竹俣 紅連載:『紅色の左馬』第7回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、竹俣紅アナウンサーの連載『紅色の左馬』。今回は、竹俣アナの初めての"推し活"話とともに、マイルCSでの注目馬についてうかがった――。

 これがアメリカ競馬の祭典なんだ――。そんなワクワクとともにレースに見入ったのは、先日アメリカで行なわれたブリーダーズカップ(BC)です。

 BCクラシックで2着に入ったデルマソトガケは、勝てなかったとはいえ、強さを示す走りを見せてくれましたし、BCターフを勝ったオーギュストロダンは、日本調教馬ではありませんが、ディープインパクト産駒。日本にゆかりのある馬の、あの走りには胸を打たれました。

 なかでも、個人的に興味をひかれたのは、初のダート挑戦となったメイケイエールです。

 メイケイエールのことを初めてきちんと調べたのは、今秋のスプリンターズSでのこと。それまでのレース映像を見てみると、走っている時に頭は高いし、横を向いちゃうしで、「"折り合いを欠く"とはこういうことか」と、とてもわかりやすく教えてくれたのが彼女でした。

 鞍上がうまく導いてあげれば上手に走れるけれども、それがいつもうまくいくとは限らず......。走りを矯正するために、いろんな馬具をつけてくるのも可愛かったです。

 結局、初めてのダート戦は振るわない結果(BCフィリー&メアスプリント=9着)になってしまいましたが、メイケイエールちゃん、本当によく頑張った! と思います。

 さて、『みんなのKEIBA』のMCを担当するようになって以来、私にとって競馬場に通うことはもう日常生活の一部。東京競馬場や中山競馬場はすっかり慣れ親しんだ場所になりました。

 ただ、番組のスタジオがあるのはスタンド上部。レースを見る際は、画面越しか、上から見下ろすしかありませんでした。

 コースと同じ高さで見るレースは、どんな雰囲気なのだろう――。

 そんな興味がいつしか願望へと変わり、私のなかで次第に膨らんでいった結果......ついに私は、土曜日にプライベートで東京競馬場へ行ってみようと思い立ちました。

 10月21日、土曜日。なぜこの日を選んだかと言えば、私の推し馬、シャンパンカラーが富士Sに出走予定だったから。競馬にハマって以来、初めての"推し活"です。

 事前にスマートシートを予約して、オペラグラスも購入し、あとは当日を迎えるばかりと準備万端整っていました。ところが、シャンパンカラーが出走回避!?

 関連ニュースを見ても、その理由がはっきりとせず、心配で仕方なかった私は「じゃあ、他の馬を応援しに行こう」という気にもなれず、自宅でテレビ観戦することに......。初の"推し活"は、直前で頓挫となりました。

 密かな夢の実現もあえなく先送り。でも、次なるチャンスがきっとやってくるはず。シャンパンカラーには、今は十分に体を休めてもらって元気に復活してもらい、ぜひリベンジしたいと思っています。

 こうしてどんどん競馬が日常になっている私ですが、最近競馬を見ていて以前にも増して面白さを感じられるようになったのは、レース映像から得られる情報が増えてきたからです。

 この馬は前よりいい走りをしているな。この馬は追走が苦しそうだな。そういったことが、馬の様子から少しわかるようになってきたのです。

 たとえば、菊花賞で9番人気ながら4着に粘ったリビアングラス。過去のレースを振り返ってみると、この馬は前々走より前走の走りのほうがスピードを維持できているように見え、まさに成長途上にあることがうかがえました。だとすると、菊花賞本番の日までにさらに成長してきてくれるのではないか? と思ったのです。

 結果的に馬券圏内には入れませんでしたが、人気を上回る着順にきてくれたことで、自分の見る目に手応えを感じることができたレースでした。競馬を見ていてわかることが増えてくると、予想するのも一層楽しくなってきますね。

 そして今週、『みんなのKEIBA』で本命予想するのは、GIマイルCSです。セリフォス、シュネルマイスターなど、豪華メンバーがそろったことはもちろんですが、何より私が知っている馬がたくさん出てくることがうれしいです。

 セリフォスは、とにかく筋肉がすごい。私には馬体の細かな善し悪しはわかりませんが、前走の安田記念の時、筋肉の発達具合は素人目にもわかるほどで、印象的でした。

 シュネルマイスターも前走の毎日王冠では惜しい3着でしたが、一度外に持ち出し、気がついたら先頭争いに加わっていた走りは、パトロールビデオを見ると、まるでワープしてきたみたいでした。ここでひと叩きしての本番は、相当期待できそうです。

 ソウルラッシュは、前走の京成杯AHで59kgの斤量を背負ったにもかかわらず、難なく勝利。今回は斤量が1kg減りますし、馬にとってもラクになるはずなので楽しみです。さらにはナミュールも、富士Sでの勝ち方は強かったですし、そろそろGIを勝っても不思議ではありません。

 こんなふうに一頭一頭について話し始めるとキリがないのですが......、なかでも(番組での予想とは別に)注目しているのは、エルトンバローズです!

 前々走のラジオNIKKEI賞をはじめ、この馬は右回りで結果を出していました。ですから、左回りに変わる前走の毎日王冠はどうなのかなと思って見ていたら、しっかりと克服。見事に1着入線を果たしました。そして今回は、得意な右回り。一段と期待が持てます。

 また、鞍上の西村淳也騎手は、夏競馬で何度も名前を聞いた上り調子の若手ジョッキー。映像で見てもすばらしい騎乗がいくつもありましたし、人馬ともに成長中のこのコンビは要注目です。

 もう1頭、忘れてはいけないのが、エエヤンです。この馬も東京より中山で好成績を残していますから、右回りのほうが向いているはず。ここ2戦は左回りでのレースが続き、9着、8着と成績は振るいませんでしたが、今回の京都は楽しみです。初輸送の心配はあっても、軽視はできません。

「やっぱり、この馬ええやん!」となるかもしれませんよ(笑)。

Profile
竹俣 紅(たけまた・べに)
1998年6月27日生まれ。東京都出身。2021年フジテレビ入社。
趣味:おいしいおそば屋さん巡り ウォーキング ガチャピン
モットー:元気に、地道に、前向きに

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