「メネトリエ病」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

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メネトリエ病は胃の皺壁(すうへき)と呼ばれるヒダが膨張し、浮腫・吐き気・体重減少・下痢・低蛋白血症などの症状があらわれる病気です。

無症状な場合もありますが、他に腹痛や食欲不振などの症状もあります。

たとえ症状が軽かったとしても、胃潰瘍や胃がんとの併発の恐れもあるため、注意の必要な病気なのです。

しかし、早期に適切な治療を行うことによって、合併症のリスクを下げる上に完治も目指せます。

今回の記事では、メネトリエ病の症状・発症の原因・治療方法・合併症・食事の注意点も解説します。

気になる症状のある方は受診をためらわずに、お近くの医療機関にご相談ください。

メネトリエ病の症状と原因

メネトリエ病とはどのような病気ですか?

メネトリエ病とは、胃の皺壁(すうへき)と呼ばれるヒダが膨張し、浮腫・吐き気・体重減少・下痢・低蛋白血症などの症状があらわれる病気です。また、メネトリエ病は肥厚性胃炎と呼ばれることもある消化器疾患になります。
低蛋白血症は胃の粘膜から血液の蛋白質が漏れ出ることで起こります。原因は不明の場合が多いですが、ヘリコバクター・ピロリ菌などによる細菌感染・ストレス・自己免疫疾患などが関与していると言われているのです。
内視鏡や病変部位の生検を行うことにより診断され、食餌療法・薬物療法・手術によって治療されます。
また、症状が軽いからと言って受診をためらっていると、症状が悪化して治癒が困難になってしまう場合があります。また、胃がんや胃潰瘍との併発の可能性もあるため、早期の受診と適切な治療が必要になるでしょう。

症状を教えてください。

メネトリエ病の主な症状には下記のようなものがあります。

無症状

腹部不快感

吐き気

嘔吐

腹痛

食欲不振

下痢

メネトリエ病の症状は、ほとんどの場合軽度であり、特に痛みや不快感がないこともあります。
主な症状は、腹痛、吐き気、嘔吐、胸やけ、食欲不振、下痢などです。また、胃の拡大が進行すると、食道や胃の内腔の内視鏡的検査で異常が確認されることもあります。
重度の場合、貧血や胃潰瘍のリスクが高まります。

発症の原因を教えてください。

メネトリエ病の原因は不明の場合が多いですが、ヘリコバクター・ピロリ菌などによる細菌感染・ストレス・自己免疫疾患などが関与している可能性があります。
また、肝硬変胃がんなどの他の病気と関連している場合もあります。
ただし、全ての患者さんの原因が特定できるわけではなく、多くの場合は原因不明のまま治療が行われているのです。

どのような方がメネトリエ病になりやすいのでしょうか?

メネトリエ病は比較的まれな疾患であり、特定の年齢層や性別に限定されるものではありません。
また、メネトリエ病は幼児期に発症する場合はサイトメガロウイルスとの関連が考えられています。
また、メネトリエ病は、胃がんや胃潰瘍を併発する可能性があるため、たとえ症状が軽度でも注意が必要です。

メネトリエ病の治療方法と合併症

どのような検査で診断されますか?

メネトリエ病の診断は、胃の内部を観察することで行われます。具体的な方法は下記の4つです。

X線造影検査

内視鏡検査

胃生検病理検査

シンチグラフィー検査

メネトリエ病の検査は、まずX線造影検査・内視鏡検査を行い胃の内部を観察します。胃の内部の観察で異常がみられた場合に、胃生検病理検査・シンチグラフィー検査を行い、異常な部位の細胞を採取し生検を行います。
このような検査で胃の粘膜の過形成とともに固有胃腺の萎縮が確認できると、メネトリエ病と診断されるのです。

メネトリエ病の治療方法を教えてください。

症状が軽度の場合は特別な治療を必要としない場合がありますが、症状が重度の場合は、胃酸を減らす薬や鎮痛剤、消化不良を緩和する薬などを処方することがあります。
また、ストレスや緊張を軽減することも、症状を軽減することができます。

手術することもあるのでしょうか?

