「排卵痛」の症状・原因・ひどい場合に考えられる病気はご存知ですか?
排卵痛は女性特有の症状です。そしてその女性特有の症状に毎月悩まされている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、排卵痛について、症状・原因・痛みを和らげる方法などをご紹介しています。また生理痛との違いについても理解できます。
排卵痛について知ることで、ただその症状を我慢するだけでなく、症状に応じた対応や医療機関への受診のタイミングも知ることができるでしょう。
排卵痛でお悩みの方は、是非ご覧ください。
排卵痛の症状と原因
排卵痛とはどのような症状でしょうか?
排卵痛の症状は、一般的には生理痛と似たような症状です。そのため下腹部の痛み・張り・違和感などが主な症状となります。その他にも体全体が重い、だるいなどの不調・腰痛・軽い出血や茶色の分泌物が観察されることもあります。そしてこれらの症状は数日でおさまることが多いです。
また排卵痛を全く感じない方や、感じる女性でも痛みの程度に差があるなど、排卵痛の症状には個人差もあります。
生理痛とは違うのでしょうか?
先ほど述べたように、排卵痛と生理痛は症状自体には違いはほとんどありません。しかし、排卵痛と生理痛は症状を感じる時期そして原因に違いがあります。以下が排卵痛と生理痛の主な違いです。症状を感じる時期:生理痛は開始時や生理中に、排卵痛は排卵日前後に症状を感じます。また排卵日は生理周期の中で排卵が起こる約2週間前から1週間前に起こります。
原因:生理痛は子宮が収縮することが原因です。一方で排卵痛は、排卵が原因で卵巣や卵管に刺激が加わり痛みが生じます。
生理痛と排卵痛は症状自体には違いがないので、女性の中には痛みの原因が分からないけれど、毎月下腹部が痛むことに悩まされている方もいるでしょう。女性の体は日々変化しています。そのため、まずは自分の体で何が起こっているのかを知ることが大切です。
また基礎体温などを測り、自分の体内のリズムを理解しておくこともおすすめです。また排卵痛のような痛みが続く場合や周期的に痛むという場合は、無理をせず、医療機関に相談をしてみると良いでしょう。
排卵痛が起こる原因を教えてください。
女性の体は、卵巣の中で卵子を成熟させていきます。その後いわゆる「排卵期」になると、成熟した卵子が1つ、卵巣から飛び出てきます。そしてこの排卵の時に、卵子が入っていた袋が破裂をし、卵巣の壁を傷つけるのです。その刺激が原因で排卵痛が起こるといわれています。また、排卵をする前後では女性ホルモンが乱れやすくなります。
そのことが原因で自律神経が乱れ、腹部や腰部に痛みを引き起こす場合もあるでしょう。
排卵痛はいつ起こるのでしょうか?
排卵痛は、次の生理の2週間ほど前に起こるケースが多いです。なぜならば、女性は次の生理の2週間ほど前に排卵を行うからです。また基礎体温をつけると、次にいつ排卵が起こるかが分かります。そのため、排卵痛に悩まされているという場合は、自分の体内リズムを知るために基礎体温計を活用するのもおすすめです。また排卵痛は、その排卵日の前後3日ほど続く場合が多いです。
しかし、もし痛みが1週間など続く場合や日常生活が困難なほどの体調不良を感じた際は、婦人科などに相談をすると良いでしょう。
腰痛が伴う場合があると聞きましたが…。
排卵痛は、腰痛を伴う場合もあります。女性の体は排卵をする際に卵巣や卵管周辺の筋肉や靭帯が緊張します。そしてその影響で腰部に痛みを発症させてしまう場合があるのです。また痛みの症状は人それぞれです。腰回りが重く痛む方もいれば、軽い違和感のみの方もいます。
しかし、もし激しい腰痛や腰痛と共に出血がある場合は、他の病気が原因になっていることも考えられます。そのためただの腰痛と甘く考えず、必要に応じて婦人科などの医療機関を受診するようにしましょう。
排卵痛の受診と治療
排卵痛がひどい場合に考えられる病気はありますか?
排卵痛がひどい場合は、以下のような病気が隠れている恐れがあります。子宮内膜症:子宮の内側にできる子宮内膜が、卵巣や腹膜などにできてしまう病気です。
卵巣嚢腫:卵巣に良性の腫瘍ができ肥大化してしまう病気です。
卵管炎:卵管が細菌の感染によって炎症が起きた状態のことを指します。
以上のような病気の場合は、医師による適切な治療が必要となります。そのため、下腹部の痛みがひどいなどの場合は、ただの排卵痛と自己判断をせず早めに婦人科の受診をするようにしましょう。
排卵痛で受診するタイミングを教えてください。
排卵痛は、基本的には痛みや出血も数日で納まります。そのため、特別な処置は基本的には必要がないとされています。しかし中には、痛みが強く日常生活がままならない方もいるでしょう。また痛みなどだけでなく吐き気や腰痛も感じるという場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。そのような場合は、我慢をせずなるべく早く婦人科を受診することをおすすめします。
治療方法を教えてください。
排卵痛の治療法としては、鎮痛剤や低用量ピルを処方してもらうなどの方法があります。どちらの方法も、市販で購入をすることもできます。しかし、実は排卵痛はその他の病気などが原因で発症している可能性もあるのです。そのため自己判断のみでこれらの薬を使い続けるのは良くありません。排卵痛が辛い時は我慢せず婦人科に相談をし、そして適切な治療を受けることが大切でしょう。
排卵痛の対処法
更年期になると痛みが強くなる場合があると聞いたのですが…。
更年期になったことが原因で排卵痛がひどくなることは一般的ではありません。そのため、更年期に入ったにも関わらず、今まで以上に下腹部に痛みを感じる、不正出血があるという場合は要注意です。なぜならば、それらの痛みの原因が他の病気の可能性もあるからです。不正出血の原因として更年期の年代でよくある疾患に子宮体がんがあります。また、子宮卵巣だけでなく腸など他の病気の可能性もあります。
更年期に入り生理が周期的に来なくなったからと安心はせず、更年期はもちろんのこと閉経した後も、体調に異常を感じた際は医療機関の受診をするようにしましょう。
排卵痛の痛みを和らげる方法はありますか?
排卵痛は生理現象である排卵に伴って起こる症状ですので、予防することは難しいですが、いくつかの一般的な痛みへの対処で和らげることのできる可能性があります。例えば、冷えから体を守ることは痛みを和らげてくれる可能性があります。特に下半身を冷やさないよう心掛けると良いでしょう。温かいお風呂につかるようにする・運動をする・冷たい物を食べ過ぎないなど、出来ることから取り組んでみるのがいいでしょう。
また、排卵日は自律神経が過敏になる時期です。そして自律神経が影響を受けると、さまざまな体調不良を起こす恐れがあります。そのためストレスを日ごろから溜めすぎないようにすることも、排卵痛の痛みの対処法の1つになるかもしれません。
セルフケアでもなかなか痛みが和らがない場合、婦人科でピルを飲むことが最もおすすめです。ピルを内服することで排卵が起こらなくなるため、排卵痛を予防することができます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
排卵痛には個人差があります。生理痛があるにも関わらず排卵痛はない方もいれば、毎月排卵痛による体調不良に悩まされている方もいます。そのため自分の体は自分で管理をし、辛い時は無理をせず医療機関を受診することが大切です。また毎月生理の2週間前ほどになると体調不良に悩まされるという方は、冷えの解消やストレスを溜めすぎないような生活を心がけるのもよいでしょう。痛みが続いて辛いときは、排卵を抑えるためにピルを始めることをおすすめします。
編集部まとめ
排卵痛や生理痛は、生理がある間は仕方がないと諦め、痛みを我慢している方も多いのではないでしょうか。
しかしそのような自己判断は危険です。排卵痛だと思っていた痛みが実は違う病気が原因だったというケースもあります。
どのような体調不良でも同様ですが、我慢できない痛みや長期的に続く体調不良は、躊躇せず医療機関に相談しましょう。
また排卵痛は、生活リズムの乱れや冷えが原因になっている可能性もあります。特に女性の体にとって冷えは天敵です。自分の体は自分で大切にしてあげるようにしましょう。
参考文献
排卵時期の腹痛・腰痛・性器出血(日本女性心身医学会)
子宮内膜症(日本女性心身医学会)
更年期障害(日本女性心身医学会)