旅客機の座席クラスのなかで後発ながら、近年定着しつつある「プレミアムエコノミー」。エコノミークラスとは、どれだけ差があるのでしょうか。実際に乗ってみました。

アップグレードは「入札」制?

 旅客機の座席には高い方からファースト、ビジネス、エコノミーといくつかの等級がありますが、比較的後発の座席クラスとして誕生したものの、いまやスタンダードになりつつあるのが「プレミアムエコノミー」、いうなればエコノミークラスとビジネスクラスの中間です。実際、この席は通常のエコノミークラスとどう違うのでしょうか。とある外資系航空会社で、エコノミーとプレミアムエコノミーの双方に乗る機会があったので、比べてみました。


プレミアムエコノミーを搭載しているキャセイパシフィック航空機(乗りものニュース編集部撮影)。

 筆者が海外へ行くのは、コロナ禍が本格的になった2020年2月以来。今回はともに香港を経由し、成田とパリを往復するという旅程です。計4回の搭乗はできるだけ安くと、すべてエコノミーで航空券を買いましたが、経済的打撃の影響でしょうか。航空会社の予約方法も諸々変わり、実際に体験すると驚きもしました。

 1つは座席の指定が、LCCでは既に聞いていましたが、航空券とは“別料金”となっていたこと。次が座席のアップグレードのオファーです。「bet(賭け)」として、出発の約1週間前に送られてきた航空会社からのメールに記された上乗せ料金は、香港〜パリが片道約5万円から、成田〜香港が同じく約8万円からだったと記憶しています。

 betのメールを受信したのは初めてだったので、「試してみよう。はずれて元々」と考え、パリから香港への帰国便を最低価格の約5万円で“入札応募”したところ、帰国する前々日に“成立”したとのメールが届きました。

当たったプレエコ、エコノミーとどう違う?

 今回運良く安くゲットできた、長距離便でのプレミアムエコノミー。実際に乗った感じは、足元の前後間隔はエコノミーより10cm以上広いようで、通路に出る際も、エコノミーよりずっと楽に往来できました。

 座席の幅も5cm以上は広く、隣の乗客と同時に肘をかけることができるほどアームレストも幅があり、“奪い合う”こともありません。また、レッグレストもあり、背もたれもエコノミーの倍の角度で傾けることができ、快適性はエコノミーよりグンと向上しています。

 出発時の座席には、エコノミークラスで配られなかったミネラルウォーターや、歯ブラシとアイマスク、機内用の靴下が入った布製のポーチが置かれています。機内食はエコノミーより1皿多く、ボリュームもほど良い感じがしました。


パリから香港へのプレミアムエコノミー搭乗で出た機内食(加賀幸雄撮影)。

 かつてのビジネスクラスは、現代のプレミアムエコノミーのような座席に豪華なサービスを組み合わせたものでしたが、現代ではより進化し、フルフラットシートが搭載されるなど豪勢なものになりつつあります。今回プレミアムエコノミーに乗った感想は総じて、四半世紀前に乗ったビジネスクラスの座席を、少しだけスケールダウンしたイメージです。快適さも含めてほぼ「むかしのビジネスクラス」と似た感覚を味わうことができました。

 今回は旅の疲れが出る帰国便のうち、搭乗が12時間以上となるパリ→香港でプレミアムエコノミーを選んだのは正解でした。機内にいる時間と最低料金での“入札成立”の釣り合いは取れていました。

 いずれの航空会社もコロナ禍で経営的な厳しさは続き、一部では、以前よりエコノミークラスの方はサービスが簡素になったとの感があります。それに対してプレミアムエコノミーは、名前こそ「エコノミー」がついていますが、エコノミークラスとはかなり違った乗り心地です。

 ちなみに、搭乗した航空会社はプレミアムエコノミーを「特選経済」と表記していました。「特選」は言い得て妙だと思いました。

 筆者個人的には、日本からアジア地域が目的地になる程度の飛行時間ならエコノミークラスで充分と思いますが、10時間以上乗る欧米路線へは、“入札”が成立するなら次回も試したくなる選択肢な気がしました。