メネトリエ病の手術は、保存療法が有効でなかった場合に行われます。手術方法は、腹部開腹手術または腹腔鏡下手術で行われることがあります。
腹腔鏡下手術では、腹壁に小さな切開をし、腹腔鏡を挿入し、手術に必要な器具を操作するのです。胃の底部の拡張した部分を切り取り、胃の残りの部分を繋ぎ合わせます。 胃の形を正常に戻し、症状が改善することが期待されます。
手術後の回復期間は個人差がありますが、一般的には数週間から数ヶ月間です。手術後は食事制限が必要な場合があり、手術前後は食品を細かく分けて食事をすることや、特定の食品を変えることが推奨される場合があります。

メネトリエ病の合併症を教えてください。

メネトリエ病は、通常は症状が比較的軽度で経過することが多いため、合併症が発生することは比較的まれです。
しかし場合によっては、以下のような合併症が発生する可能性があります。

胃潰瘍

胃がん

胃内容の逆流

胸焼け

声のかすれ

栄養不良

胃底部の拡張した部分に圧力がかかることによって胃酸の逆流・胃の粘膜の炎症が起き、胃潰瘍や胃がんの原因になることがあります。
また、胃内容物が逆流して食道に流れることにより、胸焼けや喉の痛み・声のかすれなどが起こることがあります。
他にも食事が胃でスムーズに消化できず、栄養不良が起こります。これらの合併症は、症状が進行している場合や適切な治療が行われなかった場合に発生する可能性があるのです。

メネトリエ病の食事の注意点

メネトリエ病は治りますか?

メネトリエ病は、原因が明らかになってから正しい治療が施されることで、完全な治癒を目指すことができます。
特に、原因が胃癌などの重篤な疾患である場合には、早期発見早期治療が必要です。
例えば、メネトリエ病の原因がヘリコバクター・ピロリ菌の場合やサイトメガロウイルスの場合は、適切な薬物療法を行います。
また、症状として低蛋白血症があれば、高蛋白食を複数回に分けて摂取するなどの食餌療法を行います。

メネトリエ病と診断された場合の食事の注意点を教えてください。

メネトリエ病と診断された場合、食事がスムーズに消化できなくなるため、食事の内容には下記の5点の注意が必要です。

消化の良い食品を選ぶ

温かいものにして食べる

脂っこいもの・辛いもの・飲酒は控えめに

消化の良い食品を選び、小分けにして摂取することが大切です。消化の良い食品の一例には、蒸した野菜や魚、柔らかく煮込んだ肉などがあります。
また、温かい食事は胃腸の動きを促進し、消化を助けます。そのため、冷たい飲み物や食べ物は避け、温かい食事を摂るようにしましょう。
他にも、 大量の食事を一度に摂取することは、胃底部の拡張性を低下させる恐れがあります。そのため、食品を小分けにして、ゆっくりと食べることが大切です。
また、脂っこいもの・辛いもの・飲酒は胃腸を刺激するため、消化不良になる場合があります。
そのため、摂りすぎには注意しましょう。以上のような食生活を意識し、消化の良い食品を中心にバランスの良い食事を摂取することが、メネトリエ病の治療に役立ちます。
具体的な食事内容に関しては、医師や栄養士に相談することが進められています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

メネトリエ病と診断された場合も、適切な治療食生活の改善などで症状の改善が期待できます。
また、症状が軽いからといって受診をためらわずに気になる症状がある場合は、なるべく早くお近くの医療機関にご相談ください。
あなたを支える人たちが必ずそばにいてくれます。患者さんの症状の改善と、普段通りの健康な日常が取り戻せることを願っています。

編集部まとめ


ここまで、メネトリエ病の症状・発症の原因・治療方法・合併症・食事の注意点も解説しました。

メネトリエ病は適切な医療を受けることに加えて、日々の食生活を見直す必要があります。

例えば、消化の良い蒸し野菜や魚などを積極的に摂りましょう。

また、胃に負担をかける脂っこいもの・辛いもの・アルコールは避けなければなりません。

そして、症状が軽いからといって受診をためらう方が多く、重症化に繋がる恐れがあります。

気になる症状がある場合は、症状の軽いうちにお近くの医療機関にご相談ください。

参考文献

機能性ディスペプシアの診断と治療