福島から北陸道をゆく「旅打ち」
第6回:温泉街でボートレースに挑む

(5)地方競馬のなかで「最高」とされる金沢競馬場を訪れて...>>


北陸道をゆく「旅打ち」の折り返し地点ではボートレースに挑戦

 北陸道をゆく「旅打ち」の4日目は、金沢をあとにして福井県の芦原温泉へと向かう。ここが今回の旅の折り返し地点だ。

 芦原温泉に宿をとり、ここでは少し趣向を変えて、すぐ近くにある三国ボートレース場でボートレースに挑んでみようと思う。

 早朝、金沢を発つ前に有名な近江町市場を覗いてみた。開いている寿司屋でもあれば......と、期待したのだが、行くのが早すぎたのか、寿司屋どころか、開いている店が一軒もなかった。


福井からはえちぜん鉄道で芦原温泉へ

 金沢からはJRで福井へ。そこから、第三セクター鉄道のえちぜん鉄道に乗り換えて、あわら湯のまち駅へ向かう。およそ3時間の行程だ。

 福井から左右に広がる田園風景のなか、一両だけのえちぜん鉄道にコトコトと揺られ、午前11時20分にあわら湯のまち駅に着いた。三国ボートレース場はそこから歩いて20分ほどのところにある。

 この日と翌日の2日間は、この温泉町にある素泊まりの民宿をとった。予算5万円では、温泉旅館などには泊まれない。

 それでも、宿に到着すると、民宿のおかみさんが近くにある『セントピアあわら』という入浴施設の半額券をくれた。通常、大人500円の入浴料金が250円! しかも、行きたい時には何度も提供してくれるとのことで、「これで、十分温泉気分を味わえる」と、ひとり心のなかで負け惜しみ......。


入浴施設の『セントピアあわら』

 芦原温泉は、かつては「関西の奥座敷」と呼ばれ、大いににぎわった。今やそういったバブリーな雰囲気は薄れ、鄙(ひな)びた温泉街といったイメージだが、夜になるとネオンが怪しい雰囲気を醸し出す『あわらミュージック』(ストリップ劇場)が、古きよき時代の名残をとどめているようだった。

 民宿に荷物を預けて、温泉街のたたずまいを眺めながら、三国ボートレース場に向かう。

 ボートレースには一時、相当熱くハマり込んだ時期があった。その後はなぜか、潮が引くように熱が冷めて、ほとんど手を出さなくなった。

 ただここ最近、昔とったなんとやらで、大きなレースだけネットで舟券を買うようになった。買うレースが少ない分、成績はトントンといったところか。


三国ボートレース場

 結局行くことができなかった弥彦競輪は、第1レースの発走が20時50分というミッドナイト開催で行なわれていたが、三国ボートは"モーニング開催"が主流のようだ。第1レースの発走は、なんと朝の8時35分。中央競馬の第1レースが午前10時前後で、関東近郊のボートレースもナイター開催以外は、第1レースの発走がお昼前後というのが一般的ゆえ、その時間はかなり早い。

 そして面白いのは、第1レースから第4レースまでは『みくにあさイチ』と『みくにあさガチ』といったレースタイトルがついていて、インの1号艇にA級の腕のいい選手が入っていたこと。これらは、いわゆる"サービスレース"である。

 ボートレースは、イン有利が大原則。つまり、暗に「1番から買えば、当たりますよ」と言っているようなものだ。

 そうは言っても、必ずしもガチガチというわけではない。この日も最初の4レース中、3連単の配当が3ケタだったのは、1レースのみ。残りの3レースは、1000円以上のオイシイ配当が飛び出していた。


第11レースに続いて、第12レースも的中

 ただこの日、温泉街をゆっくりと散策していた私がボートレース場に着いたのは、すでに昼過ぎ。第10レースが行なわれる前だった。

 モーニング開催は、始まるのが早い分、終わるのも早い。勝負できるレースは、あと3つしか残っていない。

 とるものもとらずに、すかさず第10レースの舟券を買った。結果は、ボートレースでは最も不利とされる大外の6号艇の選手が勝って、3連単は3万円台の大荒れとなった。

 無論、自分の舟券は見当違いの大ハズレ。予想がかすりもしなかったので、精神的なダメージは少なかった。


屋台村で食べた串揚げ

 そうして、新たな気分で第11レースを買うと、これが的中。気をよくして最終レースも買うと、これまた大当たり。3連単で1890円、3110円の好配当を手にして、金沢競馬での負け分を取り返すことができた。

 宿に戻って、半額券を片手に『セントピアあわら』へ。旅の疲れをじっくりと癒した。

「あぁ〜、極楽、極楽」

 温泉につかったあとは、『湯けむり横丁』という屋台村へ。金沢では地元旬魚の刺身づくしだったため、この日は少しこってりした串揚げを肴にカンパイ。


絶品だった『越のルビー』のオリーブあえ

 大エビ、キスなどいずれも旨かったが、とりわけ印象的だったのは、串揚げを食べる合間に頼んだ『越のルビー』という福井特産のミニトマトのオリーブあえ。こいつが、絶品!

 さぁ、明日も勝つぞ!

(つづく)