山本彩 撮影/半田安政

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5月にアルバム『&』をリリースした山本彩が、8月3日(木)、東京のZepp Hanedaにて、ツアーファイナルライブを開催した。千葉LOOKからスタートした今回の全国ツアー、前半は約1か月をかけてライブハウスを回り、後半は全国のZeppを回りHanedaでファイナルを迎えた。通称「チームSY」と呼ばれる4人のバックバンドを従えてのツアーだったが、Zepp公演からは、コーラスとストリングスも加わり、山本を含め7人体制に。今回は、ライブハウスツアーの集大成とも言えるZepp Haneda公演の模様をレポートする。

【写真】山本彩、ツアーファイナルのライブ写真【9点】

開演前、YUKIやBiSH、椎名林檎といった女性アーティストの曲が流れる場内。開演時間5分ほど前となり、「間もなく開演します…」との場内アナウンスに続いて流れて来たのは、阿部真央の『pharmacy』。会場からは自然と手拍子が起こり、気持ちが徐々に高まってゆくのが分かる。そして、『pharmacy』が終わると会場は暗転。歓声が上がると、ライブの始まりを告げるオープニングSEが流れる。6人のバンドメンバーが次々と登場し、最後に山本が登場してギターを手にすると、流れていたSEにそのままバンドの演奏が加わり、『Don’t hold me back』からライブがスタート。

エレキギターをかき鳴らして歌う姿が印象的な『Bring it on』へと続き、さらに、アコースティックギターに持ち替え、阿部真央が作詞作曲を手掛けた『喝采』へと続く。今回のツアーは、各会場この3曲で始まっていたので、この日もスタートと同時に一体感が生まれ、ファイナルへの期待値が一気に高まる幕開けとなった。

最初のMCパートでは、オープニング3曲での声援や盛り上がりを受けて、山本は「これまでにも、今日がファイナルでもいいと思ったライブがあったけど、間違いなく今日が本当のファイナル」と語り、「2階!下手!上手!」と客席を煽っていく。今回は、下手側前方に300人ほどの女性エリアが設けられていたこともあり、曲の合間に、男性の野太い声援だけでなく、女性からの声援がたくさん聞こえたのも印象的だった。

次のブロック、ギターを置いた山本がまず歌ったのは『unreachable』。チームSYに、コーラスとストリングスが加わったZepp公演から、セットリストに追加された1曲だ。山本の優しくも力強い歌声がZeppに響き渡る。そして、再びギターを抱え歌ったのは『劣等感』。さらに、ELLEGARDENのカバー『風の日』へと続く。特に、上からのスポットライトが当たる中、山本のギター1本での歌い出しから始まり、徐々にバンドの演奏が加わり、疾走感あるアレンジへと突入する『風の日』は、山本とチームSYのバンドとしての魅力を大いに感じられる中盤のハイライトだったと言ってもいいだろう。

続く、MCパートでは、ツアーファイナルらしく、バンドメンバーが1人ずつ今回のツアーの思い出を語ったのだが、ドラムのSATOKOからは、山本が全公演ヘアスタイルを変えてライブに臨んでいたというエピソードが飛び出した。各メンバーのコメントからも、山本とチームSYが各地でのライブを全力で楽しみながらバンドの絆を深めていき、今回のファイナルへとたどり着いたことが感じられた。

後半戦は「夏っぽい曲をやります」とのMCから『蛍』でスタート。この曲では山本のギターソロも見られた。続いて、時計のSEが印象的な『ゼロ ユニバース』、キーボードで始まる『追憶の光』へと続き、Zepp公演でのみ披露されてきた『ラメント』へ。このブロックはしっとりと聴かせる曲を中心に組まれており、会場のファンもじっと聴き入っていたのが印象的だった。

最後のMCパートでは、「1曲1曲噛み締めて歌わせてもらっています」とここまでのライブを振り返りつつ、「しっとりとした曲が続いたので…もうひと暴れするかい?まだいけるか?東京!」と客席を煽って、『JOKER』からラストスパート開始。次の『Weeeekend』では、ステージ前方エリアへ。サビのフレーズ「♪HAPPY HAPPY Party Boy〜」のコール&レスポンスで、会場には更なる一体感が生まれる。この曲の間奏では、メンバー紹介で各パートソロも披露され、ここでライブのピークを迎えたかと思いきや、続く『TRUE BLUE』では「ハイ!ハイ!」とかけ声が上がり、会場のボルテージはさらに上がってゆく。

そして、「ホンマにありがとう」と語り、最後の曲『ドラマチックに乾杯』へ。タオルを回しながらステージ前方エリアや左右のお立ち台へと移動しながら歌う山本に、会場のファンも全力でタオルが振り回して声援を送る。まさに、最後の1曲に相応しいこの日一番の一体感をもってライブ本編は終了した。

そして、アンコール。本編の白の衣装から一転、このツアーでたびたび話題に上がっていたY2Kファッションで登場した山本。「30代も頑張っていきたい。長い旅に、長いマラソンにこれからもついて来て欲しい」と語ると、会場からはひと際大きな拍手と歓声が上がる。

アンコールの1曲目は、そんな思いを語った後にピッタリな『yonder』。多幸感溢れる雰囲気の中、2曲目『Are You Ready?』では、山本もバンドメンバーもステージをところ狭しと動き回りながらパフォーマンス。会場からは「オー!オー!オー!」という歌声も響き渡り、今回のツアーを通じて生まれたバンドの絆、ファンとの絆を強く感じられる形でアンコールも終了。記念撮影や動画撮影を行い、ファイナルもこれにて無事終了かと思ったのも束の間、会場からは「彩!」コールが鳴り止まず、予定外のダブルアンコールへと突入。再び『Bring it on』でもうひと盛り上がりして、ファイナル公演は終了した。まさに15本のツアーの集大成とも言うべき熱く濃いライブとなった。

山本はこの全国ツアー中に誕生日を迎えて、30歳になった。アーティスト、シンガーソングライターとして輝きを放ち続ける山本の次なるステージがますます楽しみになる、そんな内容のツアーファイナルだったのではないだろうか。今回のライブの会場にセットされていたカメラは16台。期間限定だがまだアーカイブ配信でも観られる。是非とも改めてこのツアーファイナルの熱気と一体感を感じてみて欲しい。

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