旅慣れている人の、旅のもちもの。#1 平野紗季子
フードエッセイスト・フードデザイナーの平野紗季子さんの旅のもちものと、旅のプラン。
TOURIST 平野紗季子 フードエッセイスト、フードディレクター
幼少期から食日記を書き続け、フードライフを綴ったブログが話題となり文筆活動をスタート。現在は雑誌等で多数連載を持つほか、ラジオ番組のパーソナリティを務めるなど多岐にわたり活躍中。
食体験を堪能するため、身軽で、着飾りすぎない。
フードエッセイストとして食と言葉を生業とする平野紗季子さん。あらゆる土地の食を求め、月に1、2回は飛行機に乗る。旅の持ち物は、食を満喫し、記録するためのアイテムがメイン。
「レストランのドレスコードに対応できるようワンピースや小物。あとはメモ用のレコーダー、お店のパンフレットを保存するファイル、旅先の国にまつわる本、MacBook…。それ以外は結構適当で(笑)、持って行く服も少なくて、ラフなパーカで通りすがりのお店に直感で入ります」。飲食店だけでなく市場や生産者の活動拠点も見に行くことも。だからなるべく身軽で、必要以上に着飾らない。そしてどんな旅先でも役に立つというのが「ジップロック」だ。胃袋に限界がきたとき、彼女のもう一つの胃袋になってくれる。「食べ切れなかったパンやお菓子を、部屋でゆっくり味わうことが最高のお土産です」
今回見せてくれたバッグの中身は、2019年の秋頃、コペンハーゲンに行ったときのもの。旅の目的はレストラン〈noma〉をはじめとする、新たな北欧料理を味わうこと。「何度行っても刺激的な食体験をもたらしてくれます」。一皿からシェフの思想をも求める平野さんの4泊5泊プランを紹介します。
DESCRIPTION〈CELINE〉のハンドバッグ。紀行文やエッセイ本。ジップロック。〈Mame Kurogouchi〉のドレス。〈ロイヤルホスト〉と「味な店」のコラボスウェット。クローゼットに掛ける固形フレグランス。現地の水質で髪がバサバサになったときに使う〈アリミノ〉のセラムトリートメント。ホテルでのんびり塗る〈J.Hannah〉のマニキュア。〈Aēsop〉のルームスプレー。〈パーフェクトポーション〉のアウトドアボディスプレー。〈Mame Kurogouchi〉のショルダーバッグ。MacBook Pro。〈ピガール〉のロシア帽。レストランで料理の解説を聞き逃さないためのレコーダー。胃腸薬の御岳百草丸。ショップカードやパンフレットを綺麗に持ち帰るためのクリアファイル。〈バートン〉のスーツケース。
PLAN 食と社会の繋がりを感じる5日間。
DAY1食のアカデミー賞といわれる「The World’s 50 Best Restaurants」でのちに1位に輝いた〈Geranium〉へ。印象的な一品は、ジ・エンドという名のドクロ形チョコムースデザート。“(食事の)終わり”という意味の掛け合わせもユニーク。
DAY2ガストロノミーの世界に新たな潮流をもたらしたレストラン〈noma〉へ。これはりんごサラダに、フルーツレザーで作ったカブトムシが添えられた遊び心ある一皿。時代を変えた名店は来年幕を下ろすので、最後にもう一度行きたいと計画中。
DAY3「ずっと食べてばかりはいられないから、美しいものを見てお腹を空かそう」と〈ルイジアナ近代美術館〉へ。ここには海が眺められるコンサートホールなどがあり、自然のなかで芸術鑑賞ができる。自然とアートの共存はここならでは。
DAY42019年当時はオープンしたばかりだった劇場型レストラン〈Alchemist〉。ここでは、空間の演出も含めて一皿が完成する。約6時間かけていくつかの空間を自ら回遊しながら、シェフが伝えてくれるメッセージ性のある食を堪能するひととき。
DAY5いつもは早起きできないけど、旅先だと不思議と頑張れるもの。カフェやベーカリーに寄るのも大好きな平野さん。お気に入りのカルダモンロールを求めて、ローカルの人に混ざり優雅なモーニングタイムを過ごした。
ALWAYS TOGETHER「どん兵衛」は機内で食べるのが一番おいしい!意外にもカップ麺が必需品。機内食ではなく、ほかの人が食べてない優越感に浸りながら空の上で食べる一杯は至福。
photo_Miyu Yasuda text_Ayaka Takaura
No. 1224
No.1224 『京都の味』 2023年08月28日 発売号
今号から、Hanakoがリニューアルします。 Hanakoが創刊時から大事にしてきたDNA・食と旅を軸にして。 領域は、家の食事を楽しむためのインテリアと道具、旅の持ち物、日本各地のカルチャー情報も……。 一時的な情報だけでなく、読者のみなさんにとって、Hanakoの記事が刺激となり、脳内シナプスが多方向につながり、楽しいことがどんどん広がって、新しい世界が開いていく特集を作っていきます。 リニューアル第一号は、京都の味について考えます。 平安時代に始まり、戦国時代を通して、現代へ。古くから、日本人が京都を目指すの …
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