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 ブンデスリーガ第30節では、ボルシア・ドルトムントが首位陥落を喫した金曜日のボーフム戦における、サシャ・シュテーゲマン審判員による誤審騒動に揺れている。ボーフムのダニーロ・ソアレスがドルトムントのカリム・アデイェミに対して、自陣のPA内で激しくタックルしたものの、主審はプレーを流しさらにVARさえ介入しなかったことへ、ドルトムント首脳陣からは「職務の怠慢」(ケールSD)との批判の声も噴出した。ではこのような事態を避ける方法として、どのような可能性が考えられるだろう?1つの候補としては、『チャレンジ』制度があげられる。たとえばアメリカンフットボールでは、コーチは1試合に2度「チャレンジ」という手段を講じて、そのシーンのビデオレビューを要求する権利をもつ。

 仮にサッカーにも同様の権利をそれぞれのクラブが有するならば、今回の試合でドルトムントはPKを獲得することができていたはずだ。この支持者はたとえばケルンのバウムがルト監督であり、「これは明らかな誤審と思われる場合に限り、ハーフタイムに1回与えるならば理にかなっているように思うね」とキッカーに対してコメント。誤審がおきても、逆にこれによって速やかに問題の解消、ひいては事態の沈静化につながるという。さらにシャルケのライス監督も、「その可能性はあり得ると思うね」との持論を展開。ただそれはあくまで、試合自体の流れというものを止めるまでのものではないことが前提であることも強調した。

ドレースVAR担当はチャレンジ制度導入に前向き

 ドイツサッカー連盟でVARを統括するヨッヘン・ドレース氏は、ドイツ通信社に対して「確かに、チャレンジによって誤審を防ぐことができた場面もあったかもれない」とコメント。実際に昨年11月の時点で同氏はキッカーに対して、「かなり考えられるオプションだ」と明かしており、今回も「基本的にオープンだよ」という発言は、その時と同じだといえる。ただ導入にあたっては詳細に考慮し検討していく必要性も強調している。ただフェリックス・ブリヒ審判員は、こちらの導入には難色を示した。
 

ブリヒ審判員が語る、現代サッカーにおける審判員の苦労

 長年トップレフェリーとして活躍してきたブリヒ審判員は改めて、現代のサッカーが審判員にとっても、さらに高いレベルのものが要求されるようなったことを主張。「この30年間で信じられないほどの変化が起きました。コーチは常に新しい戦術を編み出し、それは対戦相手だけでなく審判にとってもチャレンジになるものです」と述べており、もともとVARさえ「クラブ側が10年、15年要求し続け、逆に審判員たちはそれを良しと思わなかった」という経緯があったという。しかしもはやVARは「現代において避けて通れないものでしょう」とも語り、「ただそれでも100%満足するような答えを導きだせるわけではありませんがね」とも付け加えた。