子育てに重要なのは、夫婦で一貫性のある“民主的な親”であることだという

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 お母さんが怒ってばかりで、お父さんが優しい。逆にお父さんが厳格で、お母さんは甘やかしがち…そんな家庭は多いかもしれません。しかし、父親と母親がそれぞれ異なる子育てスタイルをとるのは、心理学的には子どもにとって良くないと言われています。その理由と対策について、子どものこころ専門医の大和行男さんにお話を伺いました。

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■権威的な親の子は攻撃的になりやすく、放任的な親の子は外部のルールに抵抗しやすい

 子育てスタイルとは、親が子どもとの関わり方や育て方において示す行動や態度、アプローチの傾向のことです。心理学の研究では、子育てスタイルには大きく分けて4つのタイプがあるとされています。それぞれのタイプは、以下のように特徴づけられます。

権威主義的な親:子どもに対して高いレベルのコントロールを求める。厳しいルールを設定し、それに従わない場合は罰を与える。子どもの感情や意見を考慮しない。「言うことを聞け」という姿勢が強い。

放任的な親:子どもに対してほとんど関与しない。会話や遊びなどの活動に時間をかけない。家庭内でのルールも少ないかない。子どもの自立や成長を促さない。

過保護的な親:子どもに対して注意深く温かいが、あまりルールを設けない。親友のように振る舞うことを優先する。子どもの要求や欲求に応えすぎる。

民主的な親:一般的には最適なアプローチとされる。柔軟で現実的な態度をとる。明確な境界を設けるが、その中で子どもの自立を促す。罰よりも支援的なしつけを行う。子どもが成長するにつれて自由度を増やす。

 これらの子育てスタイルは、子どもの発達や幸福感に大きな影響を与えると考えられています。例えば、権威主義的な親の子どもは、規則に従うことが多いが、自尊心が低くなったり、攻撃的になったりする可能性が高いです。放任的な親の子どもは、外部のルールに抵抗したり、自制心が低くなったりする可能性があります。過保護的な親の子どもは、創造性が高くなったりする一方で、自分勝手になったり、人間関係で与えることよりも受け取ることを求めたりする可能性があります。民主的な親の子どもは、自制心や自立心が高く発達したりする可能性があります。

■父と母で子育てスタイルが違うと、なぜ良くない?「発達や幸福感に悪影響を与える可能性が高い」

 父と母がそれぞれ異なる子育てスタイルをとることの子どもへの影響は、個人によって異なります。しかし、一般的に言えば、父親が権威主義的で母親が過保護的だとしたら、その組み合わせはよくありません。そのような場合、子どもは父親から受ける圧力や罰に対して怒りや恐怖を感じたり、母親から受ける甘やかしに対して依存したりする可能性があります。また、子どもは自分の感情や意見を表現することができなかったり、自分の選択や行動に責任を持つことができなかったりする可能性があります。

 逆に、父親が過保護的で母親が権威主義的だとしたら、その組み合わせもよくありません。そのような場合、子どもは父親から受ける甘やかしに対して権利だと思ったり、母親から受ける圧力や罰に対して反抗したりする可能性があります。また、子どもは自分のニーズや欲求を満たすことに固執したり、他人のニーズや欲求を無視したりする可能性があります。

 以上のことから、父と母がそれぞれ厳しくしたり甘やかしたりする子育ては、子どもの発達や幸福感に悪影響を与える可能性が高いと言えます。このような状況に陥らないためには、以下の点に注意する必要があります。

親同士のコミュニケーションを大切にする:父と母はそれぞれ自分の子育てスタイルについて話し合い、共通の目標や基準を設定することが重要です。また、子どもの様子や気持ちを観察し、共有することで一致した対応を取ることができます。

子どもに対して一貫性を持つ:父と母はそれぞれ異なるスタイルで接しても構いませんが、ルールや期待値は一定に保つ必要があります。例えば、「宿題は夕食前に終わらせる」というルールは父でも母でも同じように守らせることで、子どもは混乱せずに安心感を得ることができます。

子どもの個性やニーズを尊重する:父と母はそれぞれ自分の価値観や考え方に基づいて子育てをすることがあります。しかし、それが子どもの個性やニーズと合わない場合、子どもは自分の気持ちや思いを抑え込んだり、親に反発したりする可能性があります。親は、子どもの個性やニーズを理解し、受け入れることで、子どもの自己表現や自己実現を支えることができます。

■あなたは理想的な子育てのスタイルできてる? 「民主的な親」の特徴チェックリスト

 理想的な子育てのスタイルは、一概に決めることはできません。子どもの年齢や性格、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。しかし、一般的に言えば、以下のような特徴を持つ民主的な親のスタイルが最適とされています。

・子どもに対して温かく関心を持ち、愛情や信頼を示す

・子どもに対して適切なルールや期待値を設定し、その理由を説明する

・子どもに対して選択肢や責任を与えることで自立を促す

・子どもに対して励ましや褒め言葉を与えることで自尊心を高める

・子どもに対して話し合いや交渉を通じて意見や感情を尊重する

 このような民主的な親のスタイルを取ることで、子どもは以下のような効果を得ることができると考えられています。

・自分の能力や価値に自信を持つことができる

・自分で考えたり決めたりする力がつくことができる

・他人と協力したり共感したりする力がつくことができる

・社会的なルールや道徳観を身につけることができる

 父と母がそれぞれ厳しくしたり甘やかしたりする子育ては、子どもの発達や幸福感に悪影響を与える可能性が高いことがわかりました。そのため、夫婦それぞれ自分の子育てスタイルについて話し合い、共通の目標や基準を設定し、一貫性を持って子どもに接する必要があります。また、それぞれ民主的な親のスタイルに近づけるように努める必要があります。これらのことを実践することで、子どもの個性やニーズを尊重し、子どもの可能性や世界を広げることができるでしょう。

【監修者プロフィール】

医療法人社団先陣会理事長/こころと美容のクリニック東京 大和行男院長

こころと美容のクリニック東京院長として、思春期から成人まで幅広くメンタルケアから美容皮膚科の診療を展開中。新しい概念として「思春期美容皮膚科」を提唱し、児童精神科の訪問診療も行っている。

資格:子どものこころ専門医、精神科専門医