「落合さんだけ、替えなかったのは」原巨人と落合中日の「違い」 巨人の日替わりオーダーに球界内から疑問の目が向けられる理由

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V奪回を誓っている原監督(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 巨人は先週末のヤクルト3連戦に6カードぶりの勝ち越し、最下位脱出と少し明るい兆しが見えてきた。

 打線では「新55番」秋広優人が23日のヤクルト戦でプロ初のマルチ安打を記録、2試合連続でスタメン起用されるなど、若い力も躍動、勢いを与えている。

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 一方、開幕時から注目を集めている「日替わり打線」については、球界内からも様々な考察の声が上がっている。

 現役時代は大洋(現DeNA)で活躍、引退後は日本代表コーチも務めた野球解説者の高木豊氏は24日に更新した自身のユーチューブチャンネルで現在の巨人の戦いぶりについて言及している。

 現在、打順が固定できない要因には主軸の坂本勇人、丸佳浩、吉川尚輝ら本来レギュラーといわれる一部メンバーが不振に陥っていることが影響している。こういった点を受けて、高木氏は「(打線を)日替わりにしたくなる気持ちも分かる」と理解を示しながらも、「調子が悪い選手が多く、パズルゲームになってしまっている」とチームが落ち着かない状況を作り出してしまっていると見る。

 その上で同氏は、中田翔、岡本和真、大城卓三に加え、上記の3人をスタメンで戦うことを提言。「ほかのメンバーを替えて入れていくというのは、(レギュラー選手の)ゲーム感もなくなるし、調子のバロメーターというのが分からなくなる」として、固定メンバーで戦うことが、チーム浮上の鍵を握るとした。

 また年間通して使っていくことで、レギュラーメンバーであるなら一定水準の数字を残せるとし、丸、坂本に関しては「2割8分、20本塁打」、吉川に関しても「2割8分、10本塁打」程度のパフォーマンスは期待できるとした。

 背景には常勝軍団ゆえの厳しさもある。現在の巨人には育成目的に若手の積極起用を促す声もあるが、同時に勝利も求められるとあって、チームのハンドリングに困難さが伴う。

 どの指揮官も悩みどころとし、高木氏は自身が長く野球と関わってきた中で、「じっと耐えて我慢をして選手を信じられたのは落合さんだけだな」と、中日時代の落合監督の起用法をたたえた。

 実際に落合氏が中日監督時代、打線が低迷していたときに打順やメンバー変更しないのかと、聞いたこともあったという。そのときの落合氏の答えは「こいつら数字持っている選手なんだ」と応え、続けて「こいつらはレギュラーなんだ。全員責任を果たしてくるから」と信頼する姿勢を崩さず、実際に各選手は結果に結びつけたという。

 動画内で高木氏はチームへの「お願い」として、「1回10試合ぐらい彼らを信じて任せてくれないか」と改めて、一定期間固定メンバーで戦うことを求めた。

 原監督にもこういった周囲の声は当然耳に入っているが、あくまで「最適解」を求めて、動き続ける姿勢を示している。

 常勝軍団の宿命とはいえ賛否両論が巻き起こっている巨人の打順問題をめぐって、今後も注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]