
広島東洋カープ→シカゴ・カブス(ポスティング)
【7位】千賀滉大
5年7500万ドル(約102億円)
<2023年〜2027年/年平均1500万ドル>
福岡ソフトバンクホークス→ニューヨーク・メッツ(FA)
【8位タイ】菊池雄星
4年5600万ドル(約61億円)
<2019年〜2022年/年平均1400万ドル>
埼玉西武ライオンズ→シアトル・マリナーズ(ポスティング)
【8位タイ】ダルビッシュ有
6年5600万ドル(約43億円)
<2012年〜2017年/年平均933万ドル>
北海道日本ハムファイターズ→テキサス・レンジャーズ(ポスティング)
【10位タイ】松井秀喜
4年5200万ドル(約62億円)
<2006年〜2009年/年平均1300万ドル>
ニューヨーク・ヤンキース(延長契約)
【10位タイ】松坂大輔
6年5200万ドル(約60億円)
<2007年〜2012年/年平均867万ドル>
西武ライオンズ→ボストン・レッドソックス(ポスティング)
【12位】福留孝介
4年4800万ドル(約53億円)
<2008年〜2011年/年平均1200万ドル>
中日ドラゴンズ→シカゴ・カブス(FA)
【13位】イチロー
4年4400万ドル(約48億円)
<2004年〜2007年/年平均1100万ドル>
シアトル・マリナーズ(延長契約)
【14位】菊池雄星
3年3600万ドル(約42億円)
<2022年〜2024年/年平均1200万ドル>
シアトル・マリナーズ→トロント・ブルージェイズ(FA)
【15位】黒田博樹
3年3500万ドル(約39億円)
<2008年〜2010年/年平均1167万ドル>
広島東洋カープ→ロサンゼルス・ドジャース(FA)
【16位】大谷翔平
1年3000万ドル(約43億円)
<2023年>
ロサンゼルス・エンゼルス(年俸調停回避)
【17位】前田健太
8年2500万ドル(約30億円)
<2016年〜2023年/年平均313万ドル>
広島東洋カープ→ロサンゼルス・ドジャース(ポスティング)
【18位】城島健司
3年2400万ドル(約25億円)
<2009年〜2011年/年平均800万ドル>
シアトル・マリナーズ(延長契約)
【19位】川上憲伸
3年2300万ドル(約20億円)
<2009年〜2011年/年平均767万ドル>
中日ドラゴンズ→アトランタ・ブレーブス(FA)
【20位タイ】松井秀喜
3年2100万ドル(約25億円)
<2003年〜2005年/年平均700万ドル>
読売ジャイアンツ→ニューヨーク・ヤンキース(FA)
【20位タイ】秋山翔吾
3年2100万ドル(約23億円)
<2020年〜2012年/年平均700万ドル>
埼玉西武ライオンズ→シンシナティ・レッズ(FA)
日本プロ野球からメジャーリーグへ移った時に、総額1億ドル以上の契約で迎えられたのは田中(現・東北楽天)だけだ。ただ、松坂、ダルビッシュ、吉田の場合、契約総額と移籍金を合計すると、メジャーリーグの球団の支払い額は1億ドル以上となる。
かつてのポスティングは、最高額の移籍金を入札した球団だけが、その選手との交渉権を得ることができた。それぞれ、レッドソックスは5111万1111ドル11セント(約60億円)で松坂、レンジャーズは5170万3411ドル(約40億円)でダルビッシュの交渉権を落札した。ちなみに、マリナーズはイチローとの独占交渉権を1312万5000ドル(約14億円)で落札し、3年1408万8000ドル(2001年〜2003年/約16億円/年平均470万ドル)の契約を交わした。
吉田の移籍に際し、オリックスがレッドソックスから受け取るのは1537万5000ドル(約21億円)だ。総額9000万ドルに対し、移籍金は2500万ドルまでの20%(500万ドル)、2500万ドルを超える分から5000万ドルまでの17.5%(437万5000ドル)、5000万を超える分の15%(600万ドル)という内訳になる。
この割合は、今オフの山本にも当てはまる。総額2億ドルの契約なら、オリックスが得る移籍金は3187万5000ドル(約47億円)だ。
【阪神からヤンキースに移籍した井川慶の契約は?】山本の総額は、大谷の総額より上になるかもしれない。ESPNのオールデン・ゴンザレスによると、大谷は年平均額の高い短期契約を受け入れる可能性もあるという。これは、二刀流として復帰後にあらためてFA市場に打って出る、というシナリオだろう。
なお、トップ20のほかに、総額2000万ドル以上の契約を手にした日本人選手はふたりいる。西武からFAとなった松井稼頭央は、3年2010万ドル(2004年〜2006年/約23億円/年平均670万ドル)でメッツに入団。阪神タイガースからポスティング経由でヤンキースへ移った井川慶の契約は、5年2000万ドル(2007年〜2011年/約24億円/年平均400万ドル)だった。
また、なかには、幻に終わった契約もある。2015年のオフにマリナーズからFAとなった岩隈久志は、ドジャースと3年4500万ドル(2016年〜2018年/約55億円/年平均1500万ドル)の契約で合意したものの、ドジャースは身体検査の結果に懸念を示した。岩隈はその後、マリナーズと1年1200万ドル(2016年/約14億円)の再契約を交わした